弾丸・信州上田行(5)
ー絵馬回廊と聖地巡礼
老舗蕎麦屋「刀屋」(長野県上田市)ですっかり食欲を満たされたわが夫婦。クルマで5、6分の距離にある上田城址公園(同)に向かう。公園内を散歩し、いくらか腹ごなししようという魂胆だ。公園内にある上田城は、戦国武将の真田幸村ら、真田氏ゆかりの城。NHK大河ドラマ『真田丸』(2016年放映)の大ファンだった奧さんが当時、テレビを見るたびに、上田城に行きたいとせがんだ記憶がある。8年越しに希望が叶ったはずだが、奧さんは忘れてしまっているようで、満腹になったお腹をさするばかり。
異世界転移
駐車場にクルマを止め、西櫓の脇にある急な階段を上る。そのまま道なりに歩くと、左手に本丸跡があり、右手に真田神社がある。「本丸がないお城はどこか寂しいねぇ」と奧さん。残念ながら、まったく同感。ただ真田神社の境内に足を踏み入れると、夫婦揃って一気に盛り上がる。
鳥居を抜けて境内を進むと、左手に"絵馬回廊"がある。無数の絵馬が通路を覆い、トンネルのようになっていて、そこを通ると、どこか異世界に迷い込んだ気がして楽しい。こんな気持ちになったのは、伏見稲荷大社(京都市伏見区)の千本鳥居をくぐったとき以来だ。
上田城は戦国時代、2度にわたって徳川の大軍を退けて「落ちない城」として知られるそうだ。そのため、この城址の敷地内にある真田神社は、合格祈願や必勝祈願が目的の参拝客で賑わうという。絵馬に書かれた願い事には、やはり、その類が多いのだろうか。気になる。
蘇る記憶
真田神社の奥にある真田幸村像のほか、本丸の抜け道だったともされる真田井戸には、奧さんの気分が爆上がりした。「さすがだぁ」と、上田城址が知勇兼ね備えた真田氏の居城だったことにあらためて感じ入ったようだ。この頃になると、奧さんの『真田丸』に関する記憶が次第に蘇ってきたらしく、嬉しそうにいろいろ解説してくれた。夕暮れに差し掛かろうとする穏やかな晩夏の日差しと、早秋を思わせる爽やかな風の中、古いドラマの足跡を辿る"聖地巡礼"になったようだ。
いよいよ弾丸ドライブの最終目的地、みすゞ飴の飯島商店へ。(続く)
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