今月の短歌　24年2月16日～2月29日

2/16 #健康
軽いジョギング　はきはきと高齢者に追い越されハイペースな春

2/16 #真か贋か
フェイクだと思われる距離を感じて　はいそうですとだけレスポンス

2/16 #薄い歌集
心身のダメージケアをはかりつつぜひ読んでねと届いた歌集

2/17 #僕らより
夢ならば次の世代へ託したよ　わがままとミスをあたためるのさ

2/17 #春の色
杢灰のカットソーへと抜ける風　涙目と陽と菜の花の色

2/18 #BRED
籠球の神様に似た足元を始まりたての虹風に添えて

2/18 #優しい季節
桃色の液体　僕とアナタとのお別れでした　溶けてた氷柱

2/18 #忘却の先
博愛に満ちた魂　夜の彼方　闘った生、胸握られて

2/18 #アスリート
「17」が愛用してる普段履きグラつき歩く河津の土手を

2/19 #Z世代
10代や20代らが日常で使うことば、情報に欲

2/19 #別れはいつも春
決壊しかけの塩湖に紺の影　羽ばたきを得た催花雨の空

2/19 #あいさつ
君が雨さようならまで丁寧に春はなぜ吾に眠りを急かす

2/20 #川と音色
撫でるよな旅立ち　甘い早春の河川敷にはサックスの音が

2/20 #死ぬということ
ひさかたの黒装束が脱げて夭　キミのコトバはとトウメイでいた

2/21 #茶色の街
首都ベルン　春に浴びるヘーゼルの濡れた質感　心はパズル

2/21 #泳ぐ惑星
二種類の泳法　ひとつは水面を跳ねてひとつは星を眺めて

2/22 #見当識
夜か朝かもわからないぼんやりとした見当識食む曇天

2/23 #Unknown
歪む顔　これは神罰なのではとナガスクジラの背を見て堪える

2/23 #胸の痛み
胃か肺か我が身を突き刺す痛みから若き日の瑕疵溶かしてく夜

2/23 #灰燼
目に見えぬ報いのような閃光に焼かれ焼かれて僕も消えゆく

2/24 #エコーチェンバー
穏やかな造花は窮屈なのだと勝手に飛び出し朽ちてはじめて

2/24 #暖冬
ダウンジャケットをクリーニングへホイと出す　短かった冬でした

2/24 #カーディガン
春先のカーディガンの柄を選ぶ　やや輪郭をボカしたいかな

2/24 #君とのサヨナラ
実は好きだよってからだ震わせて待たせた廊下　そんな日も春

2/25 #こういう生き方
脳萎縮　2秒前のできごとを覚えられない　これから先も

2/25 #魚介類
鯖と牡蠣の魅力知らず死ぬ僕が味わうドコサヘキサエン酸

2/25 #鋏
研ぎもせず刃こぼれしてるシザーでは君のワンレン揃うはずなく

2/26 #猫と林檎
不細工な白い猫には林檎の樹　あんな自由に眠っていたい

2/26 #猫と河津
おでこには河津桜の花びらがふわりと乗って安らぎにいる

2/26 #Instant
使い捨てストローの気持ちになれば　ただ居なくなる予後の虚しさ

2/26 #タートルネック
タートルネック　いつも顎まわりにできる毛玉を毟り　また毟る

2/27 #朝と苦味
モノクロに見える早朝　コーヒーの香り漂い僅かに色付く

2/27 #ごみ
ポイ捨ては良くないはずだ　このゴミを誰かが拾う確証はあるの？

2/27 #Execution
空白にうねる三十一文字の意図　グサグサと刺す処刑が続く

2/28 #消えた学ラン
ブーケトスのように投げた学ランは名前知らない君に渡った

2/28 #白い瞬間
一度すら話したことのない君と交わしたあの日保健室でのキス

2/29 #うるう年
幻となりゆく僕ら　午前二時　急いで出した婚姻届

2/29 #お元気ですか
四年に一度の結婚記念日が訪れる度　天を仰いで

2/29 #二ヶ月目
少し優しくなれるかな呱呱の声　パパに似てるよ　えいアンパンチ