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日本で3体天弓愛染!白不動!神童寺は魅惑の仏像寺である/天神社【京都】

いざ、山門をくぐると、奈良市外や福井の若狭にありそうな寺の雰囲気。藤原氏の氏寺・興福寺が復興したが、平氏により焼失し、源頼朝が復興したが、また焼失し、興福寺により復興した寺。やっぱ、レア仏像が残っているのは権力者と場所柄だなと思った。

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 ここは京都には珍しく、説明付きで拝観させていただける寺です。「2018年南山城春の特別開扉」で初見仏ですね。

変更履歴

  • 2022/07/15 『南山城展』に行ったので感想など追加(「2023/07/15更新」でページ検索)

  • 2022/07/13 阿弥陀如来説明追加(引用)

  • 2021/09/10 タイトル誤り変更

  • 2021/09/09 初版


▼HP(木津川市観光サイト)

▼アクセス

木津川市山城町神童子不晴谷112

ここも道が狭いっ!!対向車来るなと願いながら運転していると、右手に城壁らしきものが見えたら、そこが神童寺です。駐車場はないので公民館に置くことになっています。

▼祭神・本尊と脇時

神童寺:蔵王権現立像
天神社:

▼見どころ

▽神童寺

---↓2023/07/15更新
先に箇条書きで寺の説明です。

  • 奈良・吉野に繋がりを持つ「北吉野」という山号を持つ修験道の寺

  • 本尊は蔵王権現で2.5mあり迫力満点

  • 平安時代の仏像が多いが、定朝や奈良仏師が作ったであろう精巧な仏像から、地方仏師(この地域の仏師)が作ったであろう仏像が混在しているため、近くで廃寺になった仏像も集まっただろうといわれている

  • 阿弥陀如来坐像は定朝用で、浄瑠璃寺の九体阿弥陀如来坐像@国宝級である

  • 不動明王は超レアな金色不動明王(黄不動)と酷似しており、三井寺との繋がりもあるようだ

  • 超レア仏像としては、黄不動以外にも「天に弓を放つ」姿の愛染明王も安置されている

---↑2023/07/15更新

 「防犯カメラ作動中」という近代技術とのコラボですね。右に浄瑠璃寺の九体阿弥陀如来坐像@全部国宝の写真がありますね。

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山号は「北吉野山」ということから奈良・吉野つながりのようで、平安時代は修験道の聖地だったそうな。
聖徳太子が創建し、役行者が修行した場所から修験道が集まったのだろう。

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↑本堂@重文:蔵王権現立像

 拝観料500円で本堂と宝物館を説明付きで見仏できるが、説明早いっ。。最近の若者はyoutubeなど2倍速で観るとか。ある意味、最先端!?
 本尊は蔵王権現立像で本堂と同じ室町時代のものらしい。この蔵王権現は吉野・金峯山寺の次に大きいらしく、このサイズって見たことないな~と思った。
 正直、金峯山寺より好きです!!ちなみに本堂には腕がなくなった十一面観音立像も安置され、由緒通りとすると創設時の聖徳太子作だとか。

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↑宝物館

本堂裏の階段を登りきったところに宝物館がある。そこからの写真を撮ると、山道の両側に家が並んでいるだけのところに鎮座しているのがわかる。 さて、宝物館に入った。 

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↑宝物館:天弓愛染明王坐像@重文

注目は、弓を天井に向けている「天弓愛染明王坐像@重文(てんきゅう)」(写真は木津川市HP)。この様式の愛染は日本で3体しかなく、和歌山・金剛峰寺と山梨・放光寺のみ!!元々は金剛峰寺の仏画から仏像が造られたと推測される。

南山城展(2023/07/15更新)
→天弓愛染明王坐像@重文
 愛!それが愛染明王であるのだが、弓を天井に打とうとしているのが「天弓」である。この様式の愛染は日本で3体しかないんですよね。

私のNOTE「2023年 南山城展」より
https://note.com/yanma_travel/n/nb64d84d5f412

↑宝物館:不動明王立像@重文

 白不動と言われる。白不動はよく見る不動明王の憤怒顔、牙、髪が異なり特徴的な「ゆるかわ系明王」である。  
 この様式は仏画では多いが実際に仏像にしているのは滋賀・三井寺「黄不動@秘仏重文」とここだけでしかなく、色以外は激似。 
 つまりのところ白不動明王は、三井寺と同じく黄不動で造られ、金箔がはがれた姿になり白不動と言われたのでは?と思った。

