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企業と採用候補者の「すれ違い」問題を解消するために 【企業編】


はじめに

久しぶりにnoteを書きます。筒井です。
XTalentに入社して2年半ほどが経つのですが、昨年までは企業におけるDEI推進支援でトレーニング開発やプロジェクトのデリバリーをしてきました。最近は、ワーキングペアレンツを中心としたミドル〜ハイレイヤーの人材紹介をしています。

「優秀な人材を採用したい」という企業と「持続可能な働き方をしながらキャリア形成をしたい」という転職を考えている人(以下、候補者と書きます)とのマッチングをしている中で、本noteでは企業の方にお伝えしたいことを綴ります。

【ご参考】候補者編を読みたい方はこちら

ちなみに、昨今の日本では法令改正に伴う企業の情報開示(男女賃金差異の開示義務化、男性育休取得推進の義務化など)や人的資本経営への言及の高まり、コロナ禍後の出社回帰などの社会情勢の変化がありました。アメリカでは一部、DEI推進に揺り戻しの動きもある中で、日本企業ではDEI推進部署の新設や専任人材の採用などの動きが進んできています。

皆さんの周りにも、男性で1ヶ月以上の育休をとる方や、パートナーの出産を経て働き方を変えている方がいらっしゃるかもしれません。


優秀な人材を採用したい企業にお伝えしたいこと

企業が競争前提の市場で生き残り、成長していくためには優秀な人材の採用はどんな企業にとっても最重要なテーマのひとつ。企業成長における生命線ともいえる採用ですが、

・母集団形成ができない
・きてほしい人に応募してもらえない
・競合他社に採用で競り負けてしまう

など課題山積みの企業は多いと思います。そんな中でさらに人口が今後減っていくとなれば、採用競争は今後さらに激化していきます。

そんな中、共働きまたはシングルで子育てをしている人、介護など家庭内で何らかのケアワークがある人、通院や治療をしている人など、働く上で時間(時間帯・総合的な稼働時間)に制約のある人が、働きがいをもって持続的に活躍できる組織づくりをしていくことの重要性が増してきています。

例えば、女性管理職を増やしていくための取り組みは、その進展を感じている方も多いかもしれません。多様で優秀な人材の採用そして定着というテーマは多くの場で語られるようになってきましたが、本記事では採用にフォーカスしてゆきます。

その採用の初期段階で作成される職務記述書や求人票、採用広告やイベントなどあらゆる採用のための取り組みでは、

・【認知】自社をどのような企業だと認知してほしいのか
・【興味 / 好意】どのような人材にどのような点で振り向いてもらいたいのか
・【継続性】きてほしい人材にどのように興味 / 好意を持ち続けてもらうか
・【行動】きてほしい人材にいかに応募をもらえるか

という視点で一貫性あるコミュニケーションを行うことが必要です。
一方で、候補者となるべき人材に発信されたメッセージがミスリードされてしまうことによって、実際には遠ざけてしまっているケースが往々にして起こっています。


求人広告のジェンダー表現は応募意欲に影響

研究論文を調べてみました。
求人広告上のジェンダー表現が、なぜ女性が仕事に興味を持つことを妨げるのか、またその理由を検証したのが、Gaucher, Friesen, and Kay(以下GFK)の研究です。

この研究からは、求人広告上の一定の言葉*が、男性優位の職業から女性を排除する障壁として機能していることが、示唆されています。

求人広告上で「競争的」「支配的」などの言葉を使用することによって、男性優位の仕事における男性への暗黙の選好が伝達される

Gaucher, D., Friesen, J., & Kay, A. C. (2011). Evidence that gendered wording in job advertisements exists and sustains gender inequality. Journal of Personality and Social Psychology, 101(1), 109–128.https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fa0022530

※ 一定の言葉:本研究において設定された言葉のリストは研究論文内のAppendix Aをご参照(p.125)

さらに、女性の社会的帰属の認知が、これら一定の言葉が仕事の魅力に及ぼす影響を媒介しており、個人的スキル欠如の認知がそれを媒介しているわけではないということが分かっています。

つまり、求人広告に男性的な仕事を想起させる文言があると、女性がその仕事は男性優位の仕事であると(仮に自分のスキルが職務要件を満たしていても)認知し、応募を躊躇してしまうということです。
このGFKの論文は、数百以上の研究で引用されているようです。

