【連載】ヴィンテージまみれなハワイでの日々
写真家・市橋織江さんが長年にわたり撮影してきたハワイの写真がカレンダー『ハワイ 市橋織江 Hawaii 2024 Orie Ichihashi』になりました。このカレンダーに言葉を添えるのは市橋さんと多くのハワイ本を手掛けてきた編集・ライターの赤澤かおりさん。ここでは、赤澤さんによるハワイの思い出やエピソードをお伝えします。
アロハー、皆さん。2024年明けましたね。
昨年に引き続き、市橋織江さんとのカレンダーの制作が終わってから出かけた、2023年夏の終わりからのハワイの記録、もう少しお付き合いください。
今回のテーマは、私のハワイになくてはならない“こと”、“もの”である“ハワイアンヴィンテージ”のことを。今から30年ほど前にアロハシャツやムームーの柄を自分で着たくて集めはじめたことをきっかけに、ヴィンテージ道へとズブズブハマっていったわけですが、まさかその興味がここまで続くとは自分でも思っていませんでした。
カレンダーを作りながらも、たびたび思い出したのはヴィンテージを扱うハワイの友人たちのこと。長年通い続けているうちにすっかり仲良くしていただくようになり、コロナ渦の間にも何度も連絡を取り合っていたので、実際3年半ぶりに会えるとなってワクワクとドキドキが止まりませんでした。
私のハワイはいつだってここがど真ん中。とにかくヴィンテージというか、古いものに囲まれていたいのです。そんなハワイでの時間のことを、ほんの一部書かせていただきました。
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ヴィンテージの師匠
ここは私が愛してやまないヴィンテージストア「Antique Alley」。アラモアナセンターの裏手にあった頃から通って20年以上。私のヴィンテージの師匠であり、おじいちゃんのような存在でもあるPakeさんと3年半ぶりの再会を果たし、涙、涙。
最初にお店を覗いたら、本とレコードの中にこの置き物が! 思わず、「Pakeさんが…!? ひーーーっ!」となってしまいました。こういうお茶目な驚かしは相変わらずのおじいちゃん! まずは懐かしいお茶目さにウェルカムされ、ひとしきり、久しぶりの再会を堪能しました。
見ての通り、お店の中はかなりごちゃっとしております。が、ヴィンテージのお宝探しは、この山の中から何かを探し出すのが楽しいところ。特にここはその代表的存在。「最近は、観光客が少ないから」と寂しそうでしたので、是非、ハワイを訪れた際は覗きに行ってみてほしいです。
今回は滞在時期が一緒だった、ともにハワイ本を書き続けてきた相棒、内野亮さんとともにお店を訪れ『Aloha Book』(六耀社・2007年に発売された内野さんと私の最初の本)で最初にPakeさんを撮影したときのことなどの話で盛り上がりました。
それにしても本当にここでは、たくさんのモノを買わせてもらったなぁ。アロハシャツやムームー、ヴィンテージの生地はもちろんのこと、昔、ハワイにあったパン屋さんのトレー(名前も入っているもの)とか、昔のシェイブアイス屋さんのアイスピック(もちろんロゴ入り)なんかも。
ここからそんなものが!?と思いますよね。それがあるんですよ、本当に。このごちゃっとした中に、お宝が眠っていると思うとワクワクしますよね。ところどころに書かれた、売り物ですという表示がまた、笑えます。自分でもこの整理されてない感じ、わかってるってことですよね、w
「Antique Alley」
1030 Queen St.,Honolulu 808-941-8551
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ヴィンテージの棚があるプレートランチ店
ワイキキから歩くこと約20分。モンサラット通りにあるプレートランチ店『Pioneer Saloon』は、私の大好きなお店。ハワイに行くと、滞在中、何度もお世話になります。
オーナーシェフのノリさんはアメリカ在住30年以上。ハワイももう25年以上の大ベテランで、いつもいろいろおもしろいことを教えてくれる先輩です。日本のデパートで毎年行われるハワイフェアで顔をご存知の人も多いのではないでしょうか?
