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中沢新一著『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』などを読む

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中沢新一氏の著作『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』などを読み解きます。
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2020年3月の記事一覧

反復するリズムが増殖する"過剰な意味"を"日常の意味"へと媒介する −読書メモ:中沢新一 山極寿一著『未来のルーシー』

『レンマ学』の中沢新一氏と山極寿一氏の対談共著である『未来のルーシー』。300万年前の人類の祖先の化石に付けられた「ルーシー」という名前を媒介に、次々と話題が絡み合っていく。 地球の生命のひとつとしての人類について、生命の歴史の中で今日の姿に「なった」人類について、人類が他の生命から飛び抜けた力を持ててしまったことについて、縦横無尽にヒントがつながっていく一冊である。 その二回目の読書メモである。ちなみに第一回目はこちら↓である。 『未来のルーシー』77ページで、中沢氏

リズムを反復し同期させる −読書メモ:中沢新一 山極寿一著『未来のルーシー』を読む

昨年2019年に読んだ文献の中でもっともエキサイティングだったのは、中沢新一氏の『レンマ学』である。その中沢氏の新刊、山極寿一氏との対談共著が『未来のルーシー』である。 ルーシーというのは、322万年〜318万年前ごろの「猿人」につけられた名前である。ルーシーは1974年にエチオピアで化石として発見された。 ルーシーは二足歩行に適した骨格をもち、脳のサイズもそれ以前の猿人に比べて大きい。 ルーシーはいわゆるサルの類いが、我々人類ホモサピエンスへと進化する途上にあった30