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超短編小説

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#掌編小説

超短編|半分こ

超短編|半分こ

 「喜びは二倍に、悲しみは半分に。」

 ありふれた言葉だけれど、二人ならきっとそんな人生が送っていけると思ったから、私はあなたと結婚したのよ。
 でも些細なすれ違いが繰り返されて、二人の関係はいつの間にか水と油のように分離してしまった。

 私がしたかった半分こは、こんな二層じゃなかったのにね。
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超短編|プレゼンテーション

超短編|プレゼンテーション

 「別荘の周りには、色とりどりの花が咲いて綺麗ですよ。」
 「プライベートビーチもありますし、楽しんでください。」
 「少し先にあるマツタケが採れる山で、秋の味覚三昧を。」
 「本を読むにも静かな場所ですが、温泉で雪見酒を楽しむのも乙なものですよ。」

 ここは不動産屋お勧めの物件。この魅力的な別荘のプレゼンは、各季節が分担して行なっている。

 「ぜひ、如何ですか?」
#超ショートショート  #

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超短編|余計な言葉が多すぎる

超短編|余計な言葉が多すぎる

つぶやきって140字じゃない?でも最近は、不用意なこと言うと炎上してしまうから、保険かけてしまうんだよね。『撮影時のみマスク外しています』とか『一概には言えませんが』とか。『個人の見解です』や『異論はあるかと…』もあるな。厄介だよね。前置きが必要になったせいでさ、文字数が足りな…
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超短編|規則正しい生活

超短編|規則正しい生活

 僕は時間に正確だ。規則正しく、分刻みで送っている生活には無駄がない。前夜に確認する翌日のスケジュールは、起床から就寝までいつも完璧だ。

 だが翌朝、登校中の僕に異変が起きた。

 「おかしいな…今日はこの曲がり角で、トーストをくわえた女の子と出会い頭にぶつかって、恋に落ちる予定なのだが?」
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超短編|感じ取る力

超短編|感じ取る力

 静まり返った真夜中、私は遊びに来たエミーとおしゃべりに興じていた。するとそこに、何やら不穏な空気が流れる。

 「あれ…?窓の外、変じゃない?何かが起きてる?」
 「エ?イーエ、ベツニ ナニモ。シズカナヨルダト オモウケド?」
 「本当に何も感じない?何だろう、この懐かしいような、既視感…。」
 「ウーン、キノセイデハ?」
 「そうね…。いえ、わかった!こ、これはあれよ!川を!川を、桃が流れてい

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超短編|私の趣味は。

超短編|私の趣味は。

 趣味は何かと問われる場面は、往々にしてある。婚活でも、就活でも。だがそこで、本が好きだと回答すると、何故だか趣味を持たない人の定型文のように捉えられてしまう。本当に趣味だとしている人間にとってその考えは、理不尽極まりないことじゃないか?

 私は本棚に並んだ本を眺める『積読本鑑賞』を趣味としているのに。
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超短編|紛れもなく、あなたは。

超短編|紛れもなく、あなたは。

 アルコール中毒者の中でも特に暴れてしまうような人はね、大抵「俺は飲んでない。アルコール中毒じゃない!」って言い張るの。
 だからあなたも「俺は違う」なんて言ってないで、そろそろ認めてほしい。現実から目を逸らさないで。その右手にあるお菓子の袋も、隅々まで読み尽くすつもりなんでしょう?

 いい?
 今のあなたはね…紛れもなく重度の『活字中毒者』なのよ。
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超短編|ドーナツの力

超短編|ドーナツの力

 「この穴から覗いてみますれば、たちまち相手の真意が見通せましょうぞ。」
 「なんと!ドーナツの穴にはそのような力が?」
 「左様。」
 「これで如何ですか?」
 「ふむ…穴が小さいな。」
 「それではこちらのオールドファッションドーナツでは?」
 「なかなか良いが、一つではまだ見通しがきかぬ。おかわりだ。」

 まず先に、相手の男の真意を読むべきなのは明らかだった。
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超短編|後継者

超短編|後継者

 僕はジムに通っている。
 来るべき時のために、身体を鍛えておく必要がある。中でも、手首の強化メニューを重点的にこなすようにしたのは、コスパ良く成果を出せるようにとの考えだ。

 本番はもうすぐ。練習にも当然、力が入る。
 スナップを利かせて…撒くべし、撒くべし、撒くべし!

 お爺ちゃんの跡を継ぎたいと修行を始めてから5年。僕は明日、受験生に吉報を届ける『花咲か爺さん』としてデビューする。
 目

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