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『ワンダリング・ノート』〜トムとレナ(5)

トム:・・・。

ルナ:私の顔に、何かついているのか? トム・ホーソーン?

トム:い、いや・・・。それにしても、君はいつも僕をフルネームで呼ぶんだな。まあ、君らしいというか。

ルナ:あなたのリアクションによって失われた「世界の記憶の断片」を、私の「シャドーイング」の能力で埋める。

トム:会話が噛み合わないなぁ。さて、じゃあ前回の続きから話してくれるかい?


チャーリーとシルクの戦い

ルナ:私がダンと対峙している時、別の場所で「牛仮面」のチャーリー・アルジェントは組織の敵と出会っていた。この二人は前回の戦いで決着がつかず、この場で再戦となった。


Tom: "The first time I entered the world of picture books, it felt like I had seen this battle before."

トム:初めて絵本世界に行った時に、僕はこの戦いを見ていたような気がする。


ルナ:敵は空から大量のバナナを降らし、公園の人々を無差別に襲った。チャーリーは自身の能力「タイム・ホイール」を使って──

トム:ん? どうしたの?

ルナ:この間は口止めされたが、彼は今、ここにいない。彼の能力をバラしてしまってもいいものか? 今の私ならば、この彼の能力を完全に解析できる。

トム:大丈夫じゃない? 実際に見たわけじゃないし、話を聞いても僕が理解できるかわからないからね。それに、怒られるのは僕じゃなくて君だから。

ルナ:・・・それはどういう意味か? トム・ホーソーン?


Tom: "Heh. I just wanted to try saying something a bit sharp myself."

トム:ぷっ。僕もちょっと、トゲのある言葉を言ってみたかったんだ。


脅威の能力「タイム・ホイール」

ルナ:敵は空から大量のバナナを降らし、公園の人々を無差別に襲った。チャーリーは自身の能力「タイム・ホイール」を使って、バナナの降っていない「別の次元」をその場に転送して、人々を守った。しかしそれを見越していた敵は、彼の頭上にもう一つの「バナナの山」という罠を仕掛けていて、それによって彼は押しつぶされてしまった。


Tom: "...Huh? What do you mean by 'another dimension'?"

トム:・・・え? 「別の次元」って何? 

ルナ:次で詳しく説明する。


牛は世界を救う

ルナ:偶然にも、牛乳瓶を持って現れたもう一人のヒーロー「トム・ホーソーン」の助けを借りて、チャーリーはもう一度能力を発動する。バナナは消え去り、牛の大群が敵の全身を舐め回し、決着がついた。

トム:全然意味がわからないよ!? えーと、僕がチャーリーさんを見つけて、牛乳瓶を渡してあげたのは覚えているよ。彼も牛乳が好きなんだなって思って。バナナが消えて、空間が入れ替わっていくのも見たけれど、理解できなかったんだ。

ルナ:記憶・・・。

トム:え?

ルナ:全ての世界は、記憶で成り立っている。空が晴れた、雨が降った、私がいた、あなたがいた。それらは事実であり、そうでなかった事実もある。並行世界と呼ばれる、別の「幾つもの結果」が枝分かれしている。

トム:パラレルワールドってことだよね? それは何となくわかるよ。

ルナ:私は実演できないが、仮に今、ここに大量のバナナがあったとする。そのイメージをした瞬間に、それは「バナナのあった世界」として生まれ存在が確定する。


バナナを分け与える世界

トム:それはつまり・・・自分のイメージした世界を目の前に持って来て、それを現実にしちゃうってこと!?

ルナ:彼はそれを「記憶の上書き」と呼んでいる。そしてその発動条件は彼にしかわからない部分もある。

トム:それって・・・何でもありのチート能力?


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