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文雲てん
2022年10月20日 00:36
実はここ数ヶ月、過去に撮った写真を見ることができずにいた。振り返ってしまったら、そのどうしようもなさに囚われてしまう気がしてならなくて。そうでなくてもずるずるといろんなことを引きずって、あっちこっち右往左往。ようやくハードディスクを差し込んで過去の写真たちと再会を果たしたよ、5ヶ月ぶりに。 それは小さな記憶を辿る旅。そこにはとても愛しくてやさしい時間が流れていた。もう忘れてしまいたいと願った
2022年11月22日 19:07
すべてが毒になる日が怖くて仕方がない。 数ヶ月前の日記の最後にはそう記されていた。ずいぶんと気を病んでいた頃に綴っていた言葉たちを少し見返していた。反省でも後悔でもなく、そしてそれが美化されることもなく、ただそういう日々が確かにあったということをゆっくりと受け入れてきたんだと思う。ほんとうに何もないと思っていた。か細い声のような言葉たちは、悲しいとか寂しいというよりずっと自分に刃を向けていた
2022年8月3日 01:45
恥の多い生涯が現在進行形で進んでいるな、とふと思います。好きな場所で迎えた夏も、もう1ヶ月が過ぎて、変わらず灼熱の毎日です。スーツを着たり脱いだりして、自分じゃない人間を見てるような体験をして、ずっと社会に触れてきたはずなのに、関わり方ひとつ変わっただけでこんなにもはみ出せてしまうことをもはや才能のように感じていた今日この頃。希望も光もないけれどやっと藁くらいは掴んだかしら、てな感じです。
2022年6月22日 19:50
手紙を書くとき、書き直す癖をなかなかやめられない。筆跡に表れたじぶんが随分と急かされているようで一度立ち止まった。ぐちゃぐちゃになった近況の要約を丸めて、「深海」とそれだけ書いた。夏至の前日に書いた手紙。いちばん深い場所にいた、死と詩と、そんな話。
2022年6月16日 02:37
明日は晴れるから絶対に行くなら明日、と念じながら寝たのが日曜の夜で月曜日に早起きをして好きな街に出かけた。少し前に住んでいた場所の最寄駅を通ったとき、あの部屋にはきっと別の人が住んでいるんだろうと思った。振り返ってもなかなかにいい部屋だった。管理人のおばちゃんが住み込みでいて、話し始めたらとまらん感じの気さくなひとだった。ゴミがいつでも出せた。夜どんな時間に帰ってきてもどこかの部屋の明かりがつい
2022年5月31日 03:55
昼間に、まだ歩いたことのない道で帰るあそびをした。薄い手提げ袋には、財布とノートと一冊の本。音のない商店街、立ち入り禁止の草むら、家に張り付いた枯れた蔦。皮膚が直に熱を受ける感触があって、空と地面を交互に見てたら、日焼け止め塗ってくるの忘れたことを思い出した。 歩いていると、何かの条件反射のように思い出すことばかりある。歩きながら当時やたらと聴いていた音楽が流れると、そのとき自分を通してみた
2022年5月23日 19:33
「今、どんな景色が見えますか?」 この問いの前に立ち、もしかしたらいま、言葉でしか掬えないものの輪郭を掠めたかもしれない、その気配を感じられたかもしれない。 写真を見なくても思いだせる景色があります。それは瞬間の連なり。目だけでは見なかったものたち。いつだったか「すべてこの星の出来事」と書きました。それを目の当たりにした時にいてもたってもいられなくなった時のこと。どうにかしてそれに触れた
2022年5月16日 03:40
しばらく月も星も見えない夜が続いて、私はあんなにも夜の美しさを愛していたはずなのに朧げな記憶に蓋をしてしまった気がしている。大好きな景色があった、ほんとうは今だって目を瞑れば鮮明に思い出せる。どんなに深い夜でも遠くに光る街が、走るトラックの音が、深夜にふらふら歩いていくコンビニが、帰り道の点滅信号が、まるで夜を揺蕩う切符のようにあったことを。まっくら闇のなかで、自分の輪郭や夜との境界線があやふや