見出し画像

SS 焚火霊 #爪毛の挑戦状

夜道で焚火を見ながら侍は酒を飲む
「焚火があって助かります」
商人風の男が荷物を背負っている
「峠を下りると道に迷ってしまって」
商人は荷物をおろすと座る

「ここは霊が出るらしい」
侍は、つぶやく
「傭われた俺はここで幽霊を退治するために来た」

商人は不思議そうに
「幽霊とか恐ろしいですな」
侍は商人を見ると
「夜が明けて目が覚めると、食い物と酒が置いてあるんだ」
指さす先に食べた後の弁当がある
「でもな、それは俺が最初の日に持ってきたものだ」

商人が
「最初の日に持ってきた弁当が、翌日にもあるのですか?」
「翌日になるとあるんだ、俺は最初は幽霊は人と思っていた」
「人ではなく動物ですか?」

侍は頭を横にふると
「この焚火だ」
商人は侍の頭がおかしいと思い立ち上がろうとすると
「まて、俺が先に行く」
刀を持って走り去る

商人は自分も焚火から離れて歩くと
また焚火が見える。
同じ事を何十回も繰り返して判る

この焚火に捕らえられていた
別の誰かが来るまで逃げられない

番外編②の単語を使わせていただきました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?