親子でお花見に出掛けた日の幸せ
母が朝、私に声をかけました。「今日、覚えとる」もちろん忘れてなどいない私は「お花見じゃろー」と、言うと母は、ニコッと笑って、「忘れてないわいねー」と、ほっとした様子でした。
開花宣言がされたばかりの時に、数輪の桜は見ていましたが、満開に近い桜は目にしていないので、母はとにかく、親子でお花見に行きたかったようです。
のんびり出掛ける準備をしている私に母は「あんた、何しよん、早よ準備おしやー」と一言。
母の心が急いているのがわかります。
母は、いつもより1時間以上前から準備をして、赤い口紅までつけていました。
「今年の桜は、見納めとかんとねー」と私に思いを伝えます。
「お母さん、見納めなんて、縁起でもないこと言われん」と言うと、
「花が散るけんねー、それに来年見られるかどうか分からんけんねー、誰も明日のことは分からんけんねー」とさらりと答えが返ってきました。
私はその言葉を聞いて、何だか、深いことを伝えられたような気持ちになりました。
お花見の場所は、道後温泉の近くにある道後公園です。バスと路面電車を乗り継いで向かいました。
バスの中で母は、私の後ろの席にいて、「あっ、あそこの桜見て、綺麗、満開じゃ、ほら向こうの木も、ピンクの色が綺麗よー」
電車では、隣の席で、「ほー、あそこも一本だけ桜の木があったんじゃねー、あの家の桜もきれいよー」と、しきりに私に話しかけてきます。
母は、その道中から桜を満喫しているようでした。
足腰が不安な母は、お供のキャリーバッグに身を預けながら、片方の手には杖がわりの傘を持って、両手を使って、懸命に目的の道後公園に入っていきます。
その日の桜はまさに満開でした。
母は、私に「桜と私、スマホで撮ってやね、この木はどうかなー」と、納得がいく被写体を探しています。
私が「Vサイン」と言うと、可愛い笑顔で、要望に応えていました。
ベンチに腰かけた母は、桜の花をじっくり眺めながら、「私は大樹がいいなー、付けている花も味があるような気がするんよねー、桜は本当にええねー」
そして、しばらく花談義をした後
「花咲けば散るが定めよ、ケセラセラ」と私の耳元で、大きな声で一句詠みました。
私は、爛漫の春を感じる公園で、母と二人ベンチに腰かけながら、ふと、人生について、考えていました。
そして、今日は花見に来て本当に良かったと思いました。
母からは、教わることばかりです。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
自宅に帰ってからのリビングでの会話です。
「あんた、何から何まで書かんでええんよー、口紅を、うっすら塗ってにしといてや、キャリーバッグも、杖がわりの傘も書かんでええんよー」
「お母さんどうしても、お花見に行きたかったみたいじゃねー」
「咲く前に行って、咲いたばっかりの時に行ったろ、じゃけん満開の時も見たかったんよ」
「お母さんの句は、私に響いたよー」
「花咲けば散るが定めよケセラセラ
言うんは、私の事だけじゃないんよ、あんたもそうよ、じゃけん、一日一日を大事に生きないかんのよ」
再び、母から大切なメッセージをもらいました。
【ばあばの俳句】
全身で幸せ受ける花吹雪
母は、桜の花吹雪をハートにして夢のあるイラストを描きました。
花吹雪の中を行く私たちは、その花びらを体に受け取りながら、幸せをキャッチしています。
とてもハッピーになる一句です。
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