ＳＳ　中国の怪談　【紅葉鳥】 #シロクマ文芸部

　紅葉鳥もみじどりを手に取ると口いっぱいにほうばる。油で炒いためてゴマをちらして食べると絶品だ。男は夢中になって食べている。

　男は河南省かなんしょう北西部にある洛陽らくようの街を出て旅している。行商人ぎょうしょうにんの彼は街を行き来して稼いでいた。今回は道に迷い山中に家の灯あかりをみつけた。

「ちょうど夕飯です」

　扉を開けて女が顔を出すとやつれているように見える。金を払う約束をして泊めてもらう。

　夕飯は食卓の皿に山盛りにされた鳥の足だ。鳥の足が真っ赤にゆであがるので紅葉鳥もみじどりといわれている。カリカリとしながらも汁気があるのは脂あぶらのせいだ。

「うまいですよ」
「……そうですか」

　女は手を見せないように座っている。不思議に思いながらも眠たくなり寝所に入り横になる。うとうとしていると、扉から女が入ってきた。獣のように四つん這いで、手足が鳥のように鱗うろこでおおわれている。

　妖怪かと護身用の剣をつかむと女は泣いている。

「私は鶏とりを売って生活していました、家業が長いせいか殺生も多く、私は呪いで手足が鳥になり村にいられなくなったのです」
「それはお気の毒に……」
「どうぞ私を殺してください」

　顔と体は女だ、殺すのはむごいと思いつつも慈悲じひと感じて首を切り落とした。

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「なに、呪いは死んでも残るのです」

　彼が食べた紅葉鳥もみじどりは彼女の手足だ。行商人は布で巻かれた手を人に見せて稼かせいでいる。手首から先は真っ赤な紅葉鳥もみじどり……

２回書き直して、やさしくしています（棒）

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