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しその実の醤油漬け

この夏は、しそジュースを沢山作った。

お隣さんにいただいた大葉達がそれはそれは元気に増え続けたので、自分たちの分も幾度となく作り、両親たちや友人たちへの手土産に持っていったりもした。
週に一度は、しその香りを織り交ぜた湯気が台所に立ち込めていた夏だった。
途中で植えた赤紫蘇も順調に育っていたので、時折混ぜて可愛らしい色に仕上げては心を躍らせたりもして、、我ながらよく飽きもせず作り続けていたと思う。

青じそと赤紫蘇を9:1で


お盆を過ぎ夏も終わりに近付いてくると、摘んでは葉っぱをますます茂らせていた大葉たちが、花を咲かせ始めていた。


かわいらしい花々に見惚れながら、いつだったか知り合いの料亭の女将さんがしその実の醤油漬けを作ってくれたのを思い出した。
しその実を醤油に漬け込んでおくだけの簡単なものながら、香り高くいつまでも食べられる素敵な香の物になるのだ。

ただ作るのは簡単でも、摘むタイミングをよく観察しておいた方が良いと聞いた覚えがある。
花が咲いたら散る前に摘んでおかないと、良い塩梅の実が採れないらしい。
けれども、あまりに花が咲いているうちはまだ早いのだと言う。
花が綺麗だなと思って眺めているといつしか散ってしまうので、日々睨めっこしながら、そのタイミングを見極めて摘むらしい。

私の場合、ハーブ類はまさに花々に見惚れて手を付けずにいてしまう。そして、枯れた後に摘んでおくべきだった..と後悔することがしばしばある。
でも何せ今年は余るほどしそを植えたので、ちょっと摘んで作ってみようかと思い立って、ハサミを手にして庭へ出た。


とは言ったもののやっぱり見極めるのが難しくて、まだ咲きそうだけれど殆ど伸び切っていそうな部分だったり、長さは短めでも大きい実をつけているものを選んでちょんぎった。

見れば見るほど迷ってしまうので、これはもう摘んでも良いと比較的確信を持てるものを選んでいたら、思いの外少なくて、実をほぐして取ってみたらお猪口1杯分になった。


しその量に対して大体半量の醤油を入れて、全体に馴染む様に軽くかき混ぜて、表面にみっちりくっつく様にラップをする。(女将さんは瓶に入れて振っていた。)
すると一層かさが減って寂しさを覚えたけど、明日の分だけと思えば丁度良いじゃないかと自分に言い聞かせて冷蔵庫の中にしまった。

庭には伸びしろのある花々がまだいっぱい咲いているので、この夏の終わりはしそジュースに加えて、しその実の醤油漬け作りも日課になりそうだ。


机の上の葉っぱや茎を片付けていたら、小さな青虫が行き場に困っていた。しそジュースを作る時にも度々出くわしたけれど、今年はあと何回出会えるかな。

葉っぱごと外に投げ出そうと開けた窓からひんやり冷たい空気が入ってきて、気持ち良いなぁとそのまま外を眺めていたら、遠くに蝶が飛んでいくのを見た。



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