![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143486439/rectangle_large_type_2_848dc9910c92aef031a6f302ce9b6e36.png?width=1200)
『ワンダリング・ノート』〜トムとレナ(5)
トム:・・・。
ルナ:私の顔に、何かついているのか? トム・ホーソーン?
トム:い、いや・・・。それにしても、君はいつも僕をフルネームで呼ぶんだな。まあ、君らしいというか。
ルナ:あなたのリアクションによって失われた「世界の記憶の断片」を、私の「シャドーイング」の能力で埋める。
トム:会話が噛み合わないなぁ。さて、じゃあ前回の続きから話してくれるかい?
![](https://assets.st-note.com/img/1717922651448-drzSPilz3w.png?width=1200)
ルナ:私がダンと対峙している時、別の場所で「牛仮面」のチャーリー・アルジェントは組織の敵と出会っていた。この二人は前回の戦いで決着がつかず、この場で再戦となった。
Tom: "The first time I entered the world of picture books, it felt like I had seen this battle before."
トム:初めて絵本世界に行った時に、僕はこの戦いを見ていたような気がする。
![](https://assets.st-note.com/img/1717923395186-Zi0BBJEYRc.png?width=1200)
ルナ:敵は空から大量のバナナを降らし、公園の人々を無差別に襲った。チャーリーは自身の能力「タイム・ホイール」を使って──
トム:ん? どうしたの?
ルナ:この間は口止めされたが、彼は今、ここにいない。彼の能力をバラしてしまってもいいものか? 今の私ならば、この彼の能力を完全に解析できる。
トム:大丈夫じゃない? 実際に見たわけじゃないし、話を聞いても僕が理解できるかわからないからね。それに、怒られるのは僕じゃなくて君だから。
ルナ:・・・それはどういう意味か? トム・ホーソーン?
Tom: "Heh. I just wanted to try saying something a bit sharp myself."
トム:ぷっ。僕もちょっと、トゲのある言葉を言ってみたかったんだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1717925480242-PlC8SLIVkg.png?width=1200)
ルナ:敵は空から大量のバナナを降らし、公園の人々を無差別に襲った。チャーリーは自身の能力「タイム・ホイール」を使って、バナナの降っていない「別の次元」をその場に転送して、人々を守った。しかしそれを見越していた敵は、彼の頭上にもう一つの「バナナの山」という罠を仕掛けていて、それによって彼は押しつぶされてしまった。
Tom: "...Huh? What do you mean by 'another dimension'?"
トム:・・・え? 「別の次元」って何?
ルナ:次で詳しく説明する。
![](https://assets.st-note.com/img/1717925962289-nLsZzBVkoj.png?width=1200)
ルナ:偶然にも、牛乳瓶を持って現れたもう一人のヒーロー「トム・ホーソーン」の助けを借りて、チャーリーはもう一度能力を発動する。バナナは消え去り、牛の大群が敵の全身を舐め回し、決着がついた。
トム:全然意味がわからないよ!? えーと、僕がチャーリーさんを見つけて、牛乳瓶を渡してあげたのは覚えているよ。彼も牛乳が好きなんだなって思って。バナナが消えて、空間が入れ替わっていくのも見たけれど、理解できなかったんだ。
ルナ:記憶・・・。
トム:え?
ルナ:全ての世界は、記憶で成り立っている。空が晴れた、雨が降った、私がいた、あなたがいた。それらは事実であり、そうでなかった事実もある。並行世界と呼ばれる、別の「幾つもの結果」が枝分かれしている。
トム:パラレルワールドってことだよね? それは何となくわかるよ。
ルナ:私は実演できないが、仮に今、ここに大量のバナナがあったとする。そのイメージをした瞬間に、それは「バナナのあった世界」として生まれ存在が確定する。
![](https://assets.st-note.com/img/1717935630270-lzB7hFXGgB.png?width=1200)
トム:それはつまり・・・自分のイメージした世界を目の前に持って来て、それを現実にしちゃうってこと!?
ルナ:彼はそれを「記憶の上書き」と呼んでいる。そしてその発動条件は彼にしかわからない部分もある。
トム:それって・・・何でもありのチート能力?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?