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価値観を理解することって大事だよね!に潜む危険

価値観を理解すると仕事がしやすくなるって言うけれど、どうしてそうなるの? と思いませんか? そりゃそうだろう、で止まっていませんか?

相手の価値観を理解すればよい関係性を築くことができる。だから仕事がしやすくなる。そのとおりなのですが、なんか薄っぺらいですよね。

今回は、価値観を理解することはなぜ大切なのか、私なりの考えを書いてみたいと思います。


そもそも価値観とは…

価値観とはその人が「何に価値がある」と考えるか、その考え方やモノの見方のことを言うそうです。

子供の頃から形成されていくものもあれば、大人になってから変わるものもあります。いずれも、多くは周囲の人間との関わりや、環境の中で形成・変化していくものです

例えば、配属されたばかりの若手が仕事で何を大切にすべきか探っているとき、職場や上司が与える影響は大きいと言われます。これは、仕事観ともいえる価値観の形成です。


意思決定の根底には価値観がある


「経営」は、しょせん好みだ。なんて言われることがあります。

  • 短期的には収益が上がるが、リソースが不足し、未来への投資はできなくなる。

  • 短期的には収益が落ちるが、未来に向けた投資ができ、長期的な展望がきく。

どちらが良いかは、やってみなければ見えません。

さまざま考えた上でどちらかに決めたとして、恐らく意思決定の理由を説明するとなった際には一見合理的であり、利害関係者にとってもメリットある意思決定だと感じられるでしょう。

しかし、実際はどちらを選択したとしても、自分なりに意味づけをして合理的であったり、メリットがあると捉えるケースが多いものです
(もしくは、過去に同種の経験があり、その学びからの意思決定の可能性もあるかもしれません。)

経営に留まらず、人は何かしらの意思決定・行動をする際には、無意識的に価値観を大切にしていると言われます。


価値観を理解した先には

ビジネスの場で相手がどのような価値観をもっているかを理解すれば、相手が何を好み、何を嫌うかを理解することに近づきます。

結果、物事が生じた際に相手がどのような反応を示し、考えを持って、行動を取るのか。完全ではありませんが、ある程度の予測ができるのです。

例えば、週休3日制の在り方について。議論が交わされていたり、実験が進み、3つの方式から選択する企業が増えています。

  1. 週4日勤務に合わせ、現状の80%の給与になる方式

  2. 労働時間を1日10時間にし、週40時間を変えない方式

  3. 週4日勤務であっても、現状の100%の給与にする方式

※オプションとして、1と2つ目は希望式選択制というものもあります。

従業員からすると3つ目が良いでしょうから、もし1つ目か2つ目にするならば、どちらが良いか。また、希望式の選択制だった場合、希望するのかどうか。

働き方の希望には、その人が何を大切にするか(価値観)が現れてきそうです。相手の価値観を理解していると、

  • 給与が下がっても、ワークライフバランスを重視する人

  • 変化を嫌い、現状維持にしたい人

  • 周囲のメンバーに合わせる人

  • 頑なに3つ目の選択肢でなければ考えない人

どの選択肢を取りそうか(あるいはこれ以外も)、予測ができるわけです。

実際に企業として採択し、従業員に展開することになった場合は、メンバーの反応を踏まえて、説明の仕方をコントロールするマネージャーは多いかもしれませんね。


価値観と信頼の関係性


信頼の1つの形として「よく知ることに基づく信頼」というものがあります。
 
これは、これまでのお互いのやり取りから、相手がどのような行動をとるかを 予測できること(予測可能性)に基づいた信頼のことです。

つまり、相手の価値観を理解することは、予測可能性を高め、信頼関係を構築しやすくなるといえます。


価値観を理解することは、仕事がしやすくなる。は正解か?


価値観レベルでの相互理解が進んだ状態であれば、前述したように、共に仕事をするうえで相手がどのような行動をとるかの予測ができます。

阿吽の呼吸までとは言いませんが、お互いに相手の先を読みながら仕事ができる状態であれば、様々なやりとりが簡易で済み、効率的・効果的な仕事ができそうです。


思考の質を高める必要のある仕事とは

組織開発でよく用いられる理論の1つに「組織の成功循環モデル」があります。

※成功の循環(Theory of Success)は、MIT組織学習センター共同創始者のダニエル・キム氏提唱

これは、関係の質を高めることで、思考の質を高めることにつながり、行動の質が変わる。行動が変われば結果も変わる。結果が良くなることで、さらに関係性も良くなる。と、循環するモデルです。

価値観を理解し合うことは、相手への尊重であり、ここでの関係の質を高めることに寄与します

次の思考の質を高めることを最大限活用するには、

  • 個業よりも、協業する仕事

  • 定型的な仕事よりも、非定型的な仕事

  • 正確性を求める仕事よりも、創造性を求める仕事

こういった仕事に向いているといえそうです。


一方通行の理解だけでは足らない

信頼関係は一方通行ではなく、相互性があるものです。お互いが理解し合っている、相互理解の状態である必要があります。

よく、1on1は部下のための時間であり、上司は話してはならない。こういった話があります。しかし、私は上司側が話すことも大切だと考えています。前述したように、お互いに理解し合うことが大切だと考えるためです。ただし、相手の話を奪ったり、一方的に話し続けることは避ける必要があるでしょう。


価値観をすり合わせる手法


日常の会話でも、もちろん1on1でも、価値観をすり合わせることは可能です。

例えば、最近組織で起こったことや、社会で起こったことの中で、驚きがあったり、改めて大切だと感じたこと。場合によっては批判的に感じたことなどを取り上げてみましょう。

そして、相手にその状況を説明しながら、自分はどう思ったのか。なぜその様に感じたのかを話してみましょう。その後、その事象に対して相手はどのように思い、感じるのかを聞いてみましょう。

※相手が忖度し、自分の話に合わせてしまうのであれば、まずは相手がどう思ったのか、先に聞いてみても良いかもしれません。ただし、否定せず聞くことはもちろん、その様に感じたんだね。と受け止め、違いを楽しむことが大切です。

・なぜ価値観を理解し合うことが大切なのか。
・なぜ仕事がしやすくなるのか。

このような考え方があることすらも、相互に理解したうえで、相互理解を進め、協働しようと努めることが大切だと感じています。

まずは、最近の出来事に対して、お互いにどのような反応があったのかを共有しあうことから始めてみませんか?

この記事を書いた人
安達 優哉(あだち まさや)
「わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所)」マネージャー/組織開発コンサルタント

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