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ペトラ遺跡王道ルートの完全攻略ガイド

ヨルダン随一の観光名所であるペトラ遺跡にご紹介いたします。
ペトラ遺跡とは、B.C.1世紀からA.C.1世紀にかけてナバタイ人によって建設された古代遺跡です。ナバタイ人以降もローマ人によって改築が進められた結果、数多くのナバタイ、ローマ遺跡が見られます。エル・ハズネやエド・ディルなど、巨大な岩窟墓があり、見る者を魅了し続けております。1985年に世界遺産に登録され、2007年には新・世界七不思議のひとつに挙げられております。広大な遺跡となっており、1日で全てを周るのは不可能です。今回、ペトラ遺跡の王道ルートをご紹介したいと思います。

【行き方】
首都アンマンよりJETT BUS(高速バス)もしくはローカルバスに乗ります。
・JETT BUSの場合
JETT BUSのアブダリ・オフィス(毎日AM6:30発)もしくは第七サークル・オフィス(毎日AM7:00発)、所要3時間半~4時間、料金10JD
※ペトラ遺跡のすぐ手前に到着します。
※アンマンからの日帰りも可能です。帰りの時間は17:00です。
※チケットはあらかじめ予約しておくことをお勧めします。
Official Website for JETT Company
・ローカルバスの場合
アンマンのムジャンマ・ジャヌーブ(South Bus Station)、毎日7:00~14:00に数本(金曜日は午前中に1本のみ)、所要4時間~5時間、料金4~10JD
※ムジャンマ・ジャヌーブはアンマンの端にあるため、中心部から行く場合はタクシーを使用することになります。
※ローカルバスは定員が埋まり次第に発車となります。全て埋まれば4JD、埋まらない場合は空席数に応じて料金が変わる。観光客は概ね7JD以上取られます。特に金曜日は、休日でほとんどのヨルダン国民がモスクに礼拝に行くため、席が埋まることはありません。また、朝早く行っても数時間待つことになると思います。(筆者の経験から11:00ぐらいが目途)
※バスはペトラ遺跡手前までは行かず、最寄り街のワディ・ムーサのバス停で降り、そこから徒歩で約25分です。降りたらすぐにペトラ遺跡の巨大な奇岩群が見えるので、そこを目指して歩いていけば迷うことはないと思います。

ペトラ遺跡入口前にある博物館、日本のJICAの支援で建てられました。

【料金】
1日券 50JD(約10,000円)
2日券 55JD
3日券 60JD
※ヨルダンのイカーマ(住民カード)を所持していれば10JD

ペトラ遺跡は世界で最も料金が高い世界遺産を言われております。ヨルダンは中東では珍しく石油が取れず、日本と同じで地下資源の乏しい国です。他に目立った輸出産業もありません。観光が数少ない外貨獲得手段となっているため、料金が高くなってしまいます。

【王道ルート】
ビジターセンターより入場し、最終目的地エド・ディルを目指します。道中数多くの遺跡があり、退屈することはありません。道なりに歩くだけも約2時間、遺跡をじっくり見学しながら進むと5,6時間は掛かります。ほぼ一日中楽しむことができます。帰りは元来た道を戻ることになりますが、カスル・アル・ビントと有翼ライオンの神殿の間にある脇道を通っていくと、無料のシャトルバスがあります(下図赤点部分)。また、有料のカート(15JD)もあります。最後のエド・ディルは勾配のきつい階段を登っていくことになるため、体力的に厳しいと思う方は、カスル・アル・ビントを最終目的地とし、近くのレストランで食事を摂って終わりにするのも良いでしょう。アンマンから日帰りで来られる方は、JETTバスだと現地到着時間は10時半前後で、帰りの発車時間が17時なので、全て周りろうとする昼食を摂る時間は無いかもしれません。

日帰りの方はペース配分をきっちりしましょう。
ペトラ遺跡のビジターセンター ここでチケットを購入します。
周りにはお土産屋、ツアーガイドがあります。
遺跡入口

【ジン・ブロックス】
遺跡入口を抜けて一番最初にあるのがジン・ブロックスです。3つの方形墓があり、手前からアッラート、ドゥシャラー、ウッザーと名づけられました。古代ナバタイ人によって作られ、精霊が宿ると言われております。墓にはナバタイ人によって彫られたとされる彫刻が残っております。

