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「キャンバスの裏側」もしくは「相互偏執の原風景」【一輪劇場裏話】
俺の親父は画家だ。一日の大半を絵の具とキャンバスに向き合って終わる。俺はそんな親父があまり好きではない。というか、むしろ嫌いの域に達している。絵に魂を込めるあまり、父親としてのあの男はもぬけの殻なのではないか。そう考えては、無性に腹が立った。
そのことを母に話すと、「あの人はあれでいいの」と穏やかな顔で言われた。どうして、あの男に振り回されている母があんなことを言えるのだろうか。母に苛立ちはな
俺の親父は画家だ。一日の大半を絵の具とキャンバスに向き合って終わる。俺はそんな親父があまり好きではない。というか、むしろ嫌いの域に達している。絵に魂を込めるあまり、父親としてのあの男はもぬけの殻なのではないか。そう考えては、無性に腹が立った。
そのことを母に話すと、「あの人はあれでいいの」と穏やかな顔で言われた。どうして、あの男に振り回されている母があんなことを言えるのだろうか。母に苛立ちはな