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信じあえる主客対等を目指して ~SNS炎上🚭から学んだこと~

去年の暮、西屋のTwitterアカウントが大炎上しました。
きっかけとなったのは、私(女将)のツイートです。

 ご滞在中、禁煙のはずの客室内で我慢できず喫煙してしまったお客様。
帰り際に直接呼び止め事実を咎めたところ、数日後に予約サイトを通じて散々な報復評価を書きこんできた…という出来事がありました。

健康増進法改正によって受動喫煙対策が強化された3年前の4月、西屋は全館禁煙に踏み切りました。古い建屋は煙やにおいを完全に遮断することが困難です。まして母屋は、消防法の規定により一度焼失すると二度と再建ができない茅葺の建物。そういった事情を諸々鑑みた上での決断でした。
以来、あらゆる掲示をもって禁煙徹底を周知してきたわけです。
が、その趣旨を理解して頂けなかったのでした。
さらには真冬の寒さの中、不満を言わずに丁寧に清掃をしてくれたスタッフの姿、そのまま部屋を数日に渡りクローズしなければならなかった虚しさ、きわめつけの報復評価。当時の私はどうにも憤懣やるかたなく、Twitterにその後のやり取りも呟いたのでした。

これらがどういうわけか爆発的に拡散されることとなりました。数日もしないうちに複数のネットニュースサイトがツイートを取り上げ、最終的にはYahoo!のトップ記事にまで表示される事態に発展したのでした。

報復評価に反論した旨のツイート。
報いに報いで返したこと、間接的にお客様の行いを広く世に晒してしまったという
自責の念もあり、今後の戒めとしてこのツイート↑はそのまま残してあります。

山奥の小さな旅館での出来事でしたが、思いがけず全国規模で多くの人の目に触れることとなり、たくさんのご意見やご感想を頂きました。殆どの方が温かい励ましや賛同でした。また、同じサービス業に従事している方からは「自分たちも被害に遭った」という実例も沢山聞かせて頂きました。

一方で「お客様にあんな反論をするなどけしからん」
「お客様を突き放すなど旅館にあるまじき態度」
「女将の品格を疑う」…
強い批判の言葉もありました。この反論ツイートをUPしたのは、実は既に最初のツイートが相当な炎上に発展しつつ最中でしたから、ある程度の批判が来ることは覚悟の上でした。

それでも敢えて顛末までSNSに載せたのには訳がありました。

寄せられた沢山のメッセージを読むうちに、この度の一件は、一人を断罪したところで根本的な解決には至らないと思うようになりました。
店や宿など公共の場での喫煙のモラルに留まらず、旅館(サービス業)とお客様の在り方、互いの関係性にまで及ぶ、非常に根の深い社会問題といえるのではないかと。せっかく稀有な経験をしたのだから、同じ辛さを経験した同業の方々のためにも、ここはひとつ思い切って立ち上がろう。
今までどうも低く見られがちだったサービス業の在り方について、
お客様との関係性について、今一度社会に問うてみよう。

私はそう考えたのでした。

(続)

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