マガジンのカバー画像

中沢新一著『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』などを読む

53
中沢新一氏の著作『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』『精霊の王』『アースダイバー神社編』などを読み解きます。
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

両義的媒介項としての宿神 -中沢新一著『精霊の王』を精読する(2)

両義的媒介項としての宿神 -中沢新一著『精霊の王』を精読する(2)

中沢新一氏の『精霊の王』を精読する連続note。

第一章「謎の宿神」を読む。



「侍従成通卿と言えば、比類のない蹴鞠の名手と讃えられ…」(『精霊の王』p.4)

この一節から始まる第一章は「蹴鞠」の話である。

「精霊の王」たるシャグジ−宿神は、日本列島に国家が成立する遥か以前から祀られてきた神である。

その精霊の王の話をするのに、なぜ国家が成立して数百年を経た後の時代の芸能のことから始

もっとみる
中沢新一著『精霊の王』を精読する(1)

中沢新一著『精霊の王』を精読する(1)

これまでしばらくの間、中沢新一氏の『レンマ学』を精読していたのだけれども、ついに読み終えてしまった。

もう一度読めば良いのだけれども、せっかくなので別の本を精読してみることにする。同じ中沢新一氏の『精霊の王』である。

『精霊の王』については前にnoteにまとめたことがあるが、今回は「精読」してみることにする。

『精霊の王』は中沢氏による2003年の著作で、『レンマ学』を遡ること10数年前の話

もっとみる
ロゴスの生成変容をレンマでモデル化する科学へ -中沢新一著『レンマ学』を精読する(12)

ロゴスの生成変容をレンマでモデル化する科学へ -中沢新一著『レンマ学』を精読する(12)

中沢新一氏の『レンマ学』を精読する連続note。今回は「第十二章 芸術のロゴスとレンマ」と「エピローグ」を読んでみる。



今回のところに直結する一つ前のnoteはこちらです。

喩の力、相即相入『レンマ学』305ページに次の一説がある。

「ホモサピエンスとしての人間に特有な「喩的」言語が発生する。それまではどの生物もコミュニケーションのためにある種の「言語」を用いていたが、そこにはまだ「相

もっとみる