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私は土に何かを埋めていた

◇◇ショートショートストーリー

私は夜になるのが本当に怖かったのです。暗闇から何か不思議な生き物が出てきて、私をさらっていきそうなそんな恐怖心があって、寝れなかったのです。

眠れなくなったのが何時からかは分かっています。おばあちゃんと一緒に恐怖映画を観た翌日、とても元気だったおばあちゃんが、脳梗塞を起こして丸一日昏睡状態が続いた後、天国に行ってしまってからです。

それからは夜のとばりが降りる頃になると何故か胸騒ぎがして、そわそわしはじめ、眠ろうとしてベッドに入っても、少しも睡魔が襲わないのです。

そして昼間はいつも眠く、いろいろなことに集中するのが難しくて、学校の授業も頭に入ってこないことがほとんどでした。

ある日の深夜です。いつもなら目がさえてどうしようもない時間なのに、その日に限って思いっきり眠気が襲ってきて、ぐっすり眠ったことがありました。そして夢を見たのです。

それは不思議な夢でした。

素敵な王子様が私に手を差し伸べて眠っている私を起こそうとします。

「倫子さん、眠ってないで、、僕と一緒に遊びましょう、さー、庭に行きましょう」

「えー、私は夜は嫌いなんです、だからじっとしていたいし、今日はせっかく寝れたのに・・・」

「倫子さん、遊びましょうよ、大丈夫、僕と一緒なら怖くないですから」

王子の甘い言葉に誘われて、倫子は自宅の庭に降りていきます。

「倫子さん、僕は土を掘りますから、あなたはそこに涙を一粒ずつ落としてください、いいですか、一粒ずつですよ」

倫子は一生懸命に涙を落とそうとします。おばあちゃんが亡くなってから一度も涙を流すことが無かった倫子は、王子に言われて、涙を出そうとします。

「どうしたら涙が落ちるんだろう」倫子は、涙を流す手立てを考えていました。

「そうだ、おばあちゃんのことを思い出そう、絶対に思い出すのは辞めようと思っていた、おばあちゃんのことを思い出して涙を流そう」

そうすると、倫子の目からポロポロ、ポロポロ涙がこぼれていきます。

王子は涙の一粒一粒に土をかけていきました。

そして、あっという間に庭中が埋めた涙でいっぱいになりました。




倫子はおばあちゃんが亡くなってから、ずっと泣くのを我慢していたのです。大好きだったおばあちゃんが突然亡くなって、信じられない気持ちもありました。亡くなったことを受け入れられなかったのかも知れません。

でもその日は、心の内をさらけ出して、涙を流すことができたのです。

そして、翌日から何故か倫子の眠れない夜は無くなりました。

数週間後、庭に小さな緑が芽を出していました。倫子は毎日水をやり、毎日草むしりをして、育てました。そして、そこに咲いたのはおばあちゃんが好きだったひまわりの花でした。



倫子は思いました。おばあちゃんが私に元気をくれたんだと。


ひまわりが咲いた日に倫子は夢を見ました。
「倫子、おばあちゃんはいつもお前のこと見守っているからね、心配しないでいいよ、また夢で逢おうね」おばあちゃんは笑顔で倫子に手を振っていました。

あの日から倫子は夜、眠れないことも、胸騒ぎがすることも無くなりました。



【毎日がバトル:山田家の女たち】

《どのシーンがトップ画面に相応しいんかな》


デレビに夢中のばあばとの会話です。

「人の一念岩をも通す、ファンタジックで面白かった、ひまわりが咲いて良かったねー」

「お話だからね」

「私がトップ画面描くんじゃ炉、どのシーンがええんかねー」

「これからじゃねー」

「ひまわりは元気が出る花じやけんね、ええ感じで描かんといかんね」

こんな感じで母と話ながら、ショートショートのトップ画面は決まっています。


【ばあばの俳句】


風鈴の短冊ゆれて音すがし


母は、夏の涼の一つ風鈴の中でも、見ためからより涼しさを運ぶ江戸風鈴をイラストで描き句に詠みました。この風鈴の短冊が風に揺れると涼しさを運んでくれるような気がしませんか。



一枚のイラストにも心を込める母の思いを感じます。まだまだ暑い日が続くと思います。この一枚で涼を感じてくだされば嬉しいです。


▽「ばあばの俳句」「毎日がバトル:山田家の女たち」と20時前後には「フリートークでこんばんは」も音声配信しています。お聞きいただければとても嬉しいです。

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私のアルバムの中の写真から

また明日お会いしましょう。💗

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