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逃げてばかりの私が、逃げなかったらどうなったかという話

私たちが生きる現代社会には「辛いなら逃げていい」という常套句がある。
「無理しなくていい」「自分を大切に」と。

それは職場でも、まるで呪文のように患者さんに唱えられている言葉だ。

私も私の大切なクライエントさんたちに向かって何度も口にしてきたし、
これから先も何度となく口にするであろう言葉だ。(もちろん本心でだ)


いつからか、「頑張れ」という激励の言葉は禁句になり、「頑張ってるね」という承認の言葉にすり替わった。

もちろん、自分を壊してまで戦う必要はない。
一番大事なのは職場ではなく自分であり、命であり、健康である。そういう流れになってきたことはとても喜ばしいことだ。

だけど、私は先生と患者さんのやりとりを聴くたびに、その言葉を聞くたびに、

それは全てのケースにおいて最善の言葉じゃないんじゃないか、と思う。

実際、その言葉を発する先生たちは、かなり苦しんで、自分を追い詰めて、限界ギリギリまで逃げずにきた結果、その椅子に座っている。
自分に対して、「逃げていい」と声をかけたことなどあったのだろうか?たぶん無かっただろう。

本当に休息の必要な人はいる。一時撤退が必要な人はいる。

でも、耳障りのいい、一時的な麻酔みたいな「逃げてもいい」は、
ときに、すごく無責任な言葉だと、私は思う。

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