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『ビブリア古書堂の事件手帖』で思い出した、カタリストの話。

令和最初のお盆シーズンが明けました。

夏休みらしく?
今回は読書感想文です。


お盆を迎えたのは、じぶんが立ち上げた新しい住まいの形「ギルドハウス十日町」では5回目。

そしてお盆まっさかりの8月15日には《48歳の誕生日》を迎えました。

その日、とくにイベントとして企画したわけでもないのに、みんなが手握りのお寿司やアジフライ、お酒、花束などを用意してくれて。たまたま居合わせた冒険者も交え、とても楽しく過ごすことができました。

改めて住人たちに恵まれていることを実感。来月には新しい住人たちがやってきます。そして新年には小さな新しい家族が加わります。

48歳もいろいろありそうです。


さて、そうしたお盆シーズンが明け、なんだか梅雨に逆戻りしたような雨模様の日々、とある7冊の本を一気に読み終えました。

『ビブリア古書堂の事件手帖 1~7』
(KADOKAWA/三上 延 著)

累計680万部のベストセラーとなったミステリー小説です。


実を言うとじぶんはまったくと言っていいほど本を読みません。この小説に出てくる主人公の男性は特殊な「体質」で本を読めないそうですが。

たぶん以前の記事の本を読んだことがきっかけだと思います。それでなんとなく本を手に取るようになりました。ギルドハウス十日町の本棚にはみんなが持ち寄ってくれた本が壁一面に積まれていますし。

そこで何気なく読んだのが『ビブリア古書堂の事件手帖』というわけです。


さすがベストセラーというだけあって、ふだんまったくと言っていいほど本を読まないじぶんでもシリーズ7冊を一気に読み終えてしまうほどおもしろいミステリーでした。

ちなみに舞台は北鎌倉にある古書店。類まれな本の知識と洞察力によって、美人の女性店主が次々と古書にまつわる謎や事件を解決していきます。

先ほど出てきた男性は、その女性店主に惹かれ、アルバイトとしてその店で働いています。

さらにその男性をふくむ個性的な登場人物たちは、みんな古書を通じて出会っていき、さまざまな物語を展開していきます。


ちなみにこの小説の1巻目が発行されたのは2011年3月25日。

あの東日本大震災が起きた直後です。作中にも地震のことが触れられていて、たとえばそれによって大量の古書が出回ることになったとか。

古書は人から人の手に渡り、本の内容だけでなく本そのものにも所有者たちの物語が宿る。この小説の女性店主はそう言っています。


じぶんは40歳となった2011年を転機として会社員時代に別れを告げ、3年以上も全国各地にある交流の場を旅してきました。最初のころは働き方を変えたくて始めた旅なのですが、いつのまにか生き方そのものも変容しました。

じぶんの住まいに特徴的な名前とコンセプトをつけて、いつでもだれでも遊びに来てくださいねと情報発信してみたら、この4年と4か月くらいで60名と共同生活をしたり延べ8,000人近い冒険者を受け入れるようになりました。


そんなじぶんにとって、ビブリア古書堂で繰り広げられる古書を通じた物語には特別な想いを感じることが多かったです。

たとえば『カタリスト』について。

この言葉自体は作中に出てきません。

ですが、読みながらその単語を思い出しました。

カタリストとは「触媒」のこと。
何かと何かをつなげる役目を果たすものです。

確か、とある旅先のコワーキングスペースの代表者が教えてくれました。


本というのは、ひととひとをつなげるカタリストの役目を果たします。

と、じぶんは思います。

だからほとんどと言っていいほど本を読まないじぶんが、本を通じてひとを知るとうたう「ビブリオバトル」といった活動にも取り組んできました。


本に限らず、カタリストと成りえる物事はたくさんあるように思います。

とくにじぶんにとっては、2011年の転機から目の当たりにするようになった、コワーキングスペース、シェアハウス、ゲストハウス、それらと似て非なる交流の場の数々。さらにはSNSやスマートフォンなどの普及によって様変わりしてきた “つながり” と “シェア”。

そしてギルドハウス十日町に集うひとたちも、なにかしたらのカタリストを通じていろんな展開を見せている気がします。


2011年あたりから動き出した、たくさんのカタリストたち。

それが物なのか場なのか知識なのか経験なのかいろいろでしょうけど、出会いから共感と展開が生まれ、人から人の手にわたり、物語をつむいでいく。

『ビブリア古書堂の事件手帖』における古書がそうであるように、それらが持つ未来への可能性をこれからも見据えていこうと思います。

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