を太郎

数学者:数理論理学、数学教育、データ解析。落語:圓生、喬太郎。鉄道:なり鉄。料理:ケー…

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数学者:数理論理学、数学教育、データ解析。落語:圓生、喬太郎。鉄道:なり鉄。料理:ケーキ、犬とシェアできるもの。旧たっとたん倶楽部会員。

最近の記事

従兄弟に送って詐欺 eBay と PayPal を巻き込んで

最近 eBay を使い始めたのだが、私の最初の顧客3人がみな詐欺師だった可能性が高い。このような詐欺は調べても出てこないので、注意喚起のために報告したいと思う。 3人中2人は女性だった。両方とも、私の品を落札したその日にアカウントを作成していた。残りは男性で、昨年12月にあくんとを作っており、評価は星が10個だった。全員ともアメリカ国内の住所を示していた。 みな、価格の低い物を買っていた。請求書を送ったらすぐに、メールがSMSで話がしたいとリクエストがあり、それに応じたと

    • 入学辞退率の高さは受験機会の多様性の証

      最近、大学の「入学辞退率」なるものをYoutubeで視聴した。入学辞退率というのは、合格した者のうち、入学しなかった者の割合である。以下単に辞退率という。慶應義塾大学の辞退率が61%、早稲田大学で65%とかなりの高率である。東京理科大学は80%を超えている。辞退率が60%といえば、10人が合格したとして、4人しか入学しなかったことになる。定員を満たさないこともあるかもしれない、ので、世間的には辞退率が高いと健全に運営されてないというイメージがあるようだ。 入学辞退者は15万

      • 数学史から見る「掛け算の順序問題」

        「掛け算の順序問題」というのがある。Wikipedia には、「掛け算によって解が得られる算数の文章問題について、特定の順序で書かれた式のみ正解とする採点方針と、どの順序で書かれた式でも正解にすべきであるという主張の対立である」と書かれている(https://ja.wikipedia.org/wiki/かけ算の順序問題)。東洋経済オンラインでも2021年7月に、「「掛け算の順序問題」はやっぱり決着がつかない」と記事が上がっている(https://toyokeizai.net/

        • 1+1=2のリンゴと砂山

          子供がどうして 1+1=2 になるの、という問いかけに対して、例えば 「リンゴ1個とリンゴ1個を合わせて2個になる」 という説明が有名ですが、時々 「砂山1つと砂山1つを合わせると砂山一つだよ」 という反論をされた、という話をよく聞く。 ここで、足し算の定義は何かなと思って、ユークリッドの原論(Fitzpatrick の英訳版)を読み直してみると、そこには第1巻の公準2で、等しいものに、等しいものを足したら、全体は等しくなる、はずだからそういうことにしておこう(post

        従兄弟に送って詐欺 eBay と PayPal を巻き込んで

          新型コロナワクチンの効き具合 6-7月

          ここでは、Worldometer の Coronavirus Update の Total Cases で過去に50位以内に名前を連ねたことのある国と、50位以内には入ったことはないが、セーシェル、モルジブ、スリランカなど、インド周辺国、タイやベトナムなどの東南アジアや台湾で異様な感染爆発が見られる国、合計102カ国について、ワクチン接種後の陽性者数の増減を 継続的に記録している。6月30日時点で、ここでとりあげた10カ国全てでワクチン接種が始まっている。人口や陽性数、死者

          新型コロナワクチンの効き具合 6-7月

          ワクチンは効いているのか 5月

          5月は世界全体で7億回以上の接種が行われた。4月より約1億回増えた。累計の接種数は18億回を超えた。発表をしていない国もあるので推計値ではあるが、世界で12億の人間が少なくとも一回はワクチンを接種したことになる。率で言えば、17%ほどである。一番多くのワクチンを接種している国は中国で、5月は約3.4億回になる。世界のワクチンの約半分は中国で接種されたことになる。中国は累計でも6億回に達しており、世界のワクチンの約3分の1は中国で接種されている。この傾向は今後も続くであろう(数

          ワクチンは効いているのか 5月

          6÷2(1+2)の値は1か9か、について

          6÷2(1+2)の値は何になるのか、というのがSNSで時折話題になる。計算方法が二通りあって、どちらが正しいか数学者でもわからない、ということらしい。 第一の計算方法は、まず( )内の1+2から計算をする。これが3になる。次に、2(3)を計算す流のだが、( )や文字の前の✖️は省略されるので、これは2✖️3を計算するのと同じ事になる。なのでここは6になる。最後に6÷6を計算して、答えは1となる。つまり ところが第2ステップで、2(3)=2✖️3を確認した時に、ふと、式を見

          6÷2(1+2)の値は1か9か、について

          ワクチンの効き目 4月 訂正と補足

          4月28日ワクチンの効き具合を5月7日に投稿したのだけれど、「ワクチンの効き目を測定する2つの指標」という章の第2段落で、「感染係数が下の表のような国Aを考えてみる」と書いておきながら、表が挿入されていませんでした。改めて表を加えたその部分を投稿します。 ************************ ワクチンの効き目を測定する2つの指標 新型コロナの感染の勢いが弱くなったかどうかは、ワクチン接種が始まった週から各国で「感染速度」がどのくらい減少したか、と「感染速度」

