帰省を終えて

 ここ数年間の私は妄想に囚われた狂人であった。地元の敵は大人になっていた。いい飲みっぷりだと言われた。お前なら大丈夫だと励まされた。

帰省前の俺ならきっと
「先にいじめたくせに、いまさらいい人を気取るなんてマッチポンプじゃないか!ニチャア」

キモすぎるわ

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/マッチポンプ

カタカナ語でそれっぽく相手を論破したつもりでも、どこか意味合いは的外れである。自作自演で私をいじめて励ました所で何になる?気を良くして私が下品な冗談を滑らせるだけだ。そこまでして工作をする意義はないだろう。
 
 全ての加害らしきものは偶然の産物であった。過ぎ去った不幸に固執して時を無駄にした。

 進学先でも上手く馴染めなかった。余計に卑屈になった。垢抜けない高校時代までの自分から解放されたと思い込んでいた私にとって到底受け入れ難い現実。

 全てが面倒くさくなり、今できることだけで己の正当化を試みた。マッチポンプ、トーンポリシング、弱者男性、男性差別、搾取、インセル、MGTOW、ジェンダー。目についた社会課題に対して碌な検証もなしに浸った。高校時代の現実逃避的なガリ勉で語彙力は豊富。
覚えた言葉を使い、長文をひたすらsnsに投稿する日々。
 
観測した現実の一部分だけを誇張して進歩を拒んだのだ。うだつの上がらない学生だ。ティンダーでは養分側だ。モテないし金もないし頭も三流。だが時間だけは豊富にあった。それでも妄想に生きることを選んだ。

だからと言って愚かな学生時代を否定も肯定もするつもりはない。あらゆる角度から言語化をした所で自分の歩んだ道のりは変わらない。相変わらずラーメンはうまいし四十五度の風呂は気持ちが良いし、俺は生きている。

1月4日の北条海岸は透き通る緑色をしていた。ボラが群れて生きている。妄想なんてくだらなくなった。朝日の熱と冬の潮風が肉体を撫でる。透き通った青と緑の水面は海底への好奇心を唆る。
 神秘と秘密を見つけたくなってひたすらに眺めた。風の隙間を縫って太陽光線が肉体に熱を届けた。おかげで風邪はひかなかった。

 海に飽きたので鯨の肉を食べた。素朴だった。二軍の味わいはどこか懐かしさを呼び起こした。また食べに行こう。新宿行きのバスはすぐそこだ。


教訓めいた文章を残そう。思考を凌駕する現実の美しさに晒された後はあらゆる言葉や思考が陳腐に思えてnoteを書くことにも戦々恐々とするのだが。とはいえせっかくの国語のスキルをガリ勉の小さな領域に留まるのもどこか寂しい。まあ千里の道も一歩から。エロ広告も太宰治もおなじ日本語だ。心にゆとりがある今の私はチリを積み上げてみたくなったのだ。

 今の私は休学を少し後悔している。こんなに些細なきっかけで敵は思いがけない味方に変わり、海が美しく見えるのだ。なんだか勿体無いことをしたと感じる。祖父や、一部の同級生、挙げ句の果てには不動産仲介屋にまで(こいつが人の進路にしゃしゃるのは不愉快だ。ろくに接点を持たないくせして。薄っぺらい関係性のくせに俺の責任にまつわる領域に踏み込んで、面倒くさくなったら急に理解者ヅラをして話を切り上げようとする。殺してやりたい。)。やはり過去の話は、汚いことを思い出すな。まあ、人間はその繰り返しなんでしょう。

ここまで書いたこと教訓文は全て、妄想だ!
精神病患者の夢とそう大差ない。教訓なんて偉そうなことをほざいているが、現実ではない。後悔なんて感情の一模様だ。何を言っても、考えても、酔うと気持ちがいいし、海は大抵綺麗だし、女も大抵エロい!
暇なジジイどもの言葉遊びに惑わされず、今を生きろ!

じゃ、また気が向いたら書きに来るわ
意識高いぶってるくそサイトで執筆機能もなんか重くて使えたもんじゃないが、クールぶってるその感じ嫌いじゃないぜ。あばよ。くたばれ。


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