【創作】卒業おめでとう
「おはよ。桜見に行こう」
私と君が籍を置いている大学の卒業式の朝、眠そうに目を擦る君がパジャマ代わりのスウェットのままキッチンにふらりとやって来る。まだ外は暗く、袴の着付けがあるにしても早起きをし過ぎた私は、あまりに手持ち無沙汰でコーヒーを淹れていた。豆を挽くガリガリという音で起こしてしまったのだろうか。意外と大きな音がするから。
「まだ咲いてないよ。ていうかまだ寝てていいのに」
「予約何時だっけ。車取ってくるから用意しててよ」
私の言葉を無視して君はスウェットを脱ぎ捨て