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【自閉症】日本は障がい者にとって働きやすい国?【発達障がい】①

はろーこんにちは。
表題に「日本は障がい者にとって働きやすい国?」
と書きました。

本日は障がい福祉サービス分野で10年のキャリアがあり、世界30カ国以上を旅した私がこのテーマについて考えたいと思います。


障がいにも色々ある

障がいといっても大きく分けると「知的」「精神」「身体」、そして最近ですと「発達」も加わってきます。
これからこの記事では概ね○○障がいの人は雇用、働き方な面で○○な傾向で○○な状況に置かれているよといった具合に解説していきます。
あくまで一般論であって、かつ主に私の実体験に基づいた話です。
厳密に言うと発達障がいと精神障がいは密接に関わっていたりするのですがここはわかりやすく分けて話をします。

私は障がいのある人の全てを担当したわけではありませんし、当然人は人によって違うので必ずしも同じようなことになるわけではないということはご了承下さい。

昔の日本は働く場所がたくさんあった。

現状知的障がいのある人にとって就職の状況はあまり芳しくないです。
江戸時代の日本は第一次産業(農業)の従事者は90%近くだったと言われています。
田舎だときっともっと高いです。
私は山形県に住んでいますが、同年代に「おじいちゃんは現役の時に何の仕事してた?」と聞くとほぼ100%「農家」という答えが返ってきます。
当時は会社勤めの人なんて一握りのエリートだけです。

昔は知能に問題があったとしても家庭内労働者として自分の役割を持って農業や家業に従事することができたであろうことは容易に想像ができます。
「職場の理解のある同僚」とかそういう概念は無いです。
同僚は家族ですから。

ですが時は経ち現在の農業従事者は人口の2%未満です。
多くの知的障がいがある人にとっての仕事が無くなってしまったと言って差し支えないのが現状です。

地元の山形市。


マルチタスクを求められかつ空気を読まなければならない。

一般的に知的障がいを持つ自閉症の方は同じことを反復するような作業が向いていて得意だと言われています。
これは第二次産業(工業)のライン作業などに該当すると言えます。
これらはやることが明確かつ答えがはっきりしている仕事で自閉傾向のある知的障がいを抱えた人にとっては向いていると言われる仕事です。
ですが更に悪いことに、1985年のプラザ合意後に円高になったことで多くの大企業の工場は人件費の安い中国や東南アジアに移ってしまったため追い討ちをかけるように彼らの働き口が少なくなってしまいました。
今や日本の第三次産業(サービス業)の従事者は全体の67%です。
サービス業というと、どうしても空気を呼んだり、同僚や顧客とのコミュニケーションや臨機応変さを求められがちな業種です。
これは彼らがかなり苦手とする分野です。

話は逸れますが、今日本には140万人(もの凄い数)の引きこもりがいると言われています。
私は140万人の中の多くの人が何らかの障がいを抱えていて、これはわかりやすく明確な答えがある仕事が日本から少なくなってしまったことが原因だと考えています。

環境さえ整えば…。

私は過去に就労支援施設で勤務していた経験があります。
たくさんの方と関わりを持ちましたが、中には決して軽度とは言えないけれども与えられた役割をしっかりこなすことができるであろうな、環境が整えば賃金を得るのに値する仕事ができるだろうな、という自閉症の方が少なくありませんでした。

例えば自閉症と診断された中程度の知的障がい持つA君がいたとします。
働く場所は居酒屋です。
A君には常連のお客さんの好みを理解してコミュニケーションを取りながら旬の料理をおススメしたり、賞味期限の近い食材をうまいこと提案して捌くと言ったことは難しいです。

ですが働く部門を接客ではなく、洗い場とするとA君は洗い物のエキスパートになれる可能性が大いにあります。
食器やグラスを決められた工程で決められた時間洗い、決められた時間乾燥させて決められた場所に戻す。(業界ではこれを構造化と言います。)
こういった仕事はA君の得意分野です。
そして多くの場合、あくまで一般論ですがA君のような人はサボることを知りません。
A君は仕事の途中にサボって煙草を吸いに店の外に行ったり、スマホを弄って暇つぶしをしたりはしません。
そしてこだわり(自分ルール)がある人が多いです。
上手く誘導して「食器の洗い残しが無いように作業する」というこだわりをA君が持つことができればA君は洗い場においてはサボらない完璧な人材になることができます。
そして洗い物が無い時は食器やグラスが汚れていないか、欠けていないかチェックする作業を指示すれば業務を完璧にこなすのは想像に容易いです。

A君は突発的な予定変更やトラブル(洗い場においては例えばグラスを落として割ってしまったなど)が苦手ですが、そこもきちんと怪我をしないように手袋をつけ、箒でガラスを集めて決められたゴミ箱に捨てるといった作業を構造化すれば余裕でタスクをこなすことは可能です。

実は日本の就労支援施設にはA君のような環境さえ整えば社会で活躍できるだろうなという人が本当にごまんといます。

ネパールの自閉症支援施設で撮った一枚。

就労支援施設の闇

これは日本の就労支援施設の闇なのですが、A君のような人はサボらずに毎日施設に通うので施設側としては「とてもお金になる」のです。

就労支援施設は1日ごとに施設に通った(敷地に足を運んだ)人数によってその日の売上(国からの補助)が決まるのでA君は言わば優良顧客です。
環境さえ整えばちゃんと働けるのに就労支援施設の経営者や理事長はA君を就職させてしまうと売上が下がるので外に出したがりません。

もちろんこう言った施設ばかりではありませんよ。
現実的に就職は難しいだろうなという方もいますし、施設に通うことが生きがいの人もいます。
ですが就労支援施設には本来障がい者の就職を支援することが目標であるはずの団体なのに施設利用者を就職させたくないというバイアスが生まれるという構造的欠陥があります。
厳密には利用者を一般企業への就職させることに成功し、定着すれば補助金(加算)が増えるのですが金額が多くないです。
要は「この子を就職させたい!」という動機になるインパクトが無いんです。


人手不足?実は人はいるよ。

日本はしきりに人手不足と言われいます。
日本政府は外国人技能実習生を多く受け入れることによって人手不足を解消させようとしています。
実際に都会のコンビニには日本人のアルバイトはあまりいなくなってしまいました。

私は技能実習生制度に賛成でも反対でもありませんが、わざわざ外国から人を連れて来なくとも環境さえ整えばA君のように職場の戦力として活躍できる人達が日本にたくさんいることを知って欲しいと思いこの記事を書きました。
理解と寛容さが少しでも広がれば良いなと思います。

次の記事では精神障がい、身体障がいを持つ人の働き方、就職状況について書きたいと思います。

それでは。


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