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歴史の小箱

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自作記事のうち、歴史に関わるもので特に読み応えのありそうなものをまとめました。
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#民俗学

山中他界観の成立時期

山中他界観の成立時期

山中他界観というものがある。山中に他界=死者の住まう空間があると想定するものだ。学術的な源流は、おそらく柳田國男の『山宮考』だろう。その後、民俗学者の間では日本古来の他界観の一つとして定着しているようである。実際の山中他界観の例としては、東北地方の端山信仰や、伊勢朝熊山麓の「ダケ参り」、立山の地獄伝承などが挙げられる。

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女人禁制について

女人禁制について

本腰を入れて調べたわけではないので、誤っているかもしれないが、女人禁制について思うところを書いてみる。
女人禁制について、女性の血の穢れが云々というのは後付の理由で、根本的に「異性の存在が修行の妨げになる」のが理由だったと思われる。国分寺は僧寺と尼寺に分かれており、キリスト教の修道院も男女分かれている。高野山の場合、参道それぞれに女人堂があり、修行の場となる壇上伽藍などへの女性の立ち入りは禁止され

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世情不安と妖怪

世情不安と妖怪

妖怪と聞くと何を思い浮かべるだろうか。少し前の『妖怪ウォッチ』ブームから、妖怪のキャラクター化に拍車がかかっているようだ。元々、マンガやライトノベルを中心に、2000年代から妖怪が「敵対するもの」から「共存するもの」に変化しつつあり、その中で主に「萌えキャラ化」というかたちで妖怪のキャラクター化が進んでいたが、『妖怪ウォッチ』の登場が決定打となったようだ。こうした妖怪のキャラクター化は江戸時代から

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