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読書家ノート

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2020年1月の記事一覧

オルハン パムク『雪』を、政治・宗教小説としてではなく、『グレート・ギャツビー』とよく似た、究極の男子妄想恋愛小説として読む。

オルハン パムク『雪』を、政治・宗教小説としてではなく、『グレート・ギャツビー』とよく似た、究極の男子妄想恋愛小説として読む。

『雪』〔新訳版〕 (上) (ハヤカワepi文庫) (日本語) 文庫
オルハン パムク (著), Orhan Pamuk (原著), 宮下 遼 (翻訳)

Amazon内容紹介
「内容(「BOOK」データベースより)
十二年ぶりに故郷トルコに戻った詩人Kaは、少女の連続自殺について記事を書くために地方都市カルスへ旅することになる。憧れの美女イペキ、近く実施される市長選挙に立候補しているその元夫、カ

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トルコの小説を読んだり、年明け、イランが大変だったりしたので、イスラム教を再勉強。『帝国の復興と啓蒙の未来 』  中田 考 (著)。世界史を、文明史として、イスラム視点でまるごと古代から現代まで一気に勉強できるスゴイ本。

『帝国の復興と啓蒙の未来 』 単行本 – 2017/7/19
中田 考 (著)

Amazon内容紹介
「読み終わったとき、もっとも危険な世界史が見えてくる。

イスラームの側からしか見えない歴史を
解き明かし未来を予見する。

 19世紀は西欧列強による世界の植民地化の時代、20世紀は2度にわたる世界大戦による西欧の破産とその破産管財人である米ソによる残務処理の時代であった。21世紀は、西欧の覇

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『赤い髪の女 』と言ったら、日活の?と言われましたが違います。トルコのノーベル賞作家の最新小説です。なんだけれど、ものすごく読みやすくて面白い。海外文学苦手タイプの人にもおすすめです。

『赤い髪の女 』(日本語) 単行本 – 2019/10/17
オルハン パムク (著), 宮下 遼 (翻訳)

Amazon内容紹介
「ある晩、父が失踪した。少年ジェムは、金を稼ぐために井戸掘りの親方に弟子入りする。厳しくも温かい親方に父の姿を重ねていたころ、1人の女に出会う。移動劇団の赤い髪をした女優だ。ひと目で心を奪われたジェムは、親方の言いつけを破って彼女の元へ向かった。その選択が彼の人生を

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『R.S.ヴィラセニョール』 フィリピンの戦後史と、日本。

『R.S.ヴィラセニョール』 (新潮文庫) (日本語) 文庫 – 2019/10/27
乙川 優三郎 (著)

Amazon内容紹介
「房総半島に工房を構える若手女性染色家、レイ・市東・ヴィラセニョール。父から継いだフィリピンの血と母からの日本。鮮烈な色が評価され始めた矢先、父は病身をおして祖国へ帰ると言いだす。何が彼を駆り立てるのか。染色の可能性を探求し、型にはまった「日本らしさ」に挑むレイが、

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『フランス軍中尉の女』ジョン・ファウルズを読んで。一筋縄では、いきません。そうなるの、え、ならんのかーい。

『フランス軍中尉の女』ジョン・ファウルズ

 中学同級生のしむちょんに、Facebookで再会したのが、もう8年位前かしら。彼のFacebookのプロフィールの好きな小説・小説家蘭をこっそり見たら、僕の知らない海外の作家の本がいっぱい書いてあって、すごい、なんだなんだとなって、しむちょんの好きな作家の本をおいかけようと、いっちばん初めに読んだのが、このジョン・ファウルズの『魔術師』だった。

 の

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