別に風邪を引いてはないけど、別に小説でもないけど

 まとまった文章が書ける体調ではない。


 なんか頭がぼーっとするの。彼女が言うので仕方なし、おでこに手を当ててみる。

「うおん、たしかにちょいとあちいな」「でしょう」

「これはやはりお熱でしょうかね」「おそらく」

 合意形成のそののち、ぴったり貼り付いてめちゃくちゃに冷えるシートがおでこのど真ん中に座り込む。

「ぬわあ、熱が奪われる」「大人しくしろい」

 暴れる彼女を寝かしつけ、すやすや寝息が立ち始めた頃、ふと自分もなかなかあちいことに気づいた。もしや熱が移ったのではないかとおでこに手を当てるが、自分の体温で自分の体温を測るのはかくも難しいのか。困り果てた僕の目に、彼女の白い腕が映り込んだ。

 そおっと、そおっと、手を拝借する。おでこの側から手に接近して、こっそり体温計になってもらう。ぺた。

「ううん、これはお熱ですねえ」「さいですか」

 診断を下す女医さんの寝言へお礼を言って、布団に間借りした。似たような体温なので、毛布の中で互いの血が混じるような感覚がある。これはありがたいことだなあと思い、ぐっすり眠れた。


 熱に浮かされて書いたので、スキと共感をください。

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