実はそのお店の中にある棚にヴィンテージのものがあるって知っていましたか? ハワイ好きの方はご存知の方も多いと思いますが、ここが意外と穴場で、いいものが見つかります! それというのも、この棚を切り盛りしている方は、ヴィンテージ番長中の番長だから。さまざまなヴィンテージの方々とつながり、つなげ、その輪を大きくしていった張本人。ハワイでヴィンテージに関わっている人なら誰もが知っている方の秘密の棚、なのです。
ハワイのヴィンテージのプリント柄やアロハシャツ、ムームーなどについて書いた自著『Hawaiian Print Book』(筑摩書房)にも彼女たちのことは書きましたが、とにかくすごい方が仕切っている棚なのです。
そこで、ランチをとりながらヴィンテージを探す時間はまさに至福のとき。3年半ぶりの今回も以前と変わらず、同じ時間を堪能してきました。コロナ渦前に発売になった自著『Hawaii note』(KADOKAWA)や、コロナ渦後に念願の発売を果たした『ショーン・モリス ハワイグルメ完全ガイド』(ハワイのレストランを知り尽くした友人、ショーンが伝えるハワイのおいしいところを網羅したレストランガイド。編集と執筆を担当しました。)も販売中!
ヴィンテージを堪能しながら、おいしいものも食べられるところって、そうそうないですよね。私が知っている限りではまだここだけ。あぁ、本当に和む場所!!
「Pioneer Saloon」
3046 Monsarrat Ave., Honolulu 808-732-4001
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素敵なディスプレイ
ノースに行ったら必ず立ち寄るところ。オリジナルのものあり、ヴィンテージの洋服、アロハシャツ、レコード、本、ハワイアナ関係ありのセレクトショップ。
ヴィンテージのみならず、オーナー自身がセレクトした今のアイテムも他では見つからないモノが揃っているので、ここに来ると隅から隅までじっくり時間をかけて楽しみます。
今回手にしたのは、オリジナルのTシャツとサングラス。ダンナにレコードを買ってあげようかな、とも思いましたが、甘やかしている場合ではない! 円安なんだから!と気を引き締めて、レコードはちらっとチェックするのみで終わらせました。が、オーナー キャピーさんの相変わらずチャーミングな笑顔を見ていたら、あれもこれもと手にしたくなってしまう。危ない、危ない。
ところでここのお店のディスプレイは、いつ来ても楽しい! なるほどと思うところがいっぱいで、狭いわが家を楽しくするお手本でもあります。サングラスの並べ方、レコードのさりげない置き方、Tシャツの掛け方などなど挙げるとキリがない。
うちの倉庫のようになっている汚部屋もお店のようにディスプレイすることで、少しは気分も変わるってもんです。そんなインテリアのお手本になるお店の、素敵なディスプレイを眺めるだけでもここに来る価値あり!です。もちろん、キャピーさんのアロハな笑顔に会えるのもありがたし、ですよ。
「Number 808」
66-165 Kamehameha Hwy., Haleiwa 808-312-1579
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ハワイにいる幸せを実感できるお店
ワイアルア シュガーミルのところにヴィンテージストアがオープンしたと聞いたときは「え!?」って感じでした。しかもそのお店のオーナーがまさか昔からの知り合いとつながっていて、いつかハワイでフラフラしている私と会えると思って、その日を楽しみにしていてくれた人だったなんて! という驚きの出会いから数年、ハワイはもとより、さまざまなヴィンテージの教えをいただいてきました。
細長いお店の中には、長年オーナーのエツコさんが集めてきたヴィンテージがぎっしり。アロハシャツ、ムームー、Tシャツ、リミテッドの置き物や人形、バッグ、ランプ、雑誌などまで、ぎゅーぎゅーに所狭しと並んでいます。それをひとつずつ物色するのがとにかく楽しい!
今回「あ、これ!」と思ったヴィンテージのスヌーピーの置き物には、“Don’t Touch”のシールが、w 。スヌーピー好きのエツコさんのところでは、なかなかヴィンテージのスヌーピーは見つかったとしても買わせてはもらえません、w でもこういうものを見せてもらえるだけでもありがたい。
エツコさんのところにはそんなお宝がた〜くさん! ハワイのものが中心ですが、音楽やアメリカのカルチャーにも造詣が深いエツコさん。私が憧れている60〜70年代のもの、ことにも詳しく、ちょっと訊くとその10倍以上の返事が返ってくるのもワクワクで、話しが止まらない、止まらない!
そんな話を楽しく聞きながらお店の奥へ奥へと足を踏み入れ、置いてあるものを「ちょっと失礼」と丁寧に動かさせてもらった奥から出てくる宝物に、毎回、どひゃ〜〜〜〜〜!と喜びの雄叫びが漏れる私です。
そんなわけでここを訪れるときはいつも1日がかり。だから、ここ用の日にちを設けておかないとならないのです。海にも入らない、新しいお店にも行かない(いつもほぼ行かないけれど、w)、噂のおいしいお店も行かない、けれども私がハワイにいる幸せを実感できるのが、このお店の中を行ったり来たりしているとき。本当、大好きでたまらない、時間なのです。
「Back in the Day Hawaii Vintage」
67-106 Kealohanui St., Waialua