          ワクチンの効き目 4月 訂正と補足

          ワクチンの効き具合を統計から考える

          はじめにここでは、Worldometer の Coronavirus Update で過去に上位10カ国に名前を連ねたことのある91ヶ国について、ワクチン接種後の感染者数の増減を調べている。4月28日時点で、世界189国でワクチンの接種が始まっている。ここにあげた91カ国のうち、リビア、タジキスタンを除く89カ国でワクチン接種が実施されている。タジキスタンは 1月13日以降感染者は0であるので、ワクチンは不要と考えたのかもしれない。しかし、トンガやジャージー島など感染数が

          ワクチンの効き具合を統計から考える

          3月31日のワクチンの効き目

          はじめに前回の投稿「ワクチンの効き目」では接種を開始してから6週間以上経過した50ヶ国の感染状況を6種類に分類比較して、ワクチンが効いているのかを考察した。その結果、同じワクチンでもその効き目は国によって違うということがわかった。特にイギリス、フランス、ドイツでの状況を比較することで、一つのワクチンは特定の株にしか有効ではない可能性が出てきた。 4月になって日本を含め、12ヶ国がワクチン接種接種開始後6週間を経過したので、これらの国々の状況も加えて、改めてワクチンについて考

          3月31日のワクチンの効き目

          ワクチンは効いているかー統計的検証

          はじめに日本でもついに新型コロナのワクチン接種が始まって1ヶ月が経った。アメリカやヨーロッパでは2020年12月からワクチン接種が始まっている。2月24日時点では70カ国以上が治験も含めて接種を開始し、48カ国で近日中の接種開始を計画している。また、2月24日にはCOVID-19ワクチンへの公平なアクセスを可能にするために国際的なリソースを調整することを目的とするCOVAXからの最初の供給がガーナで行われた。これからは途上国でも徐々にワクチン接種が広まるだろう。 ワクチンの

          ワクチンは効いているかー統計的検証

          変異種についての統計的考察

          はじめに新型コロナウイルスの変異種の発生が確認された。新型コロナウイルスには「スパイク」という突起がついており、これが細胞をしっかり捉えて感染する。「スパイクタイヤ」を履くと車が雪道で滑りにくくなるのと同じ理屈である(http://jsv.umin.jp/journal/v56-2pdf/virus56-2_165-172.pdf)。変異種ではこのスパイクの質が良くなったり、数が増えたりしている。従って、今までよりしっかりと細胞を捉えることができる。その結果感染力(感染速度)

          変異種についての統計的考察

          新型コロナ感染グラフの分類その3ーヨーロッパ編

          はじめに新型コロナの世界的流行は収まるところをしないようである。11月に入って過去最高を記録している国も多い。前回は新型コロナについての異常値を、前々回は大統領選挙に異常値について考察した。その時に感染状況を表すグラフとして「感染速度」と「致死速度」の複合グラフを用いた。また、感染の勢いを表すものとして感染加速度とそのグラフを導入した。今回は、これらのグラフ用いて、感染パターンを調べてみる。 「感染速度」と「致死速度」新規感染者数はどれだけ感染者が増えたのかを表すので、感染

          新型コロナ感染グラフの分類その3ーヨーロッパ編

          新型コロナ統計の異常値の分析

          はじめにアメリカ大統領選も一段落し、今は訴訟合戦の真っ最中である。その結果が出るまでは、トランプ氏とバイデン氏、どちらが大統領になるまだかわからない。前回の投稿では2020年アメリカ大統領選でいくつかのおかしな数字が出ていることを指摘した。例えば、投票率など通常よりもかけ離れた「外れ値」、合計が100%を超えてしまうなどの「異常値」が挙げられた。特に訴訟のポイントとなっているのは、不正集計機の使用と不正投票である。 クロス集計と不正不正集計機はドミニオンという会社のもので、

          新型コロナ統計の異常値の分析

          アメリカ大統領選挙における異常な数値について

          11月3日にアメリカ大統領選挙があった。近年稀に見る大激戦であった。多くのメディアはバイデン氏の勝利を伝えているが、正式な結果はまだ出ていない。11月7日の時点で、現職のトランプ大統領が7039万票を得たのに対し、バイデン候補が7456万票を得てリードしている。アメリカの大統領は、実際の得票数では決まらない。州ごとの得票数によって、その州の力の大きさに応じた数の「選挙人」を獲得し、獲得した「選挙人」の数が過半数を超えた候補が大統領に選ばれる。したがって、一般投票が少なくても大

          アメリカ大統領選挙における異常な数値について

          新型コロナの感染パターングラフの解析ーアメリカ編

          はじめに世界の新規感染数グラフのパターンをまとめたものを note に投稿した。 https://note.com/wotaro_san/n/ne780ca57db9a そこでは新規感染数を感染速度と考え、そのグラフの波の形と数を使って感染の広がり具合を微積分学的手法で考察した。そして、世界各国の感染の広がり具合がおおよそ3つに分類できることを示した。さらに、⑴波が収まった時、波が生成される期間よりも、波が減衰する期間の方が長い、⑵急な波よりも緩やかな波の方が成長期間が長

          新型コロナの感染パターングラフの解析ーアメリカ編