見出し画像

転職面接の対策

(Twitterはこちら → @yanagi_092)
※このnoteは、毎週土曜の夕方に投稿しています

画像1

前回記事のとおり、出世の道を断たれた私は、初めて職務経歴書を書き上げ、いよいよ各社へ応募することになりました。

どの会社にエントリーする?

エージェント「先日から様々な業種の求人票をお送りしていますが、転職へのお気持ちはどうですか」
ぼく「職務経歴書を作成していて思ったのですが、私って、損害保険のことは、現場から本社コーポレートまで、本当に多くのことを知っているのが強みだと再認識しました。そして、『転職の思考法』にも記載されていましたが、この損害保険の軸から大きく離れない方が良いのではないかと思っています」
エージェント「では、損害保険会社を受けますか?」
ぼく「それだったら、東京海上に残りますかね・・・。損害保険の軸は残しつつも、別の軸にシフトしていきたいです」
エージェント「総合コンサルはどうでしょうか。総合コンサル内の保険セクターであれば、損害保険にお詳しい経験も重宝すると思います。また、年収UPまでは難しいですが、キープは狙えると思います」
ぼく「そうですね、奴隷の身分で働き続けることを考えたら、年収キープでも十分です。下がることも覚悟していますので」
エージェント「ど、奴隷??」
ぼく「いや、何でもないですww」

このように、私自身は経理職へ寄せていきたいという思いがあったものの、上記の『転職の思考法』に基づき、自らの経験軸をベースとして転職先を検討した結果、総合コンサルに応募することにしました。その結果、PwC、EY、アクセンチュア、アビームは書類選考に通過し、デロイトは書類落ちとなりました。

書類


面接の事前準備(ケーススタディ)

経理部は年間を通じて忙しいのですが、第3四半期決算の対応(1月~2月)は比較的に落ち着いていることが多く、この時期に面接を充てました。

エージェント「やなぎさん、ほとんど書類は通りました!さて、明日面接のコンサル会社はケース面接があります」
ぼく「何ですかそれ」
エージェント「色々なパターンがあるのですが、先方からお題となる会社の状況の説明があって、『利益を上げるにはどうしたらよいか、プレゼンしてください』等が多いです」
ぼく「財務諸表分析だったら私の専門分野ですが、何か注意点ってありますか?」
エージェント「やなぎさんは余裕だと思います。と言いますのも、特に金融機関の現場経験者は『キャンペーンを打つ!』とか、精神論の話をマジメに答えちゃって、落ちるんです」
ぼく「そんなことあります?キャンペーンってwww」
エージェント「いや、割とあるんです。だからコンサル会社も、『ちゃんと頭が使える人』と『ただの気合い系の人』を分けたい意図があって、このようなケース面接をしています。これは学歴に限らず、一定の人は『キャンペーンを頑張る!』等の気合い系の回答をして、1次面接で敗退となっています」
ぼく「なるほど。僕は『キャンペーンを打つ!』とか言わない人なので、大丈夫だと思いますww」
エージェント「ですよね、念のためのご連絡です。やなぎさんなら大丈夫だと思います!」

キャンペーン


いざ面接へ!

そして、エージェントから助言のとおり、ケーススタディが出てきました。私としてはゴリゴリの財務諸表分析をしようと思っていたのですが、そもそも問題がふんわりしすぎていてて、答えにくかったです。(「キャンペーンを打つ!」と答えさせようとしている??w)。

仕方が無いので、自分で色々と前提を置いて「この業種であれば、XXXくらいの売上マージンだと思いますので、その場合は変動費よりも固定費に注目した方がいいですね。具体的には、…」等、自分が話しやすいように前提を置いてプレゼンし、概ね上手くいきました。

ケーススタディはこの会社だけでしたが、他社も含めて面接時における私の受け答えは概ね以下のような内容になります。過去のnoteに書いてきた内容と重複しますが、これまでのnoteは転職時に東京海上および損害保険業界を分析したものがベースになっていますので・・・

●日頃の業務等を通じて、東京海上や損害保険業界の課題は何だと考えるか

金融機関であるにもかかわらず、営業叩き上げの経営陣を中心に金融リテラシーが著しく低い。例えば、原価計算を通じた利益創出といった考え方を理解できる役員および従業員は少なく、こういった論議ができる人間が限られていることが課題だと思っている。

そもそも自動車保険バブルで巨大化した業界であり、トヨタなどのメーカーとは異なり、「利益を出すために原価を考える」という文化が現場レベルで根付いていない。これは、戦後から続く護送船団時代において、売上の半分強を占める「個人向け保険」の利益は大蔵省の規制が確保してきたので、とにかく自動車保険を売りまくることに偏重し、金融リテラシーとは無縁の営業が幅を利かせてきた歴史がある。

