#46 京都大学を中退した医学部生が世界一周してみた
旅の第二交差点ーネパール⑤
ふと気が付けば、ぼくの旅は世界の宗教聖地というものに焦点が置かれていた。
スペインのカトリック聖地「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」
チベット仏教の聖地「ボダナート」
仏教の聖地「ルンビニ」
少なく見積もっても、三箇所を念頭に置いたぼくの世界旅行は、あたかも「聖地巡礼の旅」という様相を呈していたのだ。
そしてその時、一瞬で全身に鳥肌が立つような衝撃が体を走った。
―ぼくの旅はこのためにあるのだ
胡散臭い、と言ってしまえばそれまでであるが、そんな使命感、或いは天命のようなものがぼくの体を貫いていた。
つい何日か前に決めた、スペインの聖地巡礼ということも含めて、ぼくの世界旅行は家族のために祈る旅ということだったのだ。
そして、これは家族の平和や安寧ということを祈るばかりではなく、ぼくが今まで家族にかけた迷惑を洗いざらい吐き出して、懺悔するための巡礼であるかもしれなかった。
もしかしたら、ぼくが27年かけて重ねてしまった罪というものも、この聖地巡礼によって、ほんの少しでも償えるのではないか、そんな狙いがあったのだ。
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