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  • 〔短編集〕細胞膜を超えて

    宇宙構造をテーマにしたSF短編集

  • 〔短編集〕unknown

    スナックみたいな短編小説集

  • 〔絵画作品〕ライナーノーツ

    絵画作品の解説と概要をまとめています。

記事一覧

『ひび』

でも逃げたい気持ちがまさって3000円でモヤモヤを買ってしまった。 家に帰ると冷凍庫には親の買ってきたコーンアイスが入っていた。 コーンのアイスはべつに好きじゃない…

3

『歯科検診』

「歯科検診の結果が返ってきたの。虫歯なしだって!すごくない?!」 「普通でしょ」 「でもでも周りのみんなは虫歯あって、私だけ健康だったの!」 「そうか、じゃあwi…

2

箱の中の猫と袋の中の鼠

男:彼女と喧嘩したんだ。なんか急に怒り出してさ。 女:それ絶対急じゃないよ。 男:は?だって家でくつろいでたら帰ってきた彼女が「皿ぐらいあらえ」って言い出して。 女:…

3

「一番良いのは子供のアイデアを大人の技術でやること。一番ダメなのは大人の考えを子供の技術でやること」

若いなりに頑張ってるね、は嫌だけど、若いからこそできることは沢山やっておきたい。し、いつまでも若いというか無垢な絵を描いていたいなぁ。心がしわくちゃになったらおしまいだ。

細胞膜を超えて

河川敷に腰掛ける中学生2人 A「あんた塾は」 B「さぼり」 A「殺されんじゃん」 B「それな」 B「宇宙ってどこまであると思う」 A「どこまでも」 B「考えろよ」 A「考えたよ…

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非出産主義者の大罪性について

宇宙は生き物の細胞である。 という説がある。 人間の体を成り立たせる細胞の1つ1つが宇宙であり、また私たちの存在するこの宇宙も何者かの体細胞である。という説。 物…

1

お兄ちゃんがおかしくなったのは13年前です。当時私は11で、お兄ちゃんは14でした。当時の私には得体の知れない中学校とかいう世界でお兄ちゃんは毎日ぶたれたり蹴られたり…

2

『祝福』

『somewhere』

1

『stranger』

『朝焼けの番人』

4

『静かな夜』

『過呼吸のダンス』

1

『愛猫図』

『幽』

『羽化』

『ひび』

でも逃げたい気持ちがまさって3000円でモヤモヤを買ってしまった。

家に帰ると冷凍庫には親の買ってきたコーンアイスが入っていた。
コーンのアイスはべつに好きじゃない。
だから私の分のアイスだけが置き去りにされている。
きっと私は誰かを殺してしまいたい。
夏くさいリビングで窒息死できるならしたかったのに。
いつかきっと取り返しのつかないことになるから。

誰もみてない夕方にコーンを噛み砕く時だけ、

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『歯科検診』

「歯科検診の結果が返ってきたの。虫歯なしだって!すごくない?!」

「普通でしょ」

「でもでも周りのみんなは虫歯あって、私だけ健康だったの!」

「そうか、じゃあwinnerだね」

「別に勝者じゃないよ。みんなが敗者なだけだよ」

箱の中の猫と袋の中の鼠

男:彼女と喧嘩したんだ。なんか急に怒り出してさ。
女:それ絶対急じゃないよ。
男:は?だって家でくつろいでたら帰ってきた彼女が「皿ぐらいあらえ」って言い出して。
女:うわ
男:しかも近くにあったリモコン俺に投げてきたんだぜ?
女:うーわかわいそ
男:だろ?
女:いやお前じゃない
男:仕方ないから「わかったよ洗うよ。でもリモコン投げるなんて野蛮だ。そもそも俺は疲れてるんだぞ?」って言ったらもっと怒っ

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「一番良いのは子供のアイデアを大人の技術でやること。一番ダメなのは大人の考えを子供の技術でやること」

若いなりに頑張ってるね、は嫌だけど、若いからこそできることは沢山やっておきたい。し、いつまでも若いというか無垢な絵を描いていたいなぁ。心がしわくちゃになったらおしまいだ。

細胞膜を超えて

細胞膜を超えて

河川敷に腰掛ける中学生2人
A「あんた塾は」
B「さぼり」
A「殺されんじゃん」
B「それな」

B「宇宙ってどこまであると思う」
A「どこまでも」
B「考えろよ」
A「考えたよ、ないんじゃない?境なんて」
B「あるだろ」
A「なんでわかんだよ」
B「ないとも言い切れないだろ」
A「…うん…?何急に」
B「いや、そういう本読んだんだよ」
A「宇宙の本?」
B「そんなかんじ、宇宙の真理、てきな」
A

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非出産主義者の大罪性について

宇宙は生き物の細胞である。
という説がある。
人間の体を成り立たせる細胞の1つ1つが宇宙であり、また私たちの存在するこの宇宙も何者かの体細胞である。という説。
物理的入れ子の構造をもつこの説に時間的な入れ子構造を付け足す。すると。
私の細胞が死ぬ。と。私も死ぬ。と。私のいる宇宙が死ぬ。と。その宇宙を細胞としてもつ生き物もしぬ。
逆に赤子が生まれれば数多の宇宙も同時に誕生する。

では細胞。ではなく

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鞴

お兄ちゃんがおかしくなったのは13年前です。当時私は11で、お兄ちゃんは14でした。当時の私には得体の知れない中学校とかいう世界でお兄ちゃんは毎日ぶたれたり蹴られたりしたそうです。
それからお兄ちゃんは心がおかしくなってしまいました。味がしぃへんのですって。何食べても。ニコニコしてお外でいっしょに遊んでくれた兄ちゃんはもう戻ってこぉへんのですって。
お兄ちゃんはお兄ちゃんの宇宙に閉じこもってしまっ

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