見出し画像

人体を支配するしくみ「遺伝子とポストゲノム」8

毎週水曜日は、Newton「人体を支配するしくみ」を、見開き2ページずつ読み進めるシリーズです。

どんなに難しい本でも、少しずつ読めば必ず理解できるはずというコンセプトなので、「人体の進化に興味はあるけど、難しそうだし面倒くさい」という方には、丁度いい内容になると思います。

僕も読んでいく中で学んでいく立場です。
ぜひ一緒に学び成長し、分かる楽しみを共有していきましょう。


非再生系細胞

僕は今まで知らなかったのですが、生物を構成するすべての細胞が、分裂を繰り返すわけではないそうです。

本書によると、それは神経細胞や心筋細胞で、胎児期にいったん過剰に生産されたあと、アポトーシスによって死滅し神経ネットワークを形成したものだけが生き残るとのことでした。(*アポトーシス:細胞が自ら死ぬこと)

さらに生き残った細胞は、その時点から老化が始まります。

このような細胞を「非再生系細胞」とよび、通常の分裂を繰り返す細胞を「再生系細胞」よびます。

ちなみに、再生系細胞は50~60回分裂すると、分裂寿命をむかえるそうです。

脳の不老長寿も夢ではないかもしれない

使わない神経細胞はアポトーシスが起こることから、脳には老化以外の選択がないのか?と言われるとそうではないそうです。

最新の研究によって(本書が発売された2006年当時)、成人脳の一部には神経再生のもとになりうる幹細胞が存在することが明らかになったようです。(*幹細胞:自分と同じ細胞を増殖させ、また、さまざまな細胞に分化する能力を持つ細胞のこと)

今後さらに研究が進んで、幹細胞の増殖や分化の仕組みが明らかにされれば、脳の不老長寿も夢ではないとのことでした。

幹細胞とIPS細胞の違い

IPS細胞は、2006年に京都大学の山中伸弥教授らのグループによって初めて作製されたもので、奇しくも本書の発売された時期と重なります。

幹細胞とIPS細胞は、どちらも自分と同じ細胞を増殖させ、また、さまざまな細胞に分化する能力を持つ細胞です。

その違いは、幹細胞が体内で自然に存在するのに対し、IPS細胞は体外で人工的に作製された細胞である点です。

幹細胞は、胎児期の胚や、胎盤、臍帯血、骨髄、脂肪組織など、さまざまな組織や臓器に存在し、これらの組織や臓器の成長や修復に重要な役割を担っています。

IPS細胞は、幹細胞と同様に、さまざまな細胞に分化することができることから、再生医療の分野で大きな期待を集めています。

IPS細胞を用いて、損傷した組織や臓器を再生したり、難病の治療を行ったりすることができるようになれば、多くの人の命を救うことができると期待されています。

最新IPS情報

タイミング良く同日に、山中先生からの最新情報がYouTubeで公開されていたのでシェアします。



次回(9/13予定)は、「老化と死」です。
それではまた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?