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2023年上半期の本ベスト約10冊

 2023年の上半期は、色々本を読みました(上の画像はその一部です)。せっかくなので、2023年6月末までに読み終えた本(刊行年問わず)の中から、特に好きなものを選んでみました。

 なお、2023年の読了・本関連ツイートはこちらにまとめました。あなたの積読拡充のお供にぜひどうぞ👇

※以下、全て敬称略&順不同。読了ツイートに感想を加筆しているものもあります。
※出版社名後に発行年を記載。


月面文字翻刻一例

川野芽生 著/書肆侃侃房(2022)

第65回現代歌人協会賞を受賞した歌集『Lilith』など、そのみずみずしい才能でいま最も注目される歌人・作家、川野芽生。『無垢なる花たちのためのユートピア』以前の初期作品を中心に、「ねむらない樹」川野芽生特集で話題となった「蟲科病院」、書き下ろしの「天屍節」など全51編を収録した待望の初掌編集。

公式サイトより

 『無垢なる花たちのためのユートピア』を読んだ時、この人が描く世界を好きになってしまうのは仕方ないよなぁと感じました。この、最高に居心地が悪くて居心地のいい浮遊感を知ってしまったら、もう逃れられません……。


老神介護

劉 慈欣 著/KADOKAWA(2022)

『三体』の劉慈欣、中国で100万部突破のSF短編集!
突如現れた宇宙船から、次々地球に降り立った神は、みすぼらしい姿でこう言った。「わしらは神じゃ。この世界を創造した労に報いると思って、食べものを少し分けてくれんかの」。

公式サイトより

 劉慈欣作品は本作と『円 劉慈欣短篇集』を読んだのですが、全作に共通してSF描写の迫力はもちろん“貧困層の苦難”や“一般の生活”がドキュメンタリー並みにリアルに描かれていて、凄みがあるなぁと感じました。それ故にまた更にSFの重厚さが増す……。


夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く

奈倉有里 著/イースト・プレス(2021)

「分断する」言葉ではなく、「つなぐ」言葉を求めて。
今、ロシアはどうなっているのか。高校卒業後、単身ロシアに渡り、日本人として初めてロシア国立ゴーリキー文学大学を卒業した筆者が、テロ・貧富・宗教により分断が進み、状況が激変していくロシアのリアルを活写する。

公式サイトより

 本作については、こちらのエッセイでも取り上げています。直接的に関係があるわけではないのですが、ロシア・フィンランドという土地柄から、連想した作品同士でした。


その昔、N市では: カシュニッツ短編傑作選

マリー・ルイーゼ・カシュニッツ 著/東京創元社(2022)

日常に忍びこむ奇妙な幻想。背筋を震わせる人間心理の闇。懸命に生きる人々の切なさ。戦後ドイツを代表する女性作家の粋を集めた、全15作の日本オリジナル傑作選!

公式サイトより

 また、こちらのツイートに翻訳者の方が反応を下さり、嬉しい続報を教えて下さいました🙌


すべての、白いものたちの

ハン・ガン 著/河出文庫(2023)

アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。
生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。

公式サイトより

 白い世界の中にサッと散る赤が鮮明で残酷。それでいて飲まれるような白。不思議な雰囲気の本でした。


外国語の遊園地

黒田龍之助 著/白水社(2023)

はじめて手にする海外製品はときになぜかなつかしい。旧ソ連や東欧で出合ったさまざまな物をとおして、外国語の魅力を語る「物語」。

公式サイトより


中庭のオレンジ

吉田篤弘著 / 中央公論新社(2022)

やすらぎのひとときに、心にあかりを灯す21話の物語。◇オオカミの先生の〈ヴァンパイア〉退治◇ギター弾きの少女の恋◇予言犬ジェラルドと花を運ぶ舟◇天使が見つけた常夜灯のぬくもり……他

公式サイトより

 装幀や挿絵は、著者が担当しているとか。何と多才な……。


鏡の迷宮 パリ警視庁怪事件捜査室

エリック・フアシエ著/早川書房(2022)

19世紀、七月革命直後のパリで、下院議員の息子が夜会のさなか、突如身を投げて死んだ。父の遺志を継いで化学者から転身したパリ警視庁の若き警部ヴァランタンは、元徒刑囚で元治安局長のヴィドックの助けを借り、新政権を揺さぶるこの事件を捜査することに!

公式サイトより

 ツイートで触れている映画『幻滅』は、19世紀フランスの文豪オノレ・ド・バルザックの小説を原作にした2023年公開の映画です。当時のメディア戦略(今で言うダイレクトマーケティングや世論誘導など)を鮮やかかつ冷酷に描いた作品で、大変見ごたえがありました。


暗殺者たちに口紅を

ディアナ・レイバーン著/東京創元社(2023)

ナチの残党や犯罪者を標的としてきた暗殺組織〈美術館〉。暗殺業に40年を捧げた60歳のビリーたち4人は、引退の日を迎えた。記念のクルーズ旅行に出かけるが、彼女たちを殺すため組織から刺客が送り込まれてくる。生き延びるには、知恵と暗殺術を駆使して反撃するしかない。殺すか殺されるかの危険な作戦の行方は? 本国でベストセラーとなった極上のエンターテインメント

公式サイトより

 シニア本の感想まとめはこちらにあります。


ループ・オブ・ザ・コード

荻堂顕 著/新潮社(2022)

疫病禍を経験した未来。WEO(世界生存機関)に所属する「私」は、かつて〈抹消〉を経験した国家〈イグノラビムス〉での現地調査を命じられる。謎の病とテロ事件に突如襲われた彼の国に隠された、衝撃の真相とは、一体。

公式サイトより


オレンジ色の世界

カレン・ラッセル著/河出書房新社(2023)

悪魔に授乳する新米ママ、〈湿地遺体〉の少女に恋した少年、奇妙な木に寄生された娘、水没都市に棲むゴンドラ乗りの姉妹……。不条理なこの現実を生き残るための、変身と反撃の作品集。

公式サイトより

 もう一度記憶を消して読みたい本。 


 約10冊だから11冊あってもいいよね!と開き直って選びました。どの本もとても好きですし、ここに挙げていない本も含め好きな本を見つけられるよい2023年上半期だったと思います。
 後半戦でも、自分にとって良い本との出会いがあれば嬉しいですね。



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© 2023 Aki Yamukai

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