「きみはオフィーリアになれない」 川嶋美禰子 後編 #115
自分と全く同じだ、と美穪子は思った。自分と同じように、安達凛子の腕は白く変色している。
「確かに、『魚』を使うな、とは言わなかったけれど……」と安達凛子は呟いた。「そうなのね。じゃあ、瀧本先生も、そうなのよね、きっと」
「違うんです。その、なんというか、偶然、はずみで、その」
「別に責めてるわけじゃないわ。別にいいの。もともと、あたしだって似たような立場なんだし。ただ、私は、この『魚』を返してもらいたいだけなの」
魚を返してしまっても構わないのではないか、と美穪子は一瞬思