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おいしい酒器。利き酒Vol.7『笑四季/Sensation White』

自分の持ち味を最高の形で表現してくれる器。日本酒は、そんな酒器を求めている。

同じ日本酒で、酒器を変えると味わいがどれほど変化するのか。酒器を代えて利き酒する、「おいしい酒器」シリーズの第7弾。

酒器が変わると味わいも相当変化する。

日本酒の美味しさの本質は「味わいの重なり模様」にあると思っているぼくは、普段日本酒をワイングラスで飲む(『リーデル』というグラスメーカの脚なしタイプ)。ワイングラスで飲む理由について詳しくは以下記事の通り。

そんなぼくの個人的嗜好は一旦置いておいて、他の酒器で飲むと味わいや香りが具体的にどう違うのか試してみた、その記録。

1.銘柄選定の基準

今回酒器別のテイスティングに選んだ銘柄は、『笑四季/Sensation White』。滋賀県の「笑四季酒造」さんの造られる銘柄。

選定理由は、いわゆる「白ワインのようなお酒」で試してみたかったため。ただ、以前に飲んだ同Sensationシリーズの黒ラベル(Black)にあった酸味感をイメージしていたのですが、黒ラベルに比べると今回の白ラベルは甘みが前面に出た「ジューシー」タイプでした。

裏ラベルの写真を掲載しておきます。

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2.用いた酒器と選定の基準

今回用いた酒器はこれまでと同じく以下一覧表の5種類。

1)普段は①のワイングラスで飲んでいるので、これがぼくの標準。

2)②利き猪口だけ磁器になるが、これは利き酒の一般「標準」酒器。ぼくの「標準」である①ワイングラスとの差異を知る目的。利き猪口のサイズは①ワイングラスの口先口径と同じぐらいの8勺(1合の8/10)を使用。

3)②以外の素材は全てグラスで揃えた。素材は同じ条件で、形状が違うだけで味わいがどれだけ変化するのかを見るのが目的。

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3.酒器別利き酒結果

①ワイングラス 結果:◎または〇

上立香は、清涼感のあるヨーグルトやクリームを思わせる酸の香り。

口に含むと、お米の甘みが厚めの酸味と相まって、口の中で大きく広がりジューシーな味わいを演出してくれる。

最初から最後まで、このクリーミーな酸味が絶妙なバランス感でもって、「お米の甘さ」「ふくよかな膨らみ感」「口あたりの柔らかさ」といったこのお酒の特徴を一手に表現してくれる。やや苦味のある余韻。

②利き猪口 結果:〇または△
上立香は、クリーミーな酸味が少しシャープに感じる。
口に含むとお米の甘みがやや後方へ、代わりにワイングラスではまったりとした柔らかだった酸味がキリリと引き締まる感じ。この酸味は、冷やした白ワインの引き締まった酸味を思わせる。

これが好きな人には、良いバランスかも。
余韻の苦味感は、ワイングラスと同じ。

③天開グラス 結果:◎
ワイングラスに感じた上立香はやや控えめながら、同じく軽快なヨーグルト、クリームの香り。
口に含むとお米の甘みと同時に、酸味が少し前に出てくる。
甘みが強く出てくるお酒のため、ワイングラスよりも酸味が前面に出るこちらの方がバランスが良いと思う。

余韻の苦味は控えめになり、優しい。

④カクテルグラス 結果:×
香りはあるが、かなり弱くなり感じにくい。
口に含むと、酸味と苦味が先立ってしまい甘みが完全に後方へ。これはバランスが悪いと思う。

⑤シャンパングラス 結果:◎または〇
上立香は弱くなる。口に含んだ時の、甘みと一体となった柔らかな酸味の広がり感はこれが一番だと思う。飲み口のふくよかな柔らかさを求めるなら、このグラスだと思う。

余韻の苦味感も優しく、最初から最後まで柔らかさを求めるには最適のグラスと思う

4.総評

今回のお酒の特徴は何といっても、お米の甘み。

このお米の甘みというのは面白いところがあって、甘みに輪郭を与えるもの、つまり甘みを甘みたらしめているのは実は酸味だと思っていて、「適切な甘み感」というのは全て酸味による下支え具合に依存していると思ってます。

その点、この酸味感を最適なバランスで表現してくれるのは③天開グラス(日本酒の品揃えのいい飲み屋さんでよく出てくるグラス)かなと思いました。他のグラスで感じる苦み感もほぼ後方へ行くので、苦みが気になるという方にとっては「飲みやすさ」という点でも一番かと思います。

このお酒の特徴であるお米の甘みをもっとたっぷりと口の中全体で感じるには①ワイングラス、飲み口のふくよかな柔らかさを求めるなら⑤シャンパングラス。

いずれにしても、入口での香りが特徴のお酒ではないため、その点での酒器形状は気にする必要はなく、その点からも③、⑤のような口先の開いた形状の酒器でも十分楽しめるお酒だと思います。

ごちそうさまでした!

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