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迷惑な商品確認

「コダマさんという人が書いている本を知りたいんですけど」

アルバイトの勤務中、たまたまこんな電話がかかってきた。

レジで商品を探すも、「コダマ」という著者名だけでは数が多すぎた。
著者の他作品を伺うと、すんなりタイトルを教えてくれた。
お客様曰く、その本が好きで、同じ人が書いている本を読みたいとのこと。
「読書好きなんだなぁ」とほっこりした気持ちのまま、「コダマさん」の作品を探した。

なんと「コダマさん」は、あの強タイトル本「夫のちんぽが入らない(通称「おとちん」)」の著者様の「こだま」さんであった。

何となく嫌な予感を感じて、おとちんを除いた作品を紹介するも、お客様からは「他に作品がありますよね?」と言われてしまった。

確実にアレを言わせようとしている…

ここまで来ると意地でも答えたくない頑固さが出てしまい、タイトルを教えない私とアレを言わせたいお客様との不毛な闘いが始まった。

傍らではレジが長蛇の列を作り、列に並ぶお客様から早く対応しろという鋭い目線が刺さる。

腹を決めた私は、「卑猥な言葉は言えません」と宣言。その言葉を受けたお客様からは「卑猥な言葉って何ですか?具体的に教えてください」というお言葉。
さすがに呆れてしまって、もうバイト先にクレームが来ようがクビになろうがどうでも良くて、思いっきり受話器を置いて電話を切った。

レジに急いで入った時、自分の手が震えていて、自分がストレスを受けていたことを改めて実感した。
私の手がどんなに震えていようとも、待たされた人にとって私は悪であることが、何よりも辛いと思った。

数分後かかってきた電話に、またあの人かも…と緊張しつつ応対した。予想通り、あのお客様だった。
もう話したくもなかったので、男性店員に代わってもらうと、すぐに電話が切られた。
女性店員を狙ったいたずら電話だと確信した。

私は今日で「おとちん」が大嫌いになった。
これまでは、なんて挑戦的なタイトルなんだ…と感心していた作品だったのに。

実は今日だけではなく他にも、電話口で“そういった”レンタルDVDのタイトルを復唱させられるなど、多種多様な嫌がらせを受けている。

これらはセクハラというものなのだろうか?

「セクハラを受けた!」なんて言えば、自意識過剰だと思われるんじゃないかと不安になる。

こういった電話の対象にされたことに、今になって怒りが湧いてくる。女性に生まれたばかりにこんな思いをさせられて、悔しいと思う。

調べてみたら、これらの電話は何かしらの犯罪に当たるらしい。難しくてよくわからなかったが。

こんな電話が来たら、どんな対応をするのが正解なのだろうか。

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