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自発的な行動を促す「対話」をするなら相手の「学習スタイル」を見よう

現場のマネジメントでメンバーがなかなか動いてくれない、、、
自分が伝えたことを理解してくれていないのではないか、、、、

今回は、そんな時に役立つ「コルブの学習スタイル」についてお話します。

これは相手にわかりやすく話すときのコツみたいなもので、わたし自身、コーチとして1対1で対話する時、講師として登壇する時は無意識にこのフレームで話をしていることが多いです。

相手が動いてくれないのではなく、私の伝え方は相手に理解してもらえるようになっているか?という視点で今回は話していきます。


「対話」は相手の理解しやすいフレームで話す

デイビット・コルブが提唱する「学習スタイル」は以下の4つ。

「なぜ」
どうして、なぜどれが必要か、が明確になると行動できる学習スタイル。動機や背景理由がはっきりしていると動きやすい

「なに」
全体概要や内容、仕組み、他に事例がある、多くの人がやっている数字や統計、事例があると、行動しやすい

「どうやって」
どうやったらいいのか、どうすればいいのか、どう動けばいいのか方法論が明確になっていると行動に移しやすい

「今すぐ」
すぐ何をやったらいいのか、が明確になっていると動きやすい、行動しやすい

人はこのいずれかのスタイルによって学習し、行動するかどうかを判断している。だから人に伝えるときもこの4つを意識すればどこかに突破口があるという考え方です。

わたしは相手が一人であれば、特定のスタイルを想定して話をしています。複数人数であれば全てのフレームを盛り込んで話せばいいですよね。


まずは、自分の学習タイプをおさえる

人は自分が何かを伝える時も自分自身の学習タイプに近い内容で話す傾向があります。だからまずは自分のタイプを知ること。

私自身の学習パターンは、「なぜ」と「どうやって」の混在型

自分で何かを理解する時には、「どうしてそれをやる必要があるのか」「なぜそれを自分が引き受けるのか」を明確にします。その上で、

  • どんな方法で

  • どんな流れで

  • 最終の全体着地はどうなるか

を考えながら人の話を聞いています。

そのため、たとえば相手が「なに」の部分を中心に話すと魅力的な話に聞こえず、理解するのに少し時間がかかります。

ちなみに「なに」に当たるのは、根拠や実際の事例、愛用者の声など根拠となる統計データや権威性のある引用などです。以下に例を示します。
「●●大学の△△教授が提唱したA理論は、■■という企業でも導入されているそうです」

私は意識をせずに話をすると「なぜ」と「どうやって」中心に話をしてしまうので、「なに」あるいは「いますぐ」の学習タイプのお相手にとっては分かりづらい、、、となってしまう訳です(※この記事も「どうやって」が多くなっています)。

自分の学習タイプを元に考えると、相手にとって理解しやすい、行動にうつしやすい学習タイプが見つけやすくなります。1つにガチっと絞られるわけではありませんので、ざっくり傾向を把握しましょう。


人は分かりやすいと捉えたものを簡単と感じる

学習に関して、ビジュアルデザインの専門家による視覚的明晰性についての
解説を見て、伝える時に応用できると思ったのが以下の見解です。

情報を処理する時のやりやすさは、多くの人は、複雑な内容、わかりにくい図やテキストには抵抗を感じる傾向にある、そして取り組むだけの価値がないと考えるそうです。

How Visual Clarity Affects Learning

しかも、わかりやすいものは真実だと捉えられる傾向もあるのだとか。そう考えると、分かりやすく伝えるのは話す上でもとても大切だなと思うわけです。

「複雑そうだ」「難しそうだ」「分かりづらい」と感じさせると、「取り組むだけの価値はないな」思わせてしまうのですから。


自分を知って、相手に合わせていく

自分の学習タイプが分かったら、相手に何かを伝える際、相手の学習タイプを観察しながら話してみます。

どんな質問をするか、どんな話に大きく賛同してくれるか、理解を示してくれるか。

1対1の「対話」でも有効です。マネジメントする際にはメンバーにちゃんと納得して行動に移してもらうために意識します。すると伝わりやすくなり、質問も多くなるはずです。

大勢に対して話す場合は「なぜ」「なに」「どうやって」「いますぐ」のフレームに合わせて、それぞれの解説を入れていきます。時間は若干伸びますが、複数人数でも理解していただきやすくなります。


相手が変わったように見えるのは、あなたが変えたから

相手がどうもこちらが伝えたとおりに動いてくれない、期待にこたえてくれないと感じる時は、相手がちゃんと理解して、行動につながるまで腹落ちしていないことが多いです。

そうなると、互いの力の発揮はどうなるでしょう。

本人の特性や強みを発揮するには動機が充分でないので、動きが鈍くなったり、イマイチな状態になるはずです。

上司と部下など距離感がある間柄であればなおさら、自分の考えや思い、期待は伝わりにくいもの。

マネジメントしていく上で、伝える努力も相手の特性に合わせて行っていくだけで少しの変化が見えると思います。

しかも合わせていくと、相手は「自分のことを理解してくれてる」と思ってくれて、こちらの話も理解しようと協力してくれるようになります。

まずは自分から変わること、自分が変えてみること。その結果、相手が変わったように見えるものです。


メソッドや理論を上手く活用するには自分から

今日は、デイビット・コルブの4つの学習タイプをご紹介しました。

わたしたちは日々マネジメントに携わる中、メンバーに成長してもらうためにノウハウやメソッドを使うと考えがち、行動しがちですが、まずはリーダーやマネジャーは自分自身が成長すること、自分が少しでもメンバーの成長にいい影響を与える成長をすることが第一。

メソッドや理論はまずは自分自身に使って適用して変化を周囲に伝えたほうが早道だ、と常々思います。

相手をコントロールしよう、こう動いてほしいと望んでいるうちはまだまだ自分自身の変化の伸びしろはあるはず。

メンバーに対する対処法などを考える前に自分自身を変えてみる、これ一択につきます。部下が自分に合わせるべき、と言っている方はもう古いです。やめましょう。

チームメンバーの学習タイプに合わせて伝えてみると、ちょっと違う相手の様子が見えてくるかもしれません。

この記事を書いた人
加井 夕子(かい ゆうこ)
「わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所)」副センター長/専任講師/コーチ

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