何かの入り口
近くの本屋さんの「作文の入り口」というイベントに参加した。18時をまわった閉店後の店内奥の部屋で、店主含めて6名の参加者が長机を囲んで座る。「作文の入り口」を企画した店主の前口上のような語りをふむふむと聞く。A4用紙が配られて、お題が書かれたメモの束から、参加者それぞれがメモを一枚引く。メモに書かれたお題を見て、何を書こうかと虚空を見つめる。「よろしいですかー」という店主の掛け声でペンを持つ参加者。「始めまーす」の一声で、みんな一斉に書き出す。
カリカリカリ…。カリカリカリ…。カリカリカリ…。
5分が経過して店主の前に置かれたスマホのアラームが鳴る。みんなが書き終わったことを確認した店主が「では音読しましょうか」と声をかける。次々と音読される文章が面白くて「フフッ」と笑ってしまう。文章の感想をみんなから受け取る時間。白熱する感想の交換に思わずニヤニヤしてしまう。書いた文章の音読と感想の連なりに、なんだか面白れぇぇえ!となる。全体の感想を述べ合った後、新たにお題メモを引いて、また5分書いて、書いた文章を順番に音読して、みんなと感想を交換した。今日は2セット。5分で書き上げた参加者それぞれの文章×2と、交換される感想が超絶面白くて、あっという間に時間が過ぎていった。
その人が書く文章は、必ずその人の文章になるし、私が書く文章は、どう足掻いても私の文章になる体験。文章の感想も、その人の感性で受け取ったものが表現されるのだから、イベントの時間中は読む書く話す表現の海でゆらゆらと浮かんでいる感じ。とても心地よくて豊かだった。
そんな本屋、ある?
創造した本屋じゃないの?
いや、あるの。
ほんとうに、あるの。
お近くに来た際には、ぜひ寄ってみて。
遠くからでも、ぜひ来てみて。
とてもいい本屋だから。
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