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採用事務スタッフの退職が急遽決まり、1日で引き継ぎを完了させた話


以前、「【作業効率化メモ】日程調整を自動化することで無駄な業務を1/20カットできた」という記事でもお話をさせていただきましたが、自分の受け持っているプロジェクトが複数あるため、業務のルーティン・ワークのほぼ9割をアウトソースしています。

HELP YOU」というサービスを立ち上げた当時も運営は代表と自分の2人だけ。つまるところ、自分ひとりでいち企業とサービスのバックオフィス部門をすべてカバーしなくてはいけなかった。自分のリソースには限りがあるため、物理的にアウトソースするほかなかったのです。もちろん、自分たちがそのようなサービス運営をしている、というのもあります(笑)

そんなこんなで、随時10名以上のリモートスタッフに日常業務をお願いしているのですが……ある日、事件が起きました。

まさに青天の霹靂 予告のない「しばらくお仕事をお休みしたいのですが……」という恐怖のメッセージ


「HELP YOU」に在籍するスタッフの8割は女性なので、私のサポートをしてくれるリモートスタッフも完全在宅で女性のかたばかり。それがゆえに、お仕事環境が頻繫に変化します。要因はさまざまですが、主に下記のような理由で、お仕事を休まれたり、辞められたりすることがあります。

・結婚をしたので、地方転勤・海外転勤が決まり、しばらく落ち着かない
・妊娠をしたので、体調が悪い
・出産をしたので、子どもの面倒をみないといけない
・子どもが学校などで問題を起こしているので様子をみたい
・両親/義両親の介護が急に決まってしまった
・体調を崩してしまった 病気を患ってしまった

リモートワークで克服できる部分もあれば難しいこともある。のっぴきならない理由で、どうしても仕事を辞めざるをえないこともある。理解をしているものの、ある日突然とっても頼りにしていたスタッフさんからいただく退職願のメッセージの破壊力は、到底言葉では言い表せません……。

・これまで費やした教育コストはどうなるんだ……
・ようやく仕事が一巡して落ち着いてきたのに……
・これから新しい仕事もお願いしようとしていたのに……
・また引き継ぎコストがかかるのか……

と、まぁ、こんなことが頭のなかをぐるぐるするのです。通常の企業であれば、「また採用からしないといけないのか……」といった課題もありそうです。事情も事情だけに「残ってくれ!」ともいえない。こればかりは腹を括るしかない!と思ったのも束の間。なんと、採用事務の業務引き継ぎが1日で完了してしまったのです。(そして、特に私がレクチャーする、といったこともしていない)何もしていなくても、いつも通り業務がワークしているではないか!

はて、なぜ引き継ぎがスムーズだったのだろうか?その理由を改めて考えてみました。

スタッフの急な退職も怖くない!業務の冗長化をはかる5つのポイント

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①一番の肝は「業務フロー」の「可視化」
②マニュアルは日々アップデートを怠らない
③業務に関するFAQは「フロー」ではなく「ストック」する
④リスクヘッジのために、担当メンバーは常に2名~3名を確保する
⑤スタッフの育成・教育ロールをジョブローテーションさせる

①一番の肝は「業務フロー」の「可視化」

業務をルーティン化させる・マニュアル化させるという作業は、日々の忙しさに埋没していると、ついついおざなりに。しかし、業務の冗長化をはかるうえで、これは最も重要なポイントとなります。

「◎◎さんに聞かないとわからない」「◎◎さんしかこの業務をやっていない」この状況は企業にとってかなりの危険信号。業務として何が発生しているのか?どのようなフローが組まれているのか?フロー分岐のジャッジをどのようにしているのか?人によって判断や行動がぶれている部分はどこか?こういった点を交通整理する必要があります。

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一度フレームワークをつくってしまえばあとは更新するだけ。

②マニュアルは日々アップデートを怠らない

せっかく作成マニュアルも使われなければ意味がない。しかし、私たちのようなスタートアップ/ベンチャー企業はスピード勝負になること必至。日々、業務内容や業務フローなどが変化していきます。「マニュアルなんか更新してられねぇぜ!」という声も聞こえてきます。

