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やっぱり古書も好き。『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ・Ⅲ』三上延


自粛の間、ずっと中止だった古本市が、ようやくこの春からあちこちで再開されました。遠方はなかなかいけませんが、今年は初めてGWの四天王寺の古書市に行ってみました。戦前の本どころか、和綴本まで大量にあって、驚きました。神田の古書街とはまた違った趣がよかったです。

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さて、一応シリーズが完結した後も、続編が続いてくれた『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ』。栞子さんと大輔の娘の扉子が登場します。コミカライズにドラマ化、そして映画化。メディアミックスの結果がどうなのかは知りませんが、とにかく原作の小説が続くのはうれしいです。

続編Ⅱのサブタイトルは、「扉子と空白の時」「扉子と不思議な客人たち」。中心となるのは横溝正史作品です。多作な作家さんで、私でも『八ツ墓村』とか『犬神家の一族』は映画で知っています。とにかく怖いミステリー映画なので、私は一人では絶対に見れません。でも、この作品の中で紹介されていると、すごく魅力的な作品に思えます。

これまでにも何度か、この『ビブリア古書堂の事件手帖』で紹介されている本を読もうとしましたが、すべてが好みに合うわけではないし、昭和の戦後の本ですら、文章がかなり読みづらかったりします。ましてや、戦前の本においておや。字も小さいとさらにつらいです。

というわけで、このシリーズはミステリーの部分もおもしろいですが、名作と言われている古い作品を、現代的に内容をざっくり知ることができるところにもあります。おもしろくて読む本、読んだことはないけれど内容を『ビブリア古書堂の事件手帖』で知っている本、いろいろあっていいんじゃないでしょうか?

登場人物がすこしづつ年をとり、主人公夫婦の愛娘が高校生になったところで出たのが『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ』サブタイトルは、「扉子と虚ろな夢」。最初は小さかった扉子ちゃんが、今回は高校生ということで、それなりに活躍します。

扉子の性格は、栞子さんと妹を足して2で割ったような感じです。本には詳しいけれど、栞子さんの慎重さがなくて、うっかりが多いけれど、その代わり、それなりにコミュニケーション能力があります。

今回のメインは夢野久作『ドグラ・マグラ』。超有名作品ですね。確か、大学生のときに勧められて、挫折しました。懐かしいです。そして、いいタイミングで、地域の古書店が定期的に出店する古本市の様子が詳しく紹介されていたのもよかったです。

主人公がだんだん扉子に移ってきて、また祖母の智恵子が暗躍しているような、していないような意味深な動きをします。次の作品には、どんな名作がとりあげられるでしょうか? 読み応えのある続編が出るのを楽しみに、また1年か2年先を待つことにします。



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