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夫婦喧嘩のはなし(ホット編) #y-07

何日か前、
久しぶりに旦那と喧嘩をした。
あの日の朝に喧嘩をしなきゃいけない理由なんかなかったのに。

私の旦那は普段ほとんどほんとにしゃべらないから、私は彼をこっそりゆずひこって呼んでる。

そんなうちのゆずひこは、
喧嘩のときだけよくしゃべって、
私をずたずたにする。

別居とか、離婚。って言う。普通にすぐに。

私はずたずたになるたびまりさんに連絡をして、
ゆずひこが今回もいかに無神経で嫌な奴かを訴える。

その度にまりさんはあきれずにそうだそうだと言ってくれて、怒りと自己愛の塊であるゆずひこに、2人でため息をつく。

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ただ、今回の私はいつもと違って、
別居だ離婚だ言われるのもはじめてではないから、今回は、本当にそうしてしまえばいいと思ってね。
ゆずひこもたった一度しかない人生だから、好きに後悔のないよう生きるべきだと思ったし、それについて私があれこれ言うのは違うと思った。
ただ、自分の希望を叶えることと、責任を果たすことは違うお話だから、
別居でも離婚でも、私はしばらく心を痛めてごはんが食べられなくなって、病院にもお世話になるだろうから、慰謝料は最低200万で、私たちの引越し費用と当面の家賃は負担してもらわんとな。あ、あとふーの養育費も18まで払ってもらおう。私の保険の受取人も変えなきゃな。みたいなことはずっと考えてた。
私はシミュレーションの鬼なのだ。
離婚後のシミュレーションはとっくの昔になんならゆずひこと結婚する前に済んでたから今回はそれをブラッシュアップする良い機会だった。

娘のふーには、どうなろうとママはお金だけはあるから心配すんな。って話してた。
私はお金が大好きだ。

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喧嘩した日、旦那はしばらく家には帰らないって言ってたから、ふーと2人で近くの和食屋さんに行ってパーティをした。
ママ、こーゆーときのために仕事してるの。
さぁ何でも好きなだけ食べなさい。
中とろの握りに、和牛の握り、刺身の盛り合わせ、小海老の唐揚げに、ふーの好きなチーズ春巻き、私はステーキまで食べた。わかりやすい肉の塊のステーキが美味しくておかわりまでした。命をもらって、それを自分の命にしてる感じがした。ふーはデザートに頼んだバケットのフレンチトーストに添えてあったベリー類を酸っぱいと言って少し残して、これは味のためじゃないね、イロドリだね。って言った。
正面に座るふーは、見れば見るほど私に似ていた。

周りのテーブルに他のお客さんがいないのを良いことに私はふーといろんな話をした。

いつもうっすらと意識している良い母親、ステキな親子に見られたい願望もこの時ばかりは外して横に下ろした。
大半は、ゆずひこの態度や言葉がほんとに最低だったね、フザケンナよって感じよね。っていう話で、あとは月に一度はこのお店でごはんを食べようって約束、最後にふーが、次はパパも一緒がいいね。って言った。

パーティの間、ゆずひこからたくさん電話がきて、LINも電話も全部無視して帰ったらゆずひこがテレビの前に立ってた。

私はまた、自分のしたいようにしたら良いんだよ。って話を立ったままのゆずひこにした。
テレビの突破ファイルを観て笑うくらいの余裕もあった。だって相手のそれが決心なら変えることはできないし、そこに私がエネルギーを注ぐのも違う気がした。

旦那と言えども、ゆずひこはひとりの自立した大人だから、ゆずひこのしたいようにすれば良いは私の本心でね。
別居も離婚もゆずひこが本気なら拒む気はなかったけど、あぁまた親に心配かけるな。ってことだけが気がかりだった。
私の人生ずっと、行き当たりばったりだからさ。
そのひとつ以外、私は爽やかだった。

自分で言い出したことなんだから、パパが自分で決めたら良いよ。って言ったら、ゆずひこは、考える。って言った。このときゆずひこはきっと動揺していたと思う。

あれからずっとそのことについて考えているはずのゆずひこは、今私の隣で眠っている。寝返りをうって、私を抱きしめるみたいに腕を回している。私の好きなゆずひこが帰ってきた。ゆずひこもきっと私のことが好きだと今なら思える。

ゆずひこはきっと、私が私の人生とゆずひこの人生を切り離して考えていたのに驚いたと思う。別れたくない、そんなこと言わないで。って私が泣くと思ったと思う。行かないでってすがってくると思ったと思う。何についてかはわからないけど、私が謝ると思っていたと思う。

でも私はそうしなかったし、きっとこれからもしないと思う。夫婦は他人だから愛をわざわざ誓い合うんだし、他人だからわざわざ紙で一緒になったり離れたりする。他人だから何でもわざわざしなきゃいけなくて、手間がかかるね、夫婦って。

このめんどくさがりの私が、わざわざあなたと結婚をして面倒くさい夫婦になったんだから、頼むよ。私はあんたと、こーやってこの先もずっと一緒に寝てたいんだよ。

頼むよ、ゆずひこ。
結局、なんだかんだ、私はあなたが、大事なんだよ。


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