見出し画像

農家という経営構造を理解することがこの先の日本を豊かにしていく

野菜だけでなく、僕たちがスーパーで好きなものを好きなだけ買うことができるのも、安心してレストランで食事ができるのも、それを作る生産者がいるということ。


僕は牛や豚のことはわからないので、いつもどおり野菜の話をしていきます。



野菜を育てる生産者、いわゆる農家さんは野菜を育てて競市場や道の駅などに出荷することで、お金をもらっている。



"野菜を育てて、それを提供することで対価をもらう"これだけを聞くと非常にシンプルな産業構造だということがわかると思います。



しかし、僕はこの業界に入って一つだけ気がついたことがある。




それは、農家という職業は通常の産業ではあり得ないような経営で自身の生活を成り立たせているということ。



たとえば、建築業界だとデベロッパーからマンション建築の仕事を〇〇円で受注し、下請け業者に〇〇円で発注して….というように工事を始めるその前に「〇〇円の利益が残るね」とわかった上で、その事業に取り掛かります。(ざっくりですが)



というか、もはや経営的に当たり前すぎてピンとこないかもしれません。



そうじゃないと何をやっているかわからない仕事はもはやボランティア同然ですからね。


しかし、農業の世界ではこれが真逆に行われていて、しかも当たり前のように行われています。


たとえばですが、こんな感じ。


(例)

小松菜を生産するのに、種(苗)や肥料、農薬などの必要経費5,000円をかけて出荷しました。

数日後、市場から発表された売り上げは8,000円。



「え?こんなに頑張ったのに3,000円しか利益がないの?」という状態。



なので、労働時間を時給換算してみると最低賃金を下回ることもザラにあるというわけです。



もっといえば、マイナスになることだってあります。



5,000円の経費をかけて出荷したのに、「3,000円の売り上げしかなかった」となると2,000円のマイナスになってしまいます。(稀にある)


自然との闘いはいつだって厳しい

農業という仕事はいつだって自然との闘いです。




「作ってみないと売り上げがわからない」「作ってみても天候の影響で作物が育たず、収入が無くなってしまうかもしれない」、そんな恐怖と戦っているわけです。



だからこそ、このような産業構造になってしまうと思います。



そして、野菜を作る生産者がいるということは、その野菜を購入する買い手がいるということ。



その買い手も、作り手と同様に商売でこの仕事をやっている。



買った野菜を加工し、それを商品化したり、弁当の惣菜にしたり、またはシンプルに八百屋などに卸したりしている。


生産者は自然との勝負なので、確実に生産できるとも限らない世界の中で必ず出荷するという約束なんてできないので、買い手から「小松菜を来週には確実に欲しいから比嘉さん、必ず出荷してね」なんて言ったって突然台風がきて出荷ができなくなるかもしれない。



そうなってくると、作ってみないと売り上げがわからないというのも理解できるはずです。



なので、いくら地産地消を行政が勧めていたところで、そこにはお金を稼がないといけない人たちがいるので、無理な話でもある。(必要なものは県産品とか関係なく発注しないといけない)



天候に恵まれ、豊作だったとしてもそれは他所の農家さんも同じ。だから天候に恵まれた日が続くと市場に野菜が溢れ、価格の暴落が起こる。



一方で、他県で自然災害が起こったりすると、全国的に野菜不足の影響から市場に出る野菜が通常の3倍になったりして一時的なバグが起こったりする。



そういう自然との闘いを経てはじめて"売り上げ"という労働の対価が与えられる。



僕たちサラリーマンは、会社の売り上げに関わらず働いた分だけ確実に給料が支払われるので、農家さんはかなりシビアな闘いをしていることがわかると思います。



前述したように、「うまく生産できた」と思っても、そんな時は周りの農家だって同じなので、ライバルが多く毎日が勝負です。



このような削り合いの闘いも大切かもしれませんが、できればその対価に見合った収入があれば現職の農家さんも、新規就農希望者も、離農を考えている人も、みんなを笑顔にすることができるのではないだろうか。
(理想的なのは、「こんなに儲かる仕事は他にないだろ」ってぐらいが一番の理想)



構造上、できるとかできないとかではなく、どういう構造が理想的かを考えることが今後の日本社会や第一次産業を盛り上げるのではないかなと僕は思います。



人気が減り、人手不足が目立つ農業界にいい風を吹かせてあげたいですよね。




それが結果として僕たちの食を支えてくれそうです。



それでは。(この記事が農業の世界を知らなかった人たちに届いて欲しい!!!)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?