その他、同論文の中で述べられていることをピックしてみます。

「カラー・ブラインド」を明示していながら、マイノリティの割合が低いことを示唆する写真が掲載されている会社のニュースレターを読むと、その会社に対する信頼感や居心地の良さが低下することが示された研究もある

Gaucher, D., Friesen, J., & Kay, A. C. (2011). Evidence that gendered wording in job advertisements exists and sustains gender inequality. Journal of Personality and Social Psychology, 101(1), 109–128.https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fa0022530

企業が「私たちは肌の色に関わらず採用しています」という主張をしていながらも、実際は有色人種の割合が低いということが分かった場合、その会社に対する信頼感や居心地の良さが低下する、ということですね。

これは肌の色が取り上げられていますが、
(あくまで私の推論ですが)性別などに関しても同様のことが言えると思っています。

「私たちは性別に関わらず採用しています」という主張をしていながらも、実際は女性の割合が低いケース、女性の割合は高くても部長〜経営に女性がほぼいないケース(特にこっちは日本で多い・・)ですね。

「私たちは女性採用に力を入れています!」
「育児中の方も多く活躍しています!」
「ワーママ活躍中!」
(特に3つ目の表現は暗黙のうちにジェンダーの偏りが感じられ、きてほしい人たちからは敬遠される表現です)

こんな大々的な発信はされていても、ファクトベースで(特に上層部に)女性が少なかったり、育児中の方がいなかったりすると、その言葉はきてほしい候補者にとって逆効果になっているということです。

「今はまだ少ない。だから増やしていきたい」というケースもあると思うので、その場合は少ない中でも「活躍している現社員の実際の働き方」「どんな人材育成がされているかの実態」をコンテンツ(記事など)でフォーカスすることでポジティブなメッセージとして受け止められることはあります。これらは、候補者の方々との日々の面談で気付かされたことです。

その他、同論文で興味深かった内容としてこのようなものもありました。

求人票に使われているジェンダー表現によって、「自分がその仕事に必要なスキルを持っていない」と思うからではなく、「自分の居場所がない」と思うから応募意欲が下がるのである

Gaucher, D., Friesen, J., & Kay, A. C. (2011). Evidence that gendered wording in job advertisements exists and sustains gender inequality. Journal of Personality and Social Psychology, 101(1), 109–128.https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fa0022530

その仕事に男性が多いか女性が多いか、自分がその仕事を遂行する上で必要なスキルをもっているかどうかということよりも、求人広告に使われている言葉や表現から想起される帰属的なグループに自分が含まれるかどうかが応募意志に関わる、ということが述べられています。

ここでいう帰属的なグループとは何でしょうか。
例えば「異なる業界のバックグラウンドをもつ育児ケア責任*を持つ男性」「未就学児の育児と仕事を両立させている管理職の女性」などが挙げられそうです。

帰属的なグループとは、性別やスキルだけで一括りにできるものではない、という認識を持って設計することが重要という示唆だと捉えています。

*ここでいう「育児ケア責任を持つ」とは?:
家庭内で育児ケアを精神的・身体的に担っているという責任を持っているということ(育児中とはいえ、パートナーがほぼワンオペで育児を担っている場合は育児中とはいっても育児ケア責任を持っている人に含めていません)


スタートアップと老舗企業では何が異なるか

上記で取り上げたGFKの論文でフォーカスされた論点をベースに、求人広告におけるジェンダー表現は女性のスタートアップへの入社を躊躇させるかどうか、ということを検証した研究も見つけました。
(スタートアップに対する一般的な関心が高まっていることを踏まえ、GFKの研究を再現し、スタートアップと老舗企業とでケースが比較されています)

スタートアップは依然として男性的な空間である(Ahl,2006; Marlow,2020)。従って、スタートアップの求人広告における包括的な表現は、男性的なスタートアップ企業文化のステレオタイプとは対照的であり、代表的でないグループのメンバーの "所属していない "かもしれないという期待を積極的に裏切ることになる。

このポジティブな期待違反(Jussim et al.,
1987)によって、採用プロセスにおいて、より包括的な表現を用いてジェンダーの多様性を促進する戦略は、スタートアップにおいて特に効果的である可能性がある。

Seong, M., & Parker, S. C. (2023). Does gendered wording in job advertisementsdeter women from joining start-ups? A replication and extension of Gaucher, Friesen, and Kay (2011).Strategic Entrepreneurship Journal,1–20.https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/sej.1489

また、GFKの研究とは異なる見解が出ています。

GFKの研究では社会的帰属の認知が有意な媒介因子であり、個人的スキルは媒介因子ではなかったが、我々はその逆であることを発見した。

つまり、男性的な言葉遣いは、仕事に異なるスキルが必要かどうかという女性の認識に影響を与え、その結果、仕事の魅力に対する評価に影響を与えるようである。

Seong, M., & Parker, S. C. (2023). Does gendered wording in job advertisementsdeter women from joining start-ups? A replication and extension of Gaucher, Friesen, and Kay (2011).Strategic Entrepreneurship Journal,1–20.https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/sej.1489

この新たな研究では、GFKの研究で実証された知見(求人広告に男性的な表現が使われている場合、女性はその仕事に魅力を感じにくくなる)はスタートアップでは再現される一方、老舗企業では再現されないという結果が出ています。

そして、その媒介因子はGFKの研究では社会的帰属の認知とされていましたが、新たな研究では個人的スキルに寄っているようです。

GFKの研究が行われた今世紀最初の10年間と比べ、Seong, M., & Parker, S. C.の研究が行われた昨今とでは、人工知能や機械学習といった技術がより進んできており(Brougham & Haar,2018; Gloor et al.)、新しいテクノロジーにマッチしたスキルセットが重視されるようになってきています。候補者は企業が必要とするスキルを推測するために潜在的なシグナルにより敏感になっている、と考えることはできそうです。

加えて、一般的にスタートアップは、老舗企業と比較して組織の変化が早く、役割や責任が定まりきらないままに進むことも多くあるため、不確実で不安定な環境を「感情のジェットコースター」(Foo, 2011; Sirén et al.,2020)と表現されることもあります。女性は求人広告を読む前から、スタートアップのチーム文化と自分の適合性が低いと予想することがあり、これは、高度に緊密なチームとして働くというスタートアップの性質によって悪化することがある(Bray et al.,1978; Hoegl,2005; Jin et al.)とされています。したがって、女性的な言葉で書かれたスタートアップの求人広告が提示された場合、当初女性が抱いていた「スタートアップは男性性が強いであろう」という期待は積極的に侵害される可能性があるのです。個人がネガティブなステレオタイプとずれた情報を提示される現象は、「ポジティブな期待の侵害」(Jussim et al.,1987)と呼ばれています。

スタートアップのチームメンバーには、高いレベルの協働とコミュニケーションが求められることは採用支援をしていても強く感じるのですが、上記の観点で求人広告の言葉や表現がより包括的なものとなるよう留意することは、多様性に富んだ優秀人材の採用において有効に作用しやすいということは言えそうです。


30〜40代に求められはじめている働き方

私が仕事を通して面談をさせていただく方々は30〜40代の方々なので、そこに限ったことしか言えないのですが、今の30〜40代はライフイベントと並行させてキャリア形成のアクセルを(強く踏む・弱く踏むの緩急はあるとはいえ)踏み続けていたい方が増えているように感じます。実際、日本において生産人口が減り続けている中で、15〜45歳の労働人口に占める育児中の共働き正社員人口の比率は伸び続けています

実際に、男女関わらずこのような相談をいただくことがあります。
※年収は600万円〜1,500万円程度の方々です

・不妊治療をするので働く時間のフレキシビリティをあげたい
・育休明けでもキャリアのアクセルは踏み続けていたいが、現職だと時短勤務を選択せざるを得ない(それに伴い仕事の裁量も限られる)ため、フルタイムで働き続けるために転職をしたい
・親の介護が必要になりそうで、仕事と介護を両立できる環境づくりを進めておきたい

突発的な対応が常時発生するという業務特性のある仕事であれば、時間に制約のある人はそもそも採用できない、採用したとしても活躍が難しいという一定のケースはあると思います。

ただ、そのような仕事を除いては、多くの仕事の中においてアウトプット品質の最低ラインは定義しておき、どんなに逼迫してもそのラインを保てる業務フロー構築やシステム活用を進めることで時間に制約のある人が活躍できる環境をつくる余地はまだまだ日本企業において有りそうです。

その他、社内向けの仕事をできる限り減らすことで付加価値を生む仕事に費やせる時間を増やすバーチャルオフィスを活用してオフィスワーカーとリモートワーカー間でコミュニケーション機会の差が生まれないようにする非同期でも仕事が回るようにドキュメンテーションする文化を形成するなどもできるかもしれません。

【優秀な人材が応募企業を検討する際に確認していること】※足切り要件
・リモートワークの有無
・フレックス制度の有無
・非同期的に業務ができる環境の有無
・入社時から活用できる時間単位の有給休暇の有無
・制度を誰もがどんな時にも利用でき、制度利用をした人がそれを理由に虐げられたり評価されづらくなったりすることがないような風土の有無

このような制度と風土は両輪で形成することがとても大事です。実際に優秀な人材は上記が充実している会社を選んでいるというのが実態です。

そして、募集要項や企業のコーポレートサイト、採用サイトやあらゆる採用コンテンツにおいても、これらの情報を盛り込んでおくこと、そして選考過程における面談や面接内においては、候補者に応じてこれらの情報提供を行うことは重要です。


まとめ:企業の方へ

ここまでに触れてきたことをまとめるとこんな内容になります。

【優秀な人材を採用したい企業の方へ】

#1 求人広告上で「競争的」「支配的」などの言葉を使用することによって、男性優位の仕事における男性への暗黙の選好が伝達される


#2 「女性が活躍しています」など大々的な発信はされていても、ファクトベースで(特に上層部に)女性が少なかったり、育児中の方がいなかったりすると、その言葉はきてほしい候補者にとって逆効果になっている

#3 その仕事は男女どちらが多いか、自分がその仕事を遂行する上で必要なスキルをもっているかどうかということよりも、求人広告に使われている言葉や表現から想起される帰属的なグループに自分が含まれるかどうかが応募意志に関わる

#4 求人広告の言葉や表現がより包括的なものとなるよう留意することは、多様性に富んだ優秀人材の採用において有効に作用しやすい

#5 15〜45歳の労働人口に占める育児中の共働き正社員人口の比率は伸び続けている

#6 リモートワークやフレックスなどの制度、非同期で進行可能な業務フロー構築、制度と風土両輪の形成は優秀人材を採用する上で重要(足切り要件になっている)

ちなみに今回の採用というテーマからはややずれますが、このHBRはとても参考になるので関心のある方はぜひ。
※実際、選考過程において応募先企業の評価制度のことを気にされる人はとても多いです


いかがでしたでしょうか?長文だったと思いますが、ここまでご一緒くださった方本当にありがとうございます。少しでも役立つ情報をお渡しできていたら幸いです。

転職を考えている人編も書きましたので、気になる方はこちらもご参照ください。

以下Appendixでは、本文では取り上げきれなかった関連研究について取り上げます。

【Appendix】関連研究の列挙

上記、2つの研究を取り上げてみましたが、その他取り留めもなく気になったものを列挙します。まとまりなくで申し訳ないのですが、関心のあるテーマがあれば読んでみてください。

男性優位の職業における女性の割合の低さに対処するには、女性が職場に入る前、特に採用プロセスから始める必要がある

Ng, E. S., & Sears, G. J. (2017). The glass ceiling in context: The influence of CEO gender, recruitment practices and firm internationalisation on the representation of women in management. Human Resource Management Journal, 27(1), 133–151.

Van den Brink, M., & Benschop, Y. (2014). Gender in academic networking: The role of gatekeepers in professorial recruitment. Journal of Management Studies, 51(3), 460–492.

性別の多様性を促進するための協調的な取り組みは、採用プロセスのあらゆる段階で求められる

Coe, I. R., Wiley, R., & Bekker, L. G. (2019). Organisational best practices towards gender equality in science and medicine. The Lancet, 393(10171), 587–593.

Hunt, V., Layton, D., & Prince, S. (2015). Diversity matters (Vol. 1, pp. 15–29). McKinsey & Company.

Kang, S. K., & Kaplan, S. (2019). Working toward gender diversity and inclusion in medicine: Myths and solutions. The Lancet, 393(10171), 579–586.

Van den Brink, M., Benschop, Y., & Jansen, W. (2010). Transparency in academic recruitment: A problematic tool for gender equality? Organization Studies, 31(11), 1459–1483.

性別に配慮した求人広告を作成することは、性別に多様性のある応募者を惹きつけるための重要な第一歩であるにもかかわらず、求人広告にはジェンダー・バイアスがみられ続けている

Arceo-Gomez, E. O., Campos-Vazquez, R. M., Badillo, R. Y., & Lopez-Araiza, S. (2022). Gender stereotypes in job advertisements: What do they imply for the gender salary gap? Journal of Labor Research, 43(1), 65–102.

Chowdhury, A. R., Areias, A. C., Imaizumi, S., Nomura, S., & Yamauchi, F. (2018). Reflections of employers' gender preferences in job ads in India: An analysis of online job portal data. World Bank Policy Research Working Paper No. 8379.

Engel, Y., Lewis, T., Cardon, M. S., & Hentschel, T. (2023). Signaling diversity debt: Startup gender composition and the gender gap in joiners' interest. Academy of Management Journal, 66(5), 1469–1500.

採用担当者が、子どものいない若い女性候補者に対して、選考後に子どもが生まれる可能性があることから、より大きなリスクを負わせることを発見した(いわゆる「赤ちゃんが生まれるかもしれない」効果)

女性の資質の切り下げと、女性が満たさなければならない追加的な基準の両方が、採用における女性に対する需要側の差別の存続に寄与している

Gloor, J. L., Okimoto, T. G., & King, E. B. (2022). “Maybe baby?” The employment risk of potential parenthood. Journal of Applied Social Psychology, 52(8), 623–642.

賃金体系が成果主義的または競争的であることを明記または暗示する求人に女性が応募しにくい理由は、女性のリスク回避志向の強さで説明できるかもしれない。

女性は特定のリーダーシップのポジションに適合していないと判断することもある。

Flory, J. A., Leibbrandt, A., & List, J. A. (2015). Do competitive workplaces deter female workers? A large-scale natural field experiment on job entry decisions. The Review of Economic Studies, 82(1), 122–155.

Samek, A. (2019). Gender differences in job entry decisions: A university-wide field experiment. Management Science, 65(7), 3272–3281.

Bosak, J., & Sczesny, S. (2011). Gender bias in leader selection? Evidence from a hiring simulation study. Sex Roles, 65(3), 234–242.

求人広告に対する反応が男女で異なるもう一つの理由は、求人広告に含まれる情報の違いに関連している。

例えば、ビジネス志向よりも社会志向が強いという組織の主張が一致していればいるほど、雇用主が女性を公平に扱っているという信頼性の高いシグナルとして認識される


この種の情報は、求職の意思決定において、一般的に男性よりも女性に高く評価される。

Abraham, M., & Burbano, V. (2022). Congruence between leadership gender and organizational claims affects the gender composition of the applicant pool: Field experimental evidence. Organization Science, 33(1), 393–413.

職場における男女平等が進展しているにもかかわらず、労働力の構成における男女分離は依然として残っており、労働市場の成果における明確な男女差は続いている。

Bertrand, M.. (2020). Gender in the twenty-first century. AEA Papers Proc. 110, 1–24. doi: 10.1257/pandp.20201126

求人広告が男女の候補者によってどのように受け取られるかの違いは、
・ジェンダー・ステレオタイプ
・男女の日常言語の違い
・言語スタイルの違い
など、さまざまな原因から生じている可能性がある。

根底にある原因が何であれ、ジェンダー表現は、求人情報における性別選好を示す一因となることが示されている

Glick, P., and Fiske, S. T. (1996). The ambivalent sexism inventory: differentiating hostile and benevolent sexism. J. Pers. Soc. Psychol. 70, 491. doi: 10.1037/0022-3514.70.3.491

Pennebaker, J. W., Mehl, M. R., and Niederhoffer, K. G. (2003). Psychological aspects of natural language use: Our words, our selves. Annu. Rev. Psychol. 54, 547–577. doi: 10.1146/annurev.psych.54.101601.145041

Lakoff, R.. (1973). Language and woman's place. Lang. Soc. 2, 45–79. doi: 10.1017/S0047404500000051

Bem, S. L., and Bem, D. J. (1973). Does sex-biased job advertising “aid and abet” sex discrimination? J. Appl. Soc. Psychol. 3, 6–18. doi: 10.1111/j.1559-1816.1973.tb01290.x

Born, M. P., and Taris, T. W. (2010). The impact of the wording of employment advertisements on students' inclination to apply for a job. J. Soc. Psychol. 150, 485–502. doi: 10.1080/00224540903365422

リーダーシップの役割で好まれる特性は、主に男性に偏っていると考えられ、トップマネジメントの地位における男女の不均衡と相関している。

このようなバイアスが給与格差と共存していることが示されており、平均して、男性的特性を好む職務は、女性的特性を好む職務に比べて給与が高い。

また、ジェンダーに中立的な用語(例:警察官)や男性的/女性的なペア(例:警察官/婦人警官)を使用することで、ジェンダーの障壁を減らし、男女両方の応募者を惹きつけることができるという研究結果もある。

Askehave, I., and Zethsen, K. K. (2014). Gendered constructions of leadership in Danish job advertisements. Gender Work Organ. 21, 531–545. doi: 10.1111/gwao.12053

Arceo-Gómez, E. O., Campos-Vázquez, R. M., Salas, R. Y. B., and López-Araiza, S. (2020). Gender Stereotypes in Job Advertisements: What do They Imply for the Gender Salary Gap?

Bem, S. L., and Bem, D. J. (1973). Does sex-biased job advertising “aid and abet” sex discrimination? J. Appl. Soc. Psychol. 3, 6–18. doi: 10.1111/j.1559-1816.1973.tb01290.xCrossRef

Horvath, L. K., and Sczesny, S. (2016). Reducing women's lack of fit with leadership positions? Effects of the wording of job advertisements. Eur. J. Work Organ. Psychol. 25, 316–328. doi: 10.1080/1359432X.2015.1067611

Sczesny, S., Formanowicz, M., and Moser, F. (2016). Can gender-fair language reduce gender stereotyping and discrimination? Front. Psychol. 7:25. doi: 10.3389/fpsyg.2016.00025

性差のある言葉遣いの尺度として、男性的な単語と女性的な単語を収集し、識別する研究は多く見られる。言語使用における性差を調べた研究もある。

Gaucherら(2011)は、男性優位の業界と女性優位の業界の求人広告が異なるスコアペアを示すという事実を明らかにするために、テキスト中の男性的な単語と女性的な単語の割合を計算し、それぞれ男性バイアスと女性バイアスの2つの別々のスコアを作成。Tangら(2017)は、テキスト全体にわたって蓄積されるジェンダー含意のレベルによって各ジェンダー語に重みを割り当てており、男性的な単語と女性的な単語の効果は互いに相殺される、としている。

Bem, S. L., and Bem, D. J. (1973). Does sex-biased job advertising “aid and abet” sex discrimination? J. Appl. Soc. Psychol. 3, 6–18. doi: 10.1111/j.1559-1816.1973.tb01290.x

Bem, S. L.. (1974). The measurement of psychological androgyny. J. Consult. Clin. Psychol. 42, 155–162. doi: 10.1037/h0036215

Gaucher, D., Friesen, J., and Kay, A. C. (2011). Evidence that gendered wording in job advertisements exists and sustains gender inequality. J. Pers. Soc. Psychol. 101, 109. doi: 10.1037/a0022530

Newman, M. L., Groom, C. J., Handelman, L. D., and Pennebaker, J. W. (2008). Gender differences in language use: An analysis of 14,000 text samples. Discourse Process. 45, 211–236. doi: 10.1080/01638530802073712

Gaucher, D., Friesen, J., and Kay, A. C. (2011). Evidence that gendered wording in job advertisements exists and sustains gender inequality. J. Pers. Soc. Psychol. 101, 109. doi: 10.1037/a0022530

Tang, S., Zhang, X., Cryan, J., Metzger, M. J., Zheng, H., and Zhao, B. Y. (2017). Gender bias in the job market: A longitudinal analysis. Proc. ACM Human Comput. Interact. 1, 1–19. doi: 10.1145/3134734


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