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#インタビュー

商店街活性化の最終手段はリレー小説なのか(5/5)

商店街活性化の最終手段はリレー小説なのか(5/5)

●私生活と地続きでも、町と冷静に距離をとった枡野作品

 本好きの間では知られたことだが、歌人の枡野浩一さん(写真)は小説も書く。ヒット作『ショートソング』(2006年 集英社文庫)のイメージがあるのか、「さわやかな青春小説を書いてくれ」という依頼を受けることが多いそうだ。しかしそれが嫌で仕方がない。つねづね「漫画のノベライズなら嬉しいのに」と思っていたという。

 そんな枡野さんが『エトアール物

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商店街活性化の最終手段はリレー小説なのか(4/5)

商店街活性化の最終手段はリレー小説なのか(4/5)

●「みんなが馴染める町」とはよく言ったもので

 短編映画の自主上映会を主題にしたのが半澤則吉さん(写真)の『キネマボーイズ』だ。自身も映画サークルで作品を制作していたのかと思いきや、内容はまったくのドフィクションで、映画は一度も撮ったことがないという。自分自身の経験も物語の中に織り込んでいる増山さんとは対照的に、半澤さんは実生活と距離を置いて書く人だった。小説家志望のライターという半澤さんの有り

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商店街活性化の最終手段はリレー小説なのか(3/5)

商店街活性化の最終手段はリレー小説なのか(3/5)

● 住んでいる町のあこがれの部分を書く

 この企画の影の主役は第一巻を書いた増山かおりさん(写真)である。

 執筆者の選定はもちろん、校正家も彼女が声掛けしているのだ。偶然か、それとも必然なのか、今回のメンバーは全員高円寺に縁がある面子で固められている。

 執筆者の一人、半澤さんはむかし東高円寺に住んでいた時期があり、同じく執筆者の枡野さんも高円寺で暮らしていた時代がある。イラストの樋口達也

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商店街活性化の最終手段はリレー小説なのか(2/5)

商店街活性化の最終手段はリレー小説なのか(2/5)

●前提となったのは書き手と商店街の信頼関係の積み重ね

現在「西友」がある場所に以前、
「高円寺東映」「ムービー山小屋」という、ふたつの映画館がありました。
『高円寺エトアール物語』は、
高円寺が「映画のまち」だった頃の思い出を大切に、
高円寺のガイドブックのように描かれる
商店街応援エンターテインメント小説です。

 リレー小説『高円寺エトアール物語』のチラシには、そう書かれている。

 この企

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商店街活性化の最終手段はリレー小説なのか(1/5)

商店街活性化の最終手段はリレー小説なのか(1/5)

 文字を書く人にお金をくれるのは出版社やメディア企業がほとんどすべてだ。あとはせいぜい企業の広報誌や社内報の仕事くらい。なかには有料メルマガや電子書籍ストア経由で(ほぼ)直接読者から報償を得ている例もあるとは言え、それ以外の仕事を受ける機会はまずない。その一方書き手の食い扶持はどんどん目減りしている。

 ところで、以前web媒体の「マガジン航」に「ライター・イン・レジデンス」という仕組みのことを

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カフェ本の記事

最近はこんな仕事もしています。
某カフェ本に掲載予定の記事。刊行は来年(!)の予定。まだ半年以上先という……。池袋の「cafe pause(カフェ・ポーズ)」の店長、高野さんのことを書いています。

このポストは諸々の事情により、消してしまうかも知れません。



「ここで働くのが好きなんですよ。仕事が多くてもちっとも苦じゃない。毎日すごく楽しいですね」
「カフェ・ポーズ」の店長・高野さんは幸せ

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金子國義画伯インタビュー

耽美的な作風で知られる画家の金子國義さんが、2015年3月16日の午後、虚血性心不全のため都内の自宅で亡くなった。
78歳だった。

じつは私の生まれて初めてのインタビュイーは金子画伯。
故人のご冥福をお祈りして、私の生まれて初めてのインタビュー記事をお蔵出ししようと思う。1995年のものだ。

この頃私は、仲間とともに『路上』というミニコミ誌、今でいう「ジン(ZINE)」をつくっていた。
金子さ

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