全くもってその通りなので、私自身がマニュアルを更新する作業をしたことはありません。「定期的にマニュアル見直ししてね」というお声がけと、新しい業務を差し込んだ際に「マニュアルの◎◎部分に追記しておいてね」という依頼を出しているだけです。

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③業務に関するFAQは「フロー」ではなく「ストック」する

引き継ぎが発生すると毎回起こるのが、「その質問前も答えたや~~ん」という現象。これをとにかくなくしたかった。データベースをつくり、検索すればおおよその回答は得られる、という仕組み。

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こうした想定質問集を作成しておくのと、都度都度発生している質問と回答をコピペでもいいのでまとめておく作業。

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チャットのやり取りをべたばり。質問事項に応じてまとめている。

④リスクヘッジのために、担当メンバーは常に2名~3名を確保する

①結婚・妊娠するリスク
②介護を担うリスク
③事故に巻き込まれるリスク
④病気に罹患するリスク
⑤被災するリスク
⑥世帯収入が著しく変化するリスク

自分の業務アシスタントは常に複数人を配置しています。上記のように、突発的に何が起きるか分からないので、いかなるリスクも分散させておきたい。「メイン担当」・「サブ担当」・「こぼれ球担当」という3つのロールを想定して、お仕事を割り振っていきます。

また、それぞれがお仕事になれてきたなぁ~というタイミングでさらに新メンバーを投入します。「離職する!」というタイミングで人をいれてもすでに時遅し。そのため、常にチーム内では新陳代謝をさせ、流動性を高く保ちます。いうなれば、「担当者は定期的に変化するものだ」という心持ちでいます。

⑤スタッフの育成・教育ロールをジョブローテーションさせる

そして、最後にジョブローテーション。チームの流動性を高めるためには「◎◎さんしかできない業務がある」を徹底的に潰していくことです。誰でも、どのフローも担当できる。これが肝です。

同時に、スタッフ間で「教える・教わる」というロールを持ちまわりにすることで、引き継ぎの精度が高まります。問題が起きた際に、いきなり「引き継ぎしてください!」では、引き継ぐ側と引き継がれる側の心の準備ができていません。また、離職される側も気がそぞろなので、対応が不十分になってしまうこともしばしば。なので、「緊急時」ではなく「平常時」こそ最高の引き継ぎタイミングなのです。

この輪が良い方向で循環すれば、「こんな風に説明すれば理解されやすい」「これを説明してもらったらもっと業務理解が進む」といったように、引き継ぎ精度が高くなります。


しかし、既存の雇用形態の枠組みで冗長化をはかるのは難しい だからこそ「アウトソース」の意味を考える

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いちバックオフィス業務に2~3名もスタッフを配置できない……。そんな企業がほとんどではないでしょうか。

・フルタイム勤務
→仕事が埋まらない。あるいは他の仕事を差し込む。冗長化のための働きができない。

・パート勤務
→業務をシフト制にすることはできるが、管轄する人間を配置しなくてはいけない。時間を共有して仕事をすることができないので、相乗効果が生まれない。結果的にマネージメントする側は楽にならない。

・雇用契約
→社保・福利厚生・備品・スペース代 もろもろの間接費が大幅にかかってしまう。

私の会社でも複数人アルバイト・パートを雇うというのは厳しい。(コストパフォーマンスがでない という意味で) これが実現できているのは、ひとえに、企業がスタッフ全員とフリーランスで業務委託契約を結んでいて、ワークシェアリングをしているからなんですよね。時間や場所にとらわれずに仕事ができる、という点はこういったメリットがあるのだなぁ~今回の件で再認識をしました。

「アルバイト・パート」に支払う20万円と「HELP YOU」のようなアウトソースサービスに支払う20万円は額面は一緒かもしれませんが、意味合いが全く異なる

バックオフィスというのは、あくまで企業の「機能(ファンクション)」であり、属人化させるべき業務でもなければ、企業内で担保するべき業務でもないと私は考えます。いかに「機能(ファンクション)」を滞りなく機能させるのか?という点に企業は注力すべきで、「バックオフィス」を「アウトソース」をする、ことがひとつの「解」になり得るのではないでしょうか。


Photo by Franck V / Gabrielle Cole /  Annie Spratt

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