ジン・ブロックスは遺跡入口すぐ手前右側にあります。

【バーブ・アッシーク・トリクリニウムとオベリスクの墓】
ジン・ブロックスを過ぎるとすぐ見えてくるのが、バーブ・アッシーク・トリクリニウムとオベリスクの墓です。死者のための饗宴の儀式に使われたと言われております。それぞれ別の建物で、1階がトリクリニウムで2階がオベリスクとなっております。オベリスクが後から増築された形となっており、それぞれの時代で統治した王朝の要素(ナバタイ様式とギリシャ様式)が含まれております。中も見学することができ、岩壁には古代ナバタイ文字が彫られております。ここを抜ける、左側にトレッキングコースの1つであるアル・マドラスへ続く脇道があります。少しづらいので注意しながら進んでください。2日以上滞在し、トレッキングを検討されている方はこの場所をしっかり覚えておきましょう。

トリクリニウムとは古代ローマ時代のダイニングルーム。客人を招いて食事をした。

【シーク】
ペトラ遺跡のハイライトの1つとも言えるのがシークです。全長1.2kmの峡谷で、頭上に迫り出した崖の高さは60~100m。映画「インディージョーンズ」のロケ地でもあります。冒険心をくすぶる迫力があります。ペトラの中心地へと続く重要な通路であり、道中にはナバタイ人が築いた水路やダム、当時信仰されていた神を表現した聖石が見られます。

シーク入口
迫りくる岩壁は迫力満点
ナバタイ人によって建てられたダム

【エル・ハズネ】
1.2kmのシークを抜けると岩壁の間からペトラ遺跡で最も壮麗なエル・ハズネが見えてきます。映画「インディージョーンズ」のワンシーンにも使われました。別名”ファラオの宝物殿”と言われております。高さ45m、横30mの巨大なファサードに古代エジプト、ギリシャなどの影響を受けた美しい彫刻で装飾されております。驚くべきは、これが岩山を削りながら建造されたものだということです。その壮大なスケール感に圧倒されます。しばし時間を忘れて眺めると良いでしょう。また、毎週月曜日と木曜日20:30~22:30に「ペトラ・バイ・ナイト」と言われるライトアップイベントが開催されており、ライトアップされた幻想的なエル・ハズネと民族音楽を楽しむことができます。料金は17JD。

ペトラ遺跡最大の見どころエル・ハズネ、シークの隙間から徐々に迫る巨大なファサードは映画のワンシーンそのものです。必ず動画を撮りましょう。
愛らしいラクダがお出迎え(料金5~10JD)

※2023年12月に違法営業していたラクダサービスを全て取り締まられ、2024年7月現在、ヨルダン政府より正式な許可を得てサービスを提供しているラクダは2頭だけです。また、高台からエル・ハズネを見下ろすスポットが数カ所ありましたが、違法に料金を徴収していたこともあり、これも取り締まり強化の一環として、現在は全てのスポットが閉鎖されております。ガイドブックやSNSによっては、これらのスポットが紹介されておりますが、現在は利用できません。
ペトラ・バイ・ナイトでは幻想的なエル・ハズネを見ることができます。

【ファサード通り】
エル・ハズネを抜けると左右にファサードが連なるファサード通りがあります。階段状の装飾、長方形の入口があり、これらは死者の魂がこの階段を伝って天国へ昇るために造られたと言われております。ここを抜けると、左側に人気のトレッキングコース犠牲祭壇~ワディ・ファラサ~カスル・アル・ビントへ続く道があります。2日以上滞在し、トレッキングを検討されている方はこの場所をしっかり覚えておきましょう。

長方形のファサードがいくつも連なっている。

【ローマ円形劇場】
B.C.100年頃に建設された劇場で、その後改装工事が繰り返され、最終的に最大8,500人収容できる巨大な劇場となりました。ナバタイ、ギリシャ、ローマの文化が融合された劇場となっております。上部の岩壁にはロクリと呼ばれる洞窟が掘られており、遺体を安置するために造られました。

正面の高台から望むローマ円形劇場、こちらから見る景色の方がオススメ

【王家の墓】
歴代の王が住んだとされる宮殿が並んでおり、それぞれ異なるデザインをもっております。

宮殿の墓
王家の墓の中で最も巨大な建築物
コリント式の墓
見た目がエル・ハズネにそっくり
シルクの墓
比較的小規模な墓
壺の墓 
ファサードの頂点に壺の彫刻が見られることからそう呼ばれています。

