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「石掘り小僧の伝説 その三 竜宮洞の巻」
石掘り小僧が久しぶりにおじいさんの小屋に戻ると、大勢の人たちが集まっていた。みんなシャベルや箒や小さな刷毛や、いろんな道具を持っていた。おじいさんは石堀り小僧を見つけて言った。
「おぅおぅ、石掘り小僧よ、ちょうどいい時に帰って来た。実はこの方々は、大昔を研究している人たちじゃ。おまえが掘り出した古代遺跡を調べてみたいと言うてな、遠くから集まって来て下さったのじゃ。この人たちが調べている間、すま
「石掘り小僧の伝説 その二 UFOの巻」
石掘り小僧が、洞窟の中で氷漬けになった恐竜象を見つけ、その肉を食べてすごい力持ちになってから三日経った。身体中から生えていた真っ黒な毛が抜けて少し力も減ったが、それでも大人五人分の力は十分にあった。石掘り小僧は力持ちになってからは、今までより大きな石を探すことに夢中になった。時々は恐竜象の洞窟に行き、ほんの一口分だけ肉をもらってきて食べた。一口だけだと髪の毛がピーンと伸びるだけで、身体中が毛むく
もっとみる「石掘り小僧の伝説 その一 恐竜象の巻」
いつのころか、あるところにちょっと変わった子がいた。その子は石を集めるのが好きだった。それも、地面の中の石を掘り出して、気に入った石を集めていた。三歳の頃には、おとなの使うスコップを持ち出して、慣れない手つきで庭の地面を掘り出した。それを見ていたおじいさんは、おとなのスコップでは掘りにくかろうと、鍛冶屋さんに頼んで小さな小さなスコップを作ってもらい、その子に渡した。四歳の頃には、庭のほとんどを掘
もっとみる「モースブラン冬の旅」
モースブランが、その村に着いたのは陽も沈んだ夕暮れだった。雪と泥の混じった表通りにある宿が見えてくると、女将が入り口から出て待っていてくれた。二階に四室の宿、一階はビストロ。寂れたこの村では客も少ないのだろうが、女将が待っていたのは、自分自身の夕食と酒場の準備に取り掛かりたかったためらしい。
「もうすぐで真っ暗になるところでしたよ」 女将は足早に二階の角部屋へ案内すると、暖炉の薪が少ないことと、
Android スマホから、録音ではなく、音声ファイルが投稿できるようになったらいいのになぁ。