南山城展(2023/07/15更新
白不動@重文
  噂には聞いていたが、衝撃を受けた仏像寺!
 黄不動だったでしょ!と思っている「白不動@重文」は来ないと思っていたのだが、来ていた。遠くから見てすぐわかった!!三井寺の黄不動に瓜二つ!超レア仏像なんだけどね。ここの仏像は凄いんですよね~。
 仏像展のパネルにも最後に「金不動という説も」的なことが書かれていた。ですよね!!この黄不動(金不動)は仏像では滋賀・三井寺(私のNOTE)、京都・三千院(私のNOTE)で秘仏ですが三千院は春秋に見仏可能です。そして、この仏画は京都・曼殊院(私のNOTEは2024年公開・・)ですが、2023年に120年ぶり里帰りし、絶対秘仏になるようです。

私のNOTE「2023年 南山城展」より
https://note.com/yanma_travel/n/nb64d84d5f412

↑宝物館:日光・月光菩薩立像@重文

 日光・月光は鏡写しのように印が逆になっているものだが、同じなのが面白い。

↑宝物館:阿弥陀如来坐像@重文

 「阿弥陀如来坐像@重文」は定朝様式で法界寺と似ていると感じた。

◆木造阿弥陀如来坐像 神童寺(神童子)
神童寺木造阿弥陀如来坐像は、平安時代12世紀に作られた重要文化財です。様式は平安時代に仏師・定朝が大成した、いわゆる定朝様の典型を示します。具体的には、粒の細かい螺髪、満月のように円満な顔、穏やかに肉付けされた奥行の浅い体、流れるような浅くゆるやかな衣のひだなどを指します。市内でも、高田寺(高田)木造薬師如来坐像(重要文化財)や西念寺(鹿背山)木造薬師如来坐像(府指定)など、定朝様の仏像が多く見られます。両手はそれぞれ第1・2指で輪を作り、来迎印という印相を結びます。台座は、一部を除いて制作当初のものです。

シリーズ 「木津川市の文化財を巡る」 第51回(重文)

↑宝物館:その他

 毘沙門&弁財天夫婦なども見逃せない。その他として、笠置山は役行者に所縁があるので「役行者・前鬼・後鬼像三尊」が安置されていた。
 役行者の光背は岩が多いのだが、ここは自然の木で囲まれたもので覆われ特徴的である。後鬼も片足を宙にあげていて見どころの一つ。 

↑宝物館:まとめ

 最後に思ったことは白色仏像が多い気がした。
 繰り返しになるが、白不動明王は三井寺と同じく黄不動で造られ、金箔がはがれた姿になり白不動と言われたのでは?と思った。
  宝物館近くに鐘がありますが、突く棒が自然棒に見えて、突けるのか疑問に思った。残念ながら宝物館で説明を受けているときに他の見仏者が来て、質問できなかったのだが、もしかしたら神木から造り焼失した仏像の木かなと妄想してみた。

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▽天神社

 神童寺で特別公開された「境内図@江戸時代」には「天神宮」とされ、境内図よりこの周辺が修験道、神仏習合の中心地だったと思わせる。この寺には神童寺縁起に記された神々を祀っている。

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場所からすると昔は奥宮の位置づけだったのだろう。拝殿前には狛犬がお守りしており、足は注連縄で結ばれていることから、元気良すぎなので動かないようにしているようだ。 

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本殿は金刀比羅宮で、右に天満宮、左に恵比寿社と牛頭・太子を祀る社がある。

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天満宮=菅原道真(天神)ということになるが、ここも元々は太陽神(アマテラスorアマテルあたり)が本来なのかもしれない。南山城の天神はアマテラスから菅原道真に変えたという話を2つの神社で聞いたので、そんな感じがする。

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1227年作の石造り十三重石塔@重文。近畿には重文の石塔は多いのだが、正直、見どころがわからないものが多い。この良さは、いつわかるのだろうか??全然関係ないけど、談山神社の国宝・十三重塔はただ単に、藤原氏の力を見せつけるものだと思っていたが、そうでもないんだろうな。

▼セットで行くところ

木津川市、京田辺市などですね。

▽恭仁宮跡(山城国分寺跡)→海住山寺→浄瑠璃寺→岩船寺/春日・白山神社→西念寺→神童寺

木津川/精華/京田辺

▼旅行記

↓6日目参照です。

▼仏像展

▽2020年 奈良国立博物館「毘沙門天 北方守護のカミ」

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