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ゲームを使ったチームビルディングはなぜ失敗しがちか「ループ図」で考えてみた

今回はたかはし こうじさんの記事『ゲームを使ったチームビルディングはなぜ失敗しがちか』を取り上げて、ループ図でわたしなりに考えてみます。

たかはしさんの記事を取り上げようと思ったのは、タイトルを読んで「これ弊社でもきっとあるよなぁ」と思ったのと、記事を読んで「これチームビルディングだけじゃないよなぁ」と話に根の深さを感じたからです。他人事とは思えない。

またループ図を使ったら、よく理解できそうな気がしたので使ってみました。ループ図って何?という方は柴田さんのこちらの記事をどうぞ。


ゲームを使ったチームビルディングが失敗する理由

「脱出ゲームをやらせたけど、うまく行かなかった(≒仲良くなれなかった)」という話を聞いたのが、たかはしさんの記事の発端。

たかはしさんの結論は「ゲームそのものでは仲良くなれない」。

僕の結論は「ゲームそのものでは仲良くなれない」である。「そのものでは」と限定しているということは、そのものだけでは不充分で、他に何かをつける必要性を含意しているのは忘れないでほしい。

https://note.com/koji_masskaleido/n/ne6463ae171e0

これを踏まえて、当記事では「ゲームそのものだけでは不充分」と「他に何かをつける必要性」を深堀りします。


ゲームそのものだけでは不十分

「仲がいい」のはその場限りの「点」の関係ではありません。何か月、あるいは何年も点を結んで続いていく「線」の関係です。

ここでいう点にあたるのが「場」。場を共有する機会がたびたび続くことによって関係が線として育っていきます。これをループ図で表したのがこちら。

脱出ゲームは「場の共有」だからループ図に当てはめてみるとこうなる。

じつはループにならないのがわかります。関係がちょっと深まったからといって「もう一回脱出ゲームやりましょう」とはなりませんよね。

ループが発生しなければ、仲がよくなったりチームとしての一体感が出てくるわけはないよなというのが、2つの図の比較でわかります。

脱出ゲームをやったところで、一方通行の図にしかならない。これが「ゲームそのものだけでは不十分」の中身と考えます。


他に何かをつける必要性

ループとは言ってないけれど、たかはしさんもこれには言及されている。

仲の良いカップルが二人で映画を見に行った場合はどうか。それでも「映画館の中では」映画を通じて仲が深まることはない。事後に「面白かったね」といったことを話し合う別な場があることで仲がより良くなる。

https://note.com/koji_masskaleido/n/ne6463ae171e0

これをループ図にしてみよう。まず二人で映画を見ます。

映画をみるだけでは仲は深まらないですが、この後「映画館を出て道すがら話す」でループに続きます。

さらにこの後、カフェでお茶しながら話すループが出現、、、という感じでループが回るたびに仲が深まっていきます。

つまり関係が作られる際に共有する場は1つではなく、次々と移り変わっていくのが前提。これをループ図にするとこうなります。

Xnの中身が次々と入れ替わることでループが回っていく構造になっています。これが「他に何かを付ける」ということだと思う。以下、たかはしさんの弁。

つまるところ、「場」というのは元々あった関係を強化する増幅器のようなものである。さらに、場を共有することでそのあとに新たに発生する場をより豊かにする触媒のようなものだ。

https://note.com/koji_masskaleido/n/ne6463ae171e0

チームビルディング研修においては、この触媒が準備できるかどうかが講師や研修を作る人の腕の見せどころになるんじゃなかろうか。

ループが回せないと個人の関係は変わらないので、ループを発生させられるかどうかがミソ。


チームビルディング研修をループ図にすると

はじめから関係性のあるカップルの場合は上記のようなループ図でいいけれど、チームビルディング研修はそもそも関係性が希薄なところからのスタートです。

うまくいかないパターンのやり方だとこんなかんじ。

研修なのでスタートは講師が切らせるとしても、持続性がない一方通行の構造のため関係性が育つことはありません。「うまくいかなかった」となってしまうのも当然です。

つまり最初の共有体験(この場合はゲーム)を準備するだけではダメなのがわかります。

1回の場の共有が関係性を育てる構造に発展するなら、以下の形でしょうか。

直線コースからループに入れられれば成功。ループに入った後は「Xn」に入れるものが肝となります。さてこれをどうするか。

「これからもお互い継続して話しましょう」ではダメでしょうね


研修後の実務を「枠」として使う

ループを作るときにむずかしいのは、Xnの中身をループの外から入れ替えては意味がないところ

中にいる人が自分で入れ替えていかないと持続性は生まれず、関係も深まりません。

この点について「こうすればいいよ」という正解がわたしにはないです。ここまで書いておいて申し訳ない。

それでも自分なりに考えると、研修後にチームで取り組む実務があることを前提として逆算するのはどうかなと思っています

関係が深まる「場」であるXnが生まれるには、関わる人が同じ枠の中にいるのが前提。その枠にあたるのが、企業の場合はチームで取り組む実務になるのかなと。

あとで実務が続くことを織り込んで研修全体をデザインしたら、研修後のループも回りやすくなるんじゃないか。まあこれは想像で、やってみないとわかりません。

ただ共通の敵がいたほうが接点は生まれやすい。関係じゃなく接点を作るのが研修デザインの視点になるかもと、書きながら思いました。

ちなみに弊社では、研修後にコーチングや対話ワークショップなどを行うことで、徐々にループへの移行を図るやり方をしています。

研修後に社内でループを回せればそれが一番理想的ですが、なかなかそうもいきません。慣れない間は外から刺激を与えて最終的に根付かせようというスタンスです。


まとめ

研修の導入を検討している企業は「研修やって終わり」「やったけど効果が持続しない」のを心配しているはずです。

研修後もループが回る仕組みを設計できる講師がいたら最強だよなぁという無責任な想像をしつつ、この記事を終わります。

ちなみに今回取り上げたたかはしさんの記事でもおっしゃっていることは、本記事とほぼ同じです。

チームビルディングをしたい。そう思ったときには、場を作ることではなく、前後をきちんと考えることが大切なのだ。

https://note.com/koji_masskaleido/n/ne6463ae171e0

「ほぼ」としたのは、「前後」の考え方がちょっと違うかもしれないと思ったから。詳細は本家の記事でどうぞ。

ループ図に興味を持ったあなたには、ループ図を使って営業人材の育成について5000文字で熱く書いた記事もあります。こちらもぜひ。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございましたー。

この記事を書いた人
加藤久佳(かとうひさよし)
note編集担当。「わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所)」でマーケティングをやってます。

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