見出し画像

細胞膜を超えて

河川敷に腰掛ける中学生2人
A「あんた塾は」
B「さぼり」
A「殺されんじゃん」
B「それな」

B「宇宙ってどこまであると思う」
A「どこまでも」
B「考えろよ」
A「考えたよ、ないんじゃない?境なんて」
B「あるだろ」
A「なんでわかんだよ」
B「ないとも言い切れないだろ」
A「…うん…?何急に」
B「いや、そういう本読んだんだよ」
A「宇宙の本?」
B「そんなかんじ、宇宙の真理、てきな」
A「わかんのそんなん」
B「わかんないなりの仮説があるんだよ、宇宙は五分前にできた、とか、宇宙は生き物の細胞だ、とか」
A「なにそれ」
B「面白いからお前も読めよ」
A「あー、気が向いたらね」
B「ぜってぇ読まねぇやつ。まぁ、宇宙の真理というより、自分が誰か、みたいな話だよな」
A「生きる意味てきな?」
B「ちがくて、存在証明?」
A「存在証明、生きてる意味じゃん」
B「ちがくて、心の問題じゃなくて、、うーん」
A「わかってないじゃん」
B「だからわかんないの、わかんないなりに考えんの、例えば自分の見てる夢と今、どっちが現実でどっちが夢か、証明できるか?」
A「いまはげんじつ」
B「だろ!そう思うだろ!でもそうじゃないかもしれないんだ!そう思い出したらとたんに迷子になった気分になるんだよ…」
A「じゃあ考えないようにしな、考えても無駄なんだから」
B「考えても無駄、ってよく言うけどさ、今話の種になってるんだから無駄じゃなくない?」
A「…へりくつ」
B「なんでだよ、なぁなぁ、この、宇宙細胞説ってやつだと身体の細胞は全部一個一個が宇宙だってはなしなんだよ」
A「へー」
B「それってパラレルワールドが細胞の数だけあるってことかなぁ」
A「パラレルワールド、私が男になってあんたが女、みたいな?」
B「そうそう、俺が犬でお前猫な」
A「私富豪、お前貧民」
B「なんでだよ!!!」
A「なんでも」
B「ずるいぞ!!!」
A「うるさいな笑」
B「、、でもさ、そしたら、どっかの世界じゃ俺は芸人、とかでさ、みたいな、な」
A「…んじゃあたし小説家ね」
B「うん!そう!そんな世界あるかもじゃない?!」
A「この世界かもよ?」
B「そうかもな…!」
A「細胞なんていくらでもあるんだしさ」
B「ん?」
A「あんたのその本によれば死んでも実は夢で、またニューゲームが始まるのかもしれないし」
B「うん」
A「じゃあ何度でもやりなおせるってことじゃん?いいじゃん、そんなに素敵なことはない」
B「そうだな」
A「うん、まぁ、どんな世界でも、どーせあたしたちこんなんだよ」
B「だな!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?