マガジンのカバー画像

ーDANGEROUSー

11
ライトノベル的な小説
運営しているクリエイター

記事一覧

血桜姫の想い②

(寒さなど感じないはずなのに…)

嗚呼勢いよく飛び立っただけなのに、空がいつもより暗い。
身体の芯が温まる事ができていないせいか、着物をきていてもすっと風は入っていく。

(羽織る物を装っていけばよかったかもしれぬ、すでに遅いが仕方ない。)

むしろあのままでは我の方が気がおかしくなるのだからその場にいては…悲劇的な展開が起こるのは避けたい。

我は家臣まで手を出すつもりなど毛頭ないのだ

もっとみる

血桜姫の想い

ーーーーードサッ…

…不味い、血がこんなにも不味い物だとは思わなかった。

生きていくためだとはいえ、美味しくもないこの味に嫌気がさす。嗚呼、口の中が苦い、口の中に広がる人の血が不味くて堪らない。何度も何度も味わう人の味、肉の感触、匂いがこんなにもまとわりつくとは思わなかった。

(虫酸が走る、こんなにも苛つくのは何故だ)

自分の足元には無数の亡骸が、一、二、三…と数え仕切れないぐらい

もっとみる

二度戻らない時計の針②

「はいはい、ここでしょ」

彼女の望むマッサージをしてあげると、彼女は嬉しそうにああーここそうここーー!とうっとりと目を細めて、尻尾をパタパタと音を立てた。

(いつもの光景というのはこんなにも、安堵するんだなぁ)

『ねーねー、その服お気に入りだったんでしょ、どうするの?』
「それがさ、焼いて捨てろって宗にいわれちゃった」

ええーそれいくらなんでも無神経すぎと、彼女は呆れたといった顔をしつつも

もっとみる

二度と戻らない時計の針

(いつもよりもコツコツと足音が廊下に響いて、煩く感じるし足取りも重い)

私の部屋に着くまで、宗は銀狼と話して別れてからずっと無言で歩いているし、私はというとお気に入りの服装をどうするか迷っていたけれど、それよりもいつもとは違う感覚に戸惑いながら周囲を見渡してぼんやりと考えていた。

(いつもなら賑やかなのに静かだ)

よっぽど長老の命令がない限り、廊下に立って警備にあたっている筈の戦士達の

もっとみる

ー帰還ー④

(いやいや、なんでそこでときめくんだ私。)

と、思いつつも銀狼には私と宗が喧嘩しながら黙々と歩いている姿を目撃されているから、もうこれは日常茶飯事のようなものだ。

(とはいえ、見慣れた光景だよなぁ…)

2人とも年が近いせいか、兄弟(という名の子守だ馬鹿野郎と宗に怒られそうだ)と見られる私達は、周りの兵士達に揶揄われ、長老から呆れ顔され、銀狼から笑われる。

小さい頃から何一つ変わってない。

もっとみる

ー帰還ー③

私の拗ねたその姿に、宗はあーあ…また始まったよ…と諦めたかのように、静かに溜息を吐いた。

「それにな、それ気持ち悪いだろ?」
「何がよ」
「何がって、お前気づいてないの?その小鬼の返り血、もろに浴びてしまったんなら、早くしないと臭いぞ。それにその匂いはうちの野郎共が戸惑うからな」

その服は、返り血浴びて染み着いてしまっているしな、もうだめだろ。焼いて捨ててしまえと、小鬼の返り血浴びてしまって

もっとみる

ー帰還ー②

「本当に何度も申し上げますが白百合様。同じことしたら今度こそ監視強化しますからね。宗お前もそう認識しとけ。」
「はあ…わかったよ、おい!行くぞ桜織」

いつまでしょげてんだ?お前はと、ガシッと強く首根っこ掴みながら、グイグイと引っ張った。それに対しての反応した私はというと

「…うん」

と、元気なさげに頷いたと同時に大きな溜息を吐いた。

(取り敢えず監禁は免れた…!良かったのか悪かったの

もっとみる

ー帰還ー①

「こ、このたわけ者があああああああ!!!」

ガッシャーンと大広間からいきなり大きな物音をした事に、びくっと肩を震わせた戦士達が何事かと門から、こっそりと顔を覗かせているのを、横目でチラッと見ていた私は、はあ…と盛大にため息をついてしまう。

(ええと、そんな大袈裟に騒がなくても…良かったんじゃないの?)

そう、痛々しげに包帯を巻かれている私としょんぼりと落ち込んでいる宗の目の前に、狼一族

もっとみる

始まり

ーーーーはあ、はあ……

乱れる息を吐きながら、駆け足で走っていく音がいつもより五月蝿い。
不安が胸の中に広がっているのを感じた私は、森の中でカサカサと葉の擦れる音が何時もより、大きく感じるせいでますます私は急ぎ足で、目的の場所へ向かっていく。

勿論、そんな事をしても状況は変わらないって分かっているはず、
だけど本当に、今日に限って音に敏感である自分に罵りたい。

「もうなんなのよ!」

もっとみる

character

ーCharacter 設定ー

□死神一族□
名前:天月 柳
生まれながらにして、死を司る一族の後継者。
年齢は不明。
圧倒的な力を備えつつも、当主としての才覚を現し一族を束ねる。
白百合 桜織とはある出来事がきっかけで守護者となる。
常備している鎌は普段は警棒の様に収まっているが、戦うときは「死神の鎌」として発揮。戦いのときは常備仮面をつけている。

□月読一族□
名前:白百合 桜織
月の女神

もっとみる

あらすじ

『ー信じられる?目の前におとぎ話のような出来事が.....』

時は19xx年、人間と神々が共存して生きている世界。

その世界では吸血鬼一族、死神一族、狼一族3つの一族が束ねており、それぞれの境目の線をとることで平穏に暮らしていたが、ある一族の出現により保っていた平穏が崩れてしまった。

その一族は月読と呼ばれ、神々の世界では王族に近い一族で或るために、平穏を保ち続けてきた3つの一族は月読一族

もっとみる