『関心領域』にみる、良心の呵責
アウシュヴィッツ収容所と壁ひとつ隔てた隣に暮らす一組の家族がいた。
所長を任された親衛隊中佐ルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)一家だ。
穏やかで幸せな日常を描きながら、聞こえくる銃声や怒声が収容所のおぞましい実態を浮かび上がらせていく―。
大戦中とは俄かに信じられない豪邸に、使用人を雇い、愛する子どもたちと何不自由なく暮らすヘス家族。
優雅な日常を描くなかに幾度となく鳴り響くのは、お隣が奏でる恐ろしい騒音。
それでもあえて聴くまいとすれば不穏な音はかき消えてつつが