最近はDXが流行っているが、取締役会や経営会議においても、多数を占める営業担当役員がこういったコーポレート関連の論議で発言をすることは皆無。仮に発言をするにしても、失点をしないことを最優先として、「とりあえずDX大事だよね!!」的な内容でその場を乗り切る人がほとんどであり、積極的な論議にはならない。

●なぜそのような状況だと考えるのか

終身雇用制度と護送船団方式の影響だと考えている。良い大学に入って、新卒で東京海上に入れば一生安泰と言われていたが、それは、護送船団方式という規制によって生み出された利益を、従業員が「高給」という形で等しく享受する構図だったのではないかと思う。

この構図が保たれるのであれば、終身雇用で人を囲い込んで、とにかく自動車保険を売ることに注力をするので、役員も営業出身者が非常に多い。しかし、営業もしくは損サの現場ノウハウと、経営ノウハウは全く異なるものであり、コーポレート関連の議題に対して、経営会議で多数の現場出身の役員が失点を恐れて沈黙を貫いている姿は、世界的にも日本型終身雇用にしか見られない異常な光景だと思っている。

●転職の理由は何か

(奴隷が確定したとは言えないので・・・)

前述のとおり、護送船団方式による規制が終わり(保険の利益幅の縮小)、更に自動車市場そのものが縮小の一途であり(収入保険料(≒売上)の縮小)、利益&売上の両方が縮小する厳しい状況である。

もともと、自動車保険で爆発的に収益が拡大したのは、東京海上が自らマーケットメイクしたものではなく、単なる「まぐれ(偶然)」である。もちろん、自ら保険市場を創出する場合もあるが、自動車保険ほどのインパクトを自らの手で創出することは難しい。東京海上を含めた損保各社は「ネクスト自動車」を謳い続けているが、それは過去に当たった万馬券を「ネクスト万馬券!もう一回お願い!!」と言っているに等しく、今後も業界全体の縮小は止まらないだろう。

このような背景から、損害保険各社は海外子会社の買収を行っているが、商社とは異なり海外でゼロからビジネスを作り上げている訳ではなく、既存の保険会社を買収しているだけである。連結財務諸表において海外利益を連結している体裁になっているが、実態としては、現地法人の発言力が強く、本邦のガバナンスが効いていない。どれだけ海外子会社が利益を出しても、ガバナンスの弱さもあって、海外子会社から本邦の親会社へ十分なキャッシュを回収できていない実情にある。

結局は、国内ビジネスで利益を創出していかなければ、戦後の自動車保険バブルによって巨大化した損害保険会社および従業員を支え続けることは難しい。このような前提に立つと、終身雇用の東京海上に居続けることを是とする常識に疑問を持ち始めたこと、および40歳手前という年齢も考えると、転職をする最後のチャンスではないかと考えるに至った。

●自らの強みは何だと考えるか

損サ現場、損サ企画、財務企画、経理と損害保険会社を幅広く経験をしており、かつ、猛烈な自己研鑽を通じた深い知見が、自らの強みだと思っている。損害保険会社の現場および本社が、どういったことを考え、どういった流れで意思決定をするのか等、ほぼイメージが沸く。損保社員に代わって稟議書や経営会議案を書くこともできるくらい、損害保険会社に対する経験と知識は深いと自負している。

他にも色々話したのですが、上記4つは鉄板で、いつも聞かれる内容でした。転職面接で聞かれることはどの会社でも似たような感じなので、エージェントと相談しながら、自分なりQ&Aを作ってブラッシュアップすることは有用だと思います。そして、新卒採用と同じだと思うのですが、転職面接においては、自分なりの仮説と、それに対する根拠を丁寧に説明することを意識していました。

この後も、複数社の面接を良い感じで進めていたのですが、この時期は会社から「いらない人材」であると突き付けられ、絶望の淵に居たのも事実です。

しかし、面接を繰り返していくうちに、好反応な企業も多かったことが心の支えになりました。何も行動しなければ、ここで心身共に詰んでいたかもしれません。

ぼく「色々しんどかったけど、外の世界に目を向けると、ぼくを必要としてくれる会社が一杯あるんだな・・・(涙」


そして内定へ・・・

エージェント「やなぎさん、おめでとうございます!内定が出ました!!しかも、複数社!!すごいですね。どうしますか?」
ぼく「えっと、、、どの会社にするかは考えますが、まずは東京海上に退職届を叩きつけます。待っとれよ東京海上!ワイを『いらない人材』の扱いにした報いや!!」
エージェント「(この人は退職のフォローをしなくて大丈夫そうだな・・・)」

画像4

(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?