創作民話 前妻の古鏡
古道具屋は手鏡を見せながら
「いわくつきですよ」と断りをいれた。
以下は古道具屋の語り
「武家の奥様のもちもので」
「何代も嫁ぐときに持たされた鏡と聞きました」
「裏を見ると縄模様の奇妙な細工がされています」
「もしかしたら上代のものかもしれません」
「奥様は体も弱く、床にふせる事も多かったようで」
「長くは無いとご自身も悟っていたのでしょう」
「殿様に死んだらこの鏡の持ち主がいなくなる」
「後添いにお渡しして大事にしてもらいたい」
「と懇願されて殿様も了承いたしました」
「