【柱廊通り】
柱廊通りは全長225m、幅10mに大理石を敷き詰られて造られております。その名の通り、いくつもの柱の他に、噴水跡、凱旋門があります。また通り沿いには重要な建築物が集まっており、この通りがペトラの中心地であったことを物語っております。

【大神殿】
柱廊通りにあり、ペトラで最も規模の大きな建造物です。ナバタイ人によって造られ、その後ローマ人が統治する時代まで何度も増改築が繰り返されました。中は礼拝堂だけでなく、住民の居住区、浴場、劇場、水路、貯水槽などの跡が残されております。また、インスタグラムの映えスポットとしても有名なので、ぜひ1枚写真を撮りましょう。

回廊を歩くとまるで古代にタイムスリップしたかのような気分になります。
神聖な建物であると同時に、庶民の娯楽の場としても機能していました。

【有翼ライオンの神殿】
柱廊通り沿いにあり、ナバタイの女神である有翼ライオンが彫られた円柱があります。ポーチコと呼ばれる柱廊式玄関と神殿からなる建物で、規模は大神殿と同等ですが、荒廃が進み今は土台部分しか残っておりません。

【ペトラ(ビサンチン)教会】
柱廊通り沿いにあり、ナバタイ人に後にこの地を統治したローマ人によって建てられました。ペトラで数少ないキリスト教の影響が強くが残る遺跡です。中は、動物、鳥、人間、そして様々な自然現象を擬人化したものをモチーフとしたモザイク画が多数残っております。またすぐに北側には青い教会と呼ばれる4本の青く美しい円柱が特長の教会があります。

状態の良いフレスコ画が残ってます。
エジプト産の花こう岩で造られた円柱

【カスル・アル・ビント】
カスル・アル・ビントは高さ23mに巨大な神殿で、ナバタイの神ドゥシャラーを祀るペトラで最も重要な神殿とされています。建物の周りは敷居で囲まれているので中を見ることはできません。王道ルートの終着点の1つでもあり、近くにはレストラン、カート乗り場、ラバやラクダ乗り場、無料シャトルバスへ続く道があります。その先に進むかは、その日の体調や時間を考慮してください。また、2日以上滞在しウム・アル・ビヤラ、ワディ・シヤーブ、ジャバル・ハールーン、ワディ・サブラへトレッキングされる方は、ここがスタートになるのでしっかりと場所を覚えておきましょう。

旅行者にとって重要な拠点となるカスル・アル・ビント

【エド・ディル】
王道ルートの最終地点がエド・ディルです。高さ40m、幅28mの巨大な修道院です。別名Monastery(モナストレイ)と呼ばれております。建物の規模はエル・ハズネを上回りますが、装飾はとてもシンプルです。個人的にはエル・ハズネより好きだったりします。周辺にはBest View Pointと言われる景勝地がいくつもあり、様々な角度からエド・ディルを見ることができます。前述のカスル・アン・ビントの先から続く800段もの傾斜の厳しい階段を上っていくことになるので、体力的にはかなり消耗します。その日の体調や時間の都合で省略されることも多々ありますが、筆者としてはぜひ頑張って上ってほしいです。また、道中にはライオンのトリクリニウムへと続く脇道がありますが、看板もなくとても分かりづらいです。迷うようなら最悪スルーして良いかと思います。

堂々たる姿はエル・ハズネに匹敵します。
エド・ディルを臨むビューポイントがいくつもあります。
道中の脇道にあるライオンのトリクリニウム、非常に分かりづらい

いかがでしたでしょうか?以上が王道ルートの紹介となります。長文となってしまいましたが、それだけ多くのスポットがあるということです。ペトラ遺跡は広大な遺跡ですが、移動の大半が徒歩となるため、自身の体力や持ち時間を考慮し、計画的に旅行することをオススメします。また、遺跡の魅力を十分に楽しむには3日間はペトラに滞在することオススメします。

今後もこちらのサイトではペトラの魅力をたくさん伝えていきます。乞うご期待ください。よりリアルにペトラを感じたい方は、You tubeもやってますので、こちらもご覧ください。


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