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2023年11月の記事一覧

別に風邪を引いてはないけど、別に小説でもないけど

 まとまった文章が書ける体調ではない。

 なんか頭がぼーっとするの。彼女が言うので仕方なし、おでこに手を当ててみる。

「うおん、たしかにちょいとあちいな」「でしょう」

「これはやはりお熱でしょうかね」「おそらく」

 合意形成のそののち、ぴったり貼り付いてめちゃくちゃに冷えるシートがおでこのど真ん中に座り込む。

「ぬわあ、熱が奪われる」「大人しくしろい」

 暴れる彼女を寝かしつけ、すやす

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140字小説みたいなやつ

 なんとなく物足りない気分で貧乏ゆすりが激しいので、これで電力を生み出せないかと考えた。いくぶんかの試行錯誤の後、発電装置が完成した。なんとも満ち足りた気持ちだ。貧乏ゆすりも収まったし。

 変なにおいがすると母に伝えたら、きっとキンモクセイの香りだと教えてくれた。確かのこの木から匂うので、そうかこの木がキンモクセイなのかと納得しかけて、そこに吊り下がった人の死体が目に入った。

 朝焼けがまぶし

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【小説】悩める剣士

 例によって某所のお題を受けて書いたものです。

「お命頂戴する」

 差し出された手があまりにも醜くごつごつとした紫肌のものだったので、そういえば私は何をと醒めたわけである。

 そこからは一瞬のことで、頭より身体が先に動いて腰の剣を抜き取り振るう。私の腰を起点として、ひとつまばたきをする間にざっと四閃は輝いて、遅れて命尽きる鮮血の雨が降る。

 相手がいくら私を警戒していたところで防ぎようのな

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【小説】立ち食いそば

 某所でお題をいただいて書いたものです。短いよ!

「ねえ、じいさん」
「なんだよ」
 そばを啜りながら男は店主に話しかける。
「ここさ、なんでこんなに客いないのよ」
「あぁん?」
 店主が凄むので、男は少し肩をすくめて続ける。
「だってよ、ここ一応立ち食いそば屋だろ? 立ち食いの店って、忙しいサラリーマンにささっと食ってもらって儲けるって聞いたぜ。それなのにこの店、全然客いねえじゃん